「関東地方にお住まいの方」に関するお役立ち情報
池袋で個人再生をお考えの方へ
1 池袋の個人再生は当法人へご相談を
当事務所は、池袋駅の西武口から徒歩3分という、お越しいただきやすい立地にあります。
お電話にてご予約を承っておりますので、個人再生について相談したいとお考えの方はお気軽にご連絡ください。
2 個人再生による生活再建
複数の業者からお金を借り、返済のために借金を重ねるという状況になっている場合、生活にも非常に大きな影響が出ているかと思います。
そのような場合には、個人再生を行い、返す必要がある金額を減らすことにより、生活を再建されることをおすすめします。
個人再生を行うことにより、一般的には長期での分割払いが可能となります。
個人再生は裁判所に申立てを行い認められる必要がありますので、個人再生を得意とする弁護士にご相談いただくことをおすすめします。
3 個人再生とは
個人再生とは、借金の問題を解決するための方法の一つです。
他の方法と比べると、債務を大幅に圧縮することができること、住宅ローンを利用中の方でもマイホームを手放さずに済む場合があることなどが特徴で、借金の問題にお悩みの方にとってはメリットの大きな制度です。
他方で裁判所で認可を得る必要があるため手続きは複雑ですし、また沢山の資料や書類を提出しなければなりません。
個人再生をお考えの場合には、弁護士に相談した上で手続きを依頼することをおすすめします。
豊島区にお住まいで個人再生をお考えの方へ 巣鴨にお住まいで個人再生をお考えの方へ
利便性を大切にした立地
個人再生のご相談をご希望の方は、まずはフリーダイヤルへのお電話でのご予約をお願いいたします。ご相談のご予約の受付に関して、こちらで予定を掲載しております。
個人再生をした場合の債務額
1 個人再生の目的
個人再生は、任意整理および自己破産と並ぶ債務整理の手段の一つです。
個人再生の特徴は、一定のルールにしたがって減額された負債を原則3年、最長5年で返済すれば、残余が免除される点にあります。
この、負債を減額する、すなわち個人再生で返済する金額(最低弁済額)を決める際のルールには以下のとおり3つあります。
①再生債権の総額で決まる金額
②清算価値で決まる金額
③可処分所得の2年分で決まる金額
このうち、①と②は小規模個人再生、給与所得者等再生共通で適用されますが、③は給与所得者等再生でのみ適用されます。
本稿では、この基準についてご説明します。
2 再生債権の総額で決まる金額
小規模個人再生の多くの事案では、この再生債権の総額で決まる金額が最低弁済額となりますので、最も重要な基準と言えます。
具体的には以下のとおりです。
⑴再生債権額が100万円未満の場合
再生債権額が最低弁済額になります。
⑵再生債権額が100万円以上500万円未満の場合
最低弁済額は100万円になります。
⑶再生債権額が500万円以上1500万円未満の場合
最低弁済額は再生債権額の5分の1の金額になります。
⑷再生債権額が1500万円以上3000万円以下の場合
最低弁済額は300万円となります。
⑸再生債権額が3000万円を超え5000万円以下の場合
最低弁済額は再生債権額の10分の1になります。
3 清算価値で決まる金額
再生債権額が800万円の場合、①の基準では最低弁済額は160万円となりますが、仮に再生債務者に350万円の財産がある場合、①の基準で最低弁済額を決めると、再生債権者は破産手続の場合よりも不利な立場に置かれることになります。破産手続では、債務者の財産が配当に充てられることになるからです。
そこで設定されたのが清算価値によって決める基準です。清算価値とは、再生債務者が有する財産の総額ですが、個別の財産を清算価値に計上する際には、個人再生申立てを行う裁判所が決めたルールにしたがいます(清算価値については法律で具体的なルールは規定されていません)。
4 可処分所得の2年分で決まる金額
この基準は、債務者や扶養家族の年齢、住所地、債務者の収入金額、所得税や市県民税の金額、社会保険料の金額等を基に1年間の可処分所得を算出し、その2年分を最低弁済額とするものです。なお、「可処分所得」とは一般的な用法では「手取り」を指しますが、個人再生手続きにおける可処分所得は標準的な生活費等も控除された金額(つまり返済に充てられる金額です)になります。
この可処分所得の2年分で決まる金額は①や②よりもかなり大きくなることも多く、給与所得者等再生があまり使われない一つの要因になっています。
個人再生ができる条件
1 個人再生の開始要件
