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廃業した法人代表者の個人再生

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2024年1月30日

1 個人再生の特徴

借金を整理する方法には、任意整理、個人再生、自己破産と大きく分けて3つの方法があります。

個人再生は、裁判所を通じて債務を減額し、減額された債務を3年から5年かけて返済する手続きです。

任意整理に比べると、元金を減額することができる点に特徴があります。

また、自己破産に比べると、自宅や高額な車でも残すことが理論上可能である点にも特徴があります。

2 廃業した法人代表者の債務整理の方法

法人を立ち上げて事業をする中で借入れをしたが、うまくいかず廃業し、今はサラリーマンになっているという方は大勢いらっしゃいます。

このような方は、代表者として法人の債務の連帯保証人をしているため、初めからサラリーマンである方に比べ、債務額自体が多くなっているケースが多いです。

任意整理を行っても元金が減らないとなると、とても返済の目処が立たないことが多いといえます。

また、自己破産する場合、自宅や解約返戻金がある生命保険等が失われることで、大きく生活状況が変わってしまうことも珍しくありません。

そこで、個人再生で債務を減額し、自宅や保険等を残しながら借金の整理をするというケースが多くなります。

3 廃業した法人代表者の個人再生の特徴

法人代表者の個人再生が、初めからサラリーマンの方より難しい点は、債権者の属性によるものと、法人との代表者個人間のお金の流れによるものと大きく2つあります。

前者は、代表者の債務は法人の保証債務であり、信用保証協会や公庫・公社等、純粋な民間の金融機関とは異なる債権者が多くなります。

個人再生は、原則として債権者の過半数の賛成が必要ですが、この債権者たちは、消費者金融やカード会社に比べると、手続きに反対するケースもあります。

ですから、債務を減額する必要性や、逆に個人再生によって債務を減額しても、結果として自己破産する場合より多く支払いが可能となること等を債権者に理解してもらうことが重要になります。

後者は、法人の経営がうまくいかない場合、代表者個人が、法人に自己資金を投じるのが通常です。

これは、代表者個人の法人に対する貸付金という財産になり、個人再生手続においては、法人から回収することが可能なのではないかという問題が生じます。

このように、廃業した法人代表者の個人再生は、初めからサラリーマンだった方の個人再生とは異なる難しい点があります。

詳細は、弁護士までお尋ねください。

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