本稿では、個人再生手続きを開始するための要件について、民事再生法の規定に沿ってご説明します。
なお、開始要件の種類は、おおまかに個人再生を含む民事再生手続き全般で必要となる開始要件と個人再生手続きで必要となる開始要件に分類することができますが、後者の個人再生手続きで必要となる開始要件については、小規模個人再生で必要となる開始要件と給与所得者等再生で必要になる要件に分類することができます(住宅資金特別条項を定める場合の要件については、分量が多くなるため別稿でご説明します)。
2 個人再生を含む民事再生手続き全般で必要となる開始要件
民事再生手続き全般についての開始要件は民事再生法21条および25条で定められています。
まず21条は、「債務者に破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあるときは」再生手続開始の申し立てをすることができると規定しています。
個人再生手続きでこの要件が問題となることはまずないですが、契約にしたがった返済が問題なくできるにもかかわらず、債務の減額のみを目的として個人再生の申立てを行った場合は、この要件が問題になる可能性はあります。
次に25条は、裁判所が再生手続開始の申し立てを棄却しなければならない事由について規定しています。
安定した収入はあるものの金額がかなり少なく個人再生を行っても返済できる見込みがない場合は本条3号の「再生計画の認可の見込みがないことが明らかであるとき」への該当性が、短期間で多額の借り入れを行いすぐに個人再生の申立てを行った場合は本条4号の「不当な目的で再生手続開始の申立てがされたとき」への該当性が問題になります。
3 小規模個人再生の開始要件
まず、個人再生を行うことができるのは個人、すなわち自然人ですので、法人が個人再生を行うことはできません。
また、再生債権額が5000万円を超える場合も個人再生を利用することはできません。
なお、住宅資金特別条項を利用する場合の住宅ローン債権などはこの再生債権額には含まれません。
また、小規模個人再生は、「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込み」がなければ利用できません(民事再生法221条1項)。
例えば、無職で収入が全くない場合は、仮に返済できるだけの資産があったとしても利用できないことになります。
4 給与所得者等再生の開始要件
給与所得者等再生は、3の小規模個人再生の開始要件の他に下記の要件が必要です。
まず、収入について、「給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者であって、かつ、その額の変動の幅が小さいと見込まれる」ことが必要です(民事再生法239条1項)。
そのため、自営業の方の場合は給与所得等再生の利用は困難です。
また、①過去に給与所得者等再生における再生計画が遂行されたときは、当該再生計画認可決定の確定の日から7年以内、②ハードシップ免責決定確定の場合は当該免責にかかる再生計画認可決定確定の日から7年以内、③過去に破産手続における免責許可決定を受けたことがある場合、その免責許可決定が確定してから7年以内は、給与所得者等再生は利用できません(民事再生法239条5項2号、241条2項6号)。7年以内かどうかは給与所得者等再生の申立日で判断されます。
なお、小規模個人再生にはこのような制限はありません。
以上、個人再生の開始要件の概要をご説明しましたが、収入要件等個別要件の詳細や住宅資金特別条項を利用するための要件については別稿をご覧ください。
個人再生での生命保険の取り扱いについて
1 個人再生と生命保険の関係について
個人再生は、債務整理の種類のうち、裁判所に再生計画が認可されると借金の一部を免除してもらえる制度です。
個人再生をする場合、原則として生命保険を解約する必要はありません。
個人再生は、全財産を処分して、借金を返済するという制度ではないため、無理にこれらの保険を解約する必要はありません。
ただし、個人再生では、清算価値保障の原則といって、最低でも手持ちの財産額以上の金額を返済に充てなければならないという決まりがあります。
そのため、生命保険に加入していて、解約返戻金がある場合、解約した場合の解約返戻金の見込額は財産とみなされ清算価値に計上する必要があります。
もっとも、解約返戻金が多額の場合は最低返済額が大きくなるため、毎月の返済可能額を超えてしまう可能性があります。
そのような場合は、生命保険を解約して、解約返戻金を返済に充てなければならなくなる可能性があります。
2 生命保険の解約返戻金とは
⑴ 生命保険の種類
生命保険の種類には、大きく分けて、掛け捨て型と貯蓄型があります。
掛け捨て型は、保険料を支払っている期間は保証を受けることができますが、解約返戻金はないため、保険を解約してもお金は戻ってきません。
これに対し、貯蓄型は、保険料の払込期間終了後に解約返戻金を受け取ることができます。
生命保険の解約返戻金とは、生命保険を解約した場合や保険料の払込期間終了後に保険会社から戻ってくるお金のことをいいます。
掛け捨て型の具体例としては、医療保険、がん保険などがあります。
貯蓄型の具体例としては、終身保険、養老保険、学資保険などがあります。
⑵ 解約返戻金が大きくなる場合どうなるか
掛け捨て型の生命保険に加入している場合、個人再生の手続に影響はありません。
解約したとしても、解約返戻金がないわけですので、清算価値に含めるものがないからです。
他方、貯蓄型の場合は、今生命保険を解約したとして戻ってくる解約返戻金を財産として申告して、清算価値に含める必要があります。
低解約返戻金型保険のように、貯蓄型でありながら、通常の貯蓄型保険よりも保険料が安く設定されている代わりに、途中解約した場合の返戻率が低くなっている商品もあります。
このような低解約返戻金型保険に加入している場合は、清算価値に含める金額も小さくなりますので、個人再生後の返済額への影響は小さくなります。
しかし、通常の貯蓄型保険に加入されていて、もし既に10年以上保険料を払い続けている方は、おそらく今解約したとして戻ってくる解約返戻金は、支払った保険料の8割を超える可能性があります。
このような場合は、注意が必要です。
3 生命保険で契約者貸付がある場合
生命保険の解約返戻金を担保として、生命保険会社からお金を借りている方もいるのではないでしょうか。
この制度のことを契約者貸付制度といいます。
解約返戻金の範囲でお金を借りることができ、利息も金融機関や消費者金融と比べるとかなり安く設定されているところが多いようです。
契約者貸付制度により借りている場合、もともと戻ってくる予定の解約返戻金の一部を先に受け取っているということになりますので、借金ということにはならないので、個人再生の対象にはなりません。
個人再生の評価申立てとは
1 債権者と債務者との間で借金の額が食い違ったらどうなるか
個人再生を申し立てて手続が進んでいくと、債権者と債務者との間で借金の額に食い違いが生じることがあります。
個人再生の申立てにあたっては、債務者が債権者一覧表を作成して、裁判所に提出します。
債権者一覧表には、債権者名、住所等に加えて借金の額も記載します。
債権者一覧表が裁判所から債権者に送付されると、債権者はこの借金の額で間違いないか確認します。
債権者側で特に異議がない場合はよいのですが、債権者から異議が出た場合は、債務者からさらにもう一度異議を申し立てることができます。
2 債務者から再度の異議が出た場合の手続
債務者が再度の異議を出した場合、債権者は裁判所に債権の評価申立てをすることができます。
評価申立てとは、裁判所に債権額の調査を依頼し、債権額を確定してもらう手続です。
債権者から評価申立てが出されると、裁判所によって個人再生委員が選任されることになります。
東京地方裁判所の場合には、評価申立てがなくても必ず個人再生委員が選任されますので変わりはありません。
それに対し、東京地方裁判所以外の場合、そうした運用をとっていないため、評価申立てをすると必ず個人再生委員が選任されることになり、個人再生委員に対する報酬が別途発生します。
そのため、評価申立てをするかどうかについては費用負担のメリット・デメリットを検討する必要があります。
3 評価申立てにかかる費用はだれが負担するか
まず、評価申立てをする方が裁判所に予納金を支払います。
予納金の相場は通常2万円から4万円ほどです。
この予納金を最終的に負担するのが債権者か債務者どちらになるかは、最終的に確定した債務額がどちらの主張する債務額かによって変わってきます。
評価申立てにおいて、債権者の主張する債務額が採用された場合は、債務者が費用を負担します。
他方、債務者の主張する債務額が採用された場合は、債権者が費用を負担します。
個人再生の分割予納金と履行テストとは
1 個人再生を東京地方裁判所に申し立てると個人再生委員が選任されます
個人再生手続は、個人の方が選択できる債務整理の手段の一つですが、裁判所で認可された再生計画にしたがって減額された負債を完済すれば、残余を免除してもらえる制度です。
個人再生委員を選任するかどうかは原則として裁判所が裁量で決める事項になりますが、東京地方裁判所では、全件で個人再生委員を選任する取り扱いをしています。
個人再生委員にはいくつかの役割があり、債務者の収入および財産を調査して個人再生手続開始決定の可否について裁判所に意見書を提出したり、再生計画案の作成について債務者にアドバイスをして書面決議および再生計画認可決定について裁判所に意見書を提出したりといったことを行いますが、東京地方裁判所では、予納金(個人再生委員の費用)を分割して個人再生委員に支払うことにより履行テストをあわせて実施するというものがあります。
2 履行テストとは
裁判所は、再生債務者が再生計画案にしたがって返済可能であると判断した場合に、再生計画について認可決定を出します。
再生債務者が再生計画案にしたがって返済できるかどうかについては、債務者の収入や支出の状況についての資料を基に判断することになりますが、個人再生手続では、それに加えて、履行テストというチェック方法が設けられています。
東京地方裁判所では、個人再生の申立てを行うと、個人再生委員が選任され、個人再生委員は、分割予納金の振込先口座を指定します。この予納金の分割支払いが履行テストを兼ねることになります。
そして、再生債務者は、再生計画で弁済することが見込まれる金額を、原則として6か月間、毎月指定された期限までにこの振込先口座に振り込むことになります。
初回の分割予納金の支払いは、申立て後1週間以内に設定されますので、事前の準備が必要です。
3 個人再生手続開始決定後も毎月分割予納金を支払う必要があります
個人再生委員は、個人再生手続開始についての意見書、書面決議に付することについての意見書など、手続の節目節目で裁判所に意見書を提出しますが、この意見書は、履行テストの実績を踏まえて作成されます。
このように、履行テストの実績は個人再生委員の意見書に反映され、この意見書を基に裁判所が手続きの進行について判断することになりますので、履行テストにおける分割予納金の支払いをしっかり行うことは、個人再生手続を進めるうえで極めて重要になります。
4 分割予納金は返還されます
個人再生委員には報酬が支払われますが、その報酬は、再生債務者が履行テストで積み立てた分割予納金から充てられます。
個人再生委員の報酬は、弁護士が代理人として申立てを行った場合は15万円、債務者本人の申立ての場合(司法書士が書類作成を代行している場合など)は25万円です。
積み立てた分割予納金から個人再生委員の報酬を控除した残額は、再生債務者に返還されることになり、弁護士が代理人になっている場合は、通常、代理人の預り金口座に返還されることになります。
個人再生委員の役割など
1 個人再生を東京地方裁判所に申し立てたら個人再生委員が必ず選任されます
東京地方裁判所では、個人再生申立事件については、小規模個人再生でも給与所得者等再生でも全件個人再生委員を選任する扱いになっています。
この個人再生委員にはいくつかの役割が与えられていますが、主なものとして、個人再生手続きを開始してよいかどうかという点と、再生債務者が提出した再生計画について認可してよいかどうかという点について、法律上の要件充足の有無等をチェックし、個人再生委員としての意見書を裁判所に提出するというものがあります。
個人再生委員の職務は、民事再生法223条2項によって以下のように規定されていて、裁判所は、案件ごとに個人再生委員が行うべき職務内容を下記の3つの中から指定することになります(通常は、3つすべて指定されます)。
①再生債務者の財産及び収入の状況を調査すること。
②評価申立てがあった際に再生債権の評価に関し裁判所を補助すること。
③再生債務者が適正な再生計画案を作成するために必要な勧告をすること。
2 再生債務者の財産及び収入の状況を調査すること
個人再生の申立てを行う際には、財産目録に預貯金等の財産を記載して通帳等のコピーを提出し、また、収入一覧に収入を記載して源泉徴収票や給与明細等の収入資料を提出します。
個人再生委員は、これらの書類や資料を確認して、再生債務者の財産状況や収入状況を確認します。
また、個人再生委員は、再生手続きを開始してよいかどうかについて裁判所に意見書を提出するにあたって、意見書を提出する前に再生債務者と面接を行い、聴き取りを行います。
この面接は、通常、個人再生委員の事務所で行われ、代理人の弁護士も同席します。
面接では、申立ての際に提出した書面や資料を基に、財産の状況、個人再生を行うに至った経緯、現在および将来の収入および支出の状況といった点について質問されます。
面接時間は1時間程度を見込んでおくとよいでしょう。
3 個人再生委員の報酬
個人再生委員は、裁判所が定める報酬を受け取ることができますが、これは、裁判所の手続費用になりますので、再生債務者が準備する必要があります。
報酬の金額は、裁判所毎に決められており、東京地方裁判所の場合、弁護士が代理人として申し立てる場合は15万円、本人が申し立てる場合(これを本人申立てといいますが、司法書士が書類作成を代行しているケースが大半です)は25万円と定められています。
4 東京地方裁判所以外では個人再生委員が選任されることは例外的です
東京地方裁判所では、個人再生事件は全件個人再生委員が選任されますが、東京都と境界を接する県にあるさいたま地方裁判所、横浜地方裁判所および千葉地方裁判所では、弁護士が代理人として個人再生の申立てを行った場合、原則として個人再生委員は選任されません。
選任されるのは、例えば住宅ローンが住宅資金貸付債権に該当するかどうか法律的な検討を要するケースや、履行可能性が微妙な案件になります。
また、再生債権について異議が申述され、異議の対象となった再生債権の債権者から債権の評価申立てがなされた場合も、再生債権の評価について裁判所を補助するために個人再生委員が選任されます。
個人再生委員が選任されると、個人再生委員の報酬に充てられる予納金を準備しなければならず、また、個人再生委員との面接の負担が発生し、さらに手続き終了までに要する期間が少々長期化するといったデメリットもありますので、原則として個人再生委員が選任されない裁判所の管轄内に居住されている方は、個人再生手続の経験が豊富な弁護士に相談し、依頼する方が良いでしょう。
また、必ず個人再生委員が選任される東京地方裁判所が管轄になる方の場合、必ず選任されるのであれば自分で申し立てをしようと考える方もいらっしゃるかもしれませんが(なお弁護士が就いているかどうかによって個人再生委員の報酬額は異なります)、裁判所や個人再生委員とのやり取りは時間と労力を要しますので、弁護士への依頼をお勧めします。
個人再生での自動車保険や火災保険の解約返戻金の取扱いについて
1 個人再生と自動車保険や火災保険の関係について
個人再生は、個人の方が選択できる債務整理の手段のうちの一つで、法律の規定に従い減額された負債を原則3年(最長5年)で分割返済すると、残余が免除されることを特色とする制度です。
この個人再生手続では、債務者の財産は換価処分されることはないですので、自動車保険や火災保険が個人再生手続内で解約されることもありません。
破産手続では、一定金額以上の解約返戻金がある保険は原則として破産管財人によって解約され解約返戻金が破産財団に組み入れられますが、個人再生ではそのようなことは行われない、ということになります。
ただし、個人再生では、清算価値保障原則が適用されますので、再生計画で定める最低弁済額は、債務者が有する財産の金額以上でなければなりません。
そのため、解約返戻金が発生する自動車保険や火災保険に加入している場合、その保険は解約返戻金の金額の価値があると評価されますので、解約した場合の解約返戻金の見込額を清算価値に計上する必要があります。
2 自動車保険の解約返戻金とは
⑴ 自動車保険には自賠責保険と任意保険がある
自動車保険における解約返戻金とは、自動車保険を解約した場合に保険会社から戻ってくる金銭のことをいいます。
例えば、保険期間1年間で、年間保険料を契約時に一括払いしていたところ、車が大破し廃車になったため1か月後に自動車保険を解約したようなケースでは、未経過期間に対応する保険料が返還されるのが通常です。
もちろん、全ての自動車保険で解約返戻金が出るわけではありませんので、以下、自賠責保険と任意保険に分けてご説明します。
⑵ 自賠責保険の場合
自賠責保険は、強制保険と呼ばれているように、全ての自動車について法律上加入が義務付けられています。
そして、自賠責保険の保険料は現金一括払いが基本となりますので、廃車等のため自賠責保険に加入する必要がなくなり有効期限前に解約すると、解約返戻金が支払われます。
しかし、自賠責保険は自動車を所有している限り加入が強制されるものですので、既に車を廃車にしていて自賠責保険を解約できる状況にあるような場合を除き、債務者の財産として計上されるべき性質のものではありません。
したがって、個人再生手続において、自賠責保険の解約返戻金を清算価値に計上する必要はありません。
⑶ 任意保険の場合
任意保険は、その名のとおり加入は任意であり、中途解約もできますので、解約により解約返戻金が発生する場合には、債務者の財産として清算価値に計上しなければなりません。
任意保険の解約返戻金は、各損害保険会社が定めている約款に従って計算されることになりますが、保険料を月払いにしている場合は、通常、解約返戻金は発生しません。
3 火災保険の解約返戻金とは
住宅ローンを組んで自宅を購入する場合、とくに戸建てを購入したケースでは購入時に長期一括払いの火災保険に加入することが多くなっています。
例えば、50万円の保険料を契約時に支払って保険期間30年の火災保険に加入する、というような感じです。
このような場合、仮に保険期間が10年経過した時点で個人再生手続きに入るとすると、その時点で解約した場合の解約返戻金(未経過期間分の保険料が戻ることになります)を清算価値として計上しなければならないことになりますが、保険期間があまり経過していない場合、その金額は数十万円になることもあります。
ただし、住宅ローンの融資を行った銀行等が火災保険の保険金請求権に担保権としての質権の設定を行っている場合は、債務者が自由に解約することはできないですので、解約返戻金が発生する場合でも、清算価値に計上する必要はありません。
個人再生と住宅ローン銀行の口座凍結
1 個人再生をする場合借り入れをしている銀行の口座は凍結される
個人再生は、個人の方が裁判所で行うことができる債務整理の手段の一つで、裁判所に認可された再生計画にしたがい圧縮された負債を完済すると、残りの負債が免除される制度です。
また、債務整理における口座凍結とは、預貯金口座から主に出金(現金引き出し、口座振替、口座からの振込)ができなくなるようにする銀行の措置をいいます(給料等の振込先口座として指定されている場合は、口座凍結後も入金されます)。
銀行からカードローン等の借り入れがある場合、個人再生ではすべての負債が手続きの対象となりますので、当該銀行の口座は、基本的に、債務整理についての弁護士の受任通知を当該銀行が受領した時に凍結されることになります。
これは、弁護士の受任通知を受領した時点の口座残高を銀行が有する債権の弁済に充てるためです(これを法律用語で相殺と言います)。
このように、口座の凍結は相殺を目的とするものですので、銀行内部で相殺の手続きと保証会社からの代位弁済が終了した後は、凍結は解除されることになります。
2 住宅資金特別条項がある場合の口座凍結の可能性
自宅の住宅ローンとそれ以外の負債がある場合、住宅資金特別条項を利用することで、住宅ローンの返済を継続しつつ、それ以外の負債を整理することができます。住宅ローンの返済は継続しますので、自宅は競売等されることはなく、居住し続けることができます。
住宅ローン債権者の多くは銀行や信用金庫で、住宅ローンの返済も当該金融機関の口座からの振替で行っていることが大半ですので、弁護士から受任通知を送付すると口座が凍結されるのではないかという懸念が生じます。
ただ、本稿の執筆者は、このような案件では、住宅資金特別条項を利用し住宅ローンは返済を継続する旨を記載した受任通知を送付していますが、これにより口座が凍結されたという報告は受けておりません。
金融機関は、約定通り住宅ローンの返済を受け、保証会社に対して保証履行を請求するわけではないですので、口座凍結がなされないのはむしろ当然とも考えられます。
ただ、住宅ローンを組んだ銀行等にカードローン等の住宅ローン以外の負債がある場合は別に考える必要があります。
この場合、住宅資金特別条項を利用し住宅ローンは返済を継続する旨を記載した受任通知を送付しても、住宅ローン以外の負債については期限の利益を喪失し、銀行等は保証会社に対し保証履行(代位弁済)を請求することになるからです。
このようなケースについての銀行等の対応は区々だと思いますが、本稿の執筆者は、このようなケースでは口座が凍結されることを前提とした対応を依頼者の方に指示しています(例えば、給料振込先口座が当該銀行の場合は負債のない別の銀行に変更することなど)。
個人再生をする場合の保険の取扱い
1 個人再生と生命保険の関係について
個人再生は、裁判所で行われる手続きで、法律のルールにしたがい減額された負債を原則3年、最長5年で返済すれば、残りの負債が免除されるという制度です。個人の方の債務整理の手段として利用することができます。
個人再生は、破産手続と異なり債務者の財産を換価処分して債権者に配当する手続ではないので、債務者の方が契約者として加入している保険があったとしても、個人再生手続きの中で解約されることはありません。
そのため、換価処分されることを避けたい財産がある場合は、個人再生を検討することとなります。
2 生命保険の解約返戻金とは
保険の解約返戻金とは、保険契約を解約した場合に保険会社から保険契約者に支払われる金銭のことを言います。
保険事故が発生した場合の保険金は保険契約の際に指定した受取人または約款で定められている受取人に支払われますが、保険の解約返戻金は保険契約者に支払われます(保険の解約ができるのも保険契約者のみです)。
解約返戻金が発生するかどうかは商品ごとに保険契約(約款)で決められますが、解約返戻金が発生する保険は毎月の保険料が比較的高い傾向があります。
なお、解約返戻金とは性質は異なりますが、例えば保険期間2年間の自動車保険の保険料を契約時に一括で支払い、保険期間開始から6か月後に解約する場合、未経過期間分の保険料が戻ってきます。
この払い戻される保険料も、個人再生手続では解約返戻金と同様に考えることになります。
通常は、解約返戻金と比べて金額は低いですが、長期一括で火災保険に加入している場合は、払い戻される保険料も数十万円になることがあります。
3 解約返戻金の額が大きい場合
個人再生手続で最低限返済しなければならない金額を決めるための基準には、①再生債権総額で決まる基準、②清算価値基準、③可処分所得の2年分基準の3つの基準があり、小規模個人再生では①か②のうち金額が大きい方、給与所得者等再生では①から③のうちで最も金額の大きい基準が適用されます。
このうち、②清算価値基準とは、再生債務者が有する財産の総額ということであり、保険の解約返戻金も再生債務者の財産となりますので、清算価値に計上されることになります。
仮に再生債権の総額が1000万円だった場合、①の基準では、最低弁済額は200万円となりますが、清算価値として計上しなければならない財産の総額が300万円の場合は、小規模個人再生を行った場合の最低弁済額は300万円になります。
保険は、とくに貯蓄型の保険に長期間加入している場合、解約返戻金が数百万円になることもあり、そうなると、清算価値の金額も膨れ上がりますので、毎月の返済金額も多くなってしまいます。
個人再生手続では、再生債務者の財産は換価処分されることはありませんが、財産があることで返済が膨らみ履行可能性に問題が生じる場合は、任意整理等別の手続を検討しなければならないケースも出てくるでしょう。
4 契約者貸付を利用している場合
解約返戻金が発生する保険の場合、解約返戻金を担保として保険会社から貸し付けを受けられることがあり、これを契約者貸付といいます。
不動産等を担保に提供して貸し付けを受ける場合は無担保よりも金利が低いですが、この契約者貸付も、解約返戻金を担保として貸し付けを受けるものですので、通常、金利は低く設定されています。
契約者貸付制度を利用して貸し付けを受けている場合、形式的には保険会社に対して債務を負担しているということになりますが、実質的には解約返戻金の一部払い戻しと同視できますので、個人再生手続では、この借入債務は再生債権とはなりません。
また、清算価値の計算においても、解約返戻金見込額から契約者貸付で借り入れた債務の残額を控除した金額が清算価値として計上されることになります。
個人再生が不認可や廃止で失敗になる場合とは
1 個人再生が失敗になる場合とは
⑴ 個人再生とは
個人再生は、地方裁判所で行われる手続きで、個人の方が選択できる債務整理の手段の一つですが、裁判所によって認可された再生計画案にしたがい減額された負債を分割弁済すれば、残余が免除されることになります。
個人再生には小規模個人再生と給与所得者等再生があります。
小規模個人再生で返済しなければならない金額は、例えば再生債権額の総額が500万円以上1500万円未満の場合は原則としてその5分の1の金額になりますが、その金額よりも債務者の方が現在有している財産の総額が大きければ、その財産額以上の金額を返済しなければなりません。
これは、債権者が破産手続よりも不利に扱われてはならないという点から要求されるもので(破産手続では、原則として破産者の財産は換価処分され破産債権者に配当されます)、実務上、清算価値保障原則と呼ばれています。
例えば、債務者の方の勤務先に退職金制度があり、仮に自己都合退職した場合に800万円の退職金が支払われるという場合、原則としてその8分の1の金額である100万円が債務者の財産として「清算価値」に計上されます。
⑵ 個人再生が失敗するケースは4パターンある
個人再生が失敗するケースとしては、①個人再生の申立てが棄却される場合、②再生手続開始後、その手続中に手続が廃止される場合、③再生計画が不認可になる場合、および④再生計画認可確定後に取消しになる場合の4パターンが考えられます。
2 個人再生の申立てが棄却される場合
個人再生を含む再生申立ては、次の4つのいずれかに該当する場合は、棄却されることになります。
①再生手続の費用の予納がないとき。
②裁判所に破産手続又は特別清算手続が係属し、その手続によることが債権者の一般の利益に適合するとき。
③再生計画案の作成若しくは可決の見込み又は再生計画の認可の見込みがないことが明らかであるとき。
④不当な目的で再生手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき。
個人再生の申立ては、以下の場合に棄却されます。
⑴ 小規模個人再生のが棄却される場合
個人ではない法人が個人再生の申立てを行った場合のほか、小規模個人再生の申立ては、次の事由に該当する場合に棄却されます(厳密には、通常の再生手続を希望しない意思を明らかにしていたときに棄却されます)。
①再生債権の総額(住宅資金貸付債権⦅住宅ローン⦆の額など法律に定めるものを除きます)が5000万円を超える場合
②将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがない場合
⑵ 給与所得者等再生の申立てが棄却される場合
給与所得者等再生の申立ては、⑴に該当する場合のほか、以下の事由がある場合(かつ小規模個人再生を希望しない旨を明らかにしている場合)に棄却されます。
①再生債務者が給与またはこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者に該当しないか、またはその額の変動の幅が小さいと見込まれる者に該当しないこと。
②再生債務者が給与所得者等再生またはこれに類似する手続を利用してから7年以内に給与所得者等再生の申述がなされていること。
3 個人再生手続中に手続が廃止される場合
⑴ 小規模個人再生の場合書面決議が否決されると手続廃止になります
小規模個人再生の場合は、再生債務者が提出した再生計画案について再生債権者による書面決議があり、議決権者総数の半数以上が同意しない場合や、同意しない議決権者の議決権の額が議決権者の議決権の総額の2分の1を超えた場合は、再生計画は否決となり、手続は廃止されてしまいます。
上記の表現は少々わかりにくいかもしれませんが、議決権を有する再生債権者(住宅資金特別条項を利用する場合の住宅ローン債権者は議決権を有しません)が10人いてそのうち5人が同意しなかった場合や、再生債権の総額(住宅資金特別条項を利用する場合の住宅ローンの額などは除きます)が1000万円の場合に500万1円の再生債権を有する再生債権者が同意しなかった場合は手続廃止になるということです。
なお、給与所得者等再生の場合は、書面決議はありません。
⑵ その他の再生手続が廃止される事由
書面決議以外で再生手続が廃止される場合には、①財産目録に記載すべき財産を記載しなかった場合や不正な記載ないし虚偽の記載をした場合、②裁判所の定めた期間または伸長した期間までに再生計画案が提出されない場合、および③提出された再生計画案が決議に付するに足りないものである場合などがあります。
4 再生計画が不認可になり手続きが廃止される場合
個人再生手続きは、再生債務者が提出した再生計画が認可されることで終了しますが、不認可となった場合は、再生手続きは廃止されることになります。
民事再生法は再生計画が不認可となる事由を規定していますが、まず再生手続一般に共通するものとして以下のような事由があります(ただし、給与所得者等再生には決議がないため、決議を前提とするものについては適用されません)。
①再生手続または再生計画が法律の規定に違反し、かつ、その不備を補正することができないものであるとき(ただし再生手続の法律違反はその違反の程度が軽微な場合は不認可になりません)。
②再生計画が遂行される見込みがないとき。
③再生計画の決議が不正の方法によって成立するに至ったとき。
④再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反するとき。
また、小規模個人再生は、再生債務者が将来において継続的にまたは反復して収入を得る見込みがないときや、無異議債権の額および評価済債権の額の総額(住宅資金貸付債権の額等は除きます)が5000万円を超えているときなどに再生計画が不認可となり、給与所得者等再生は、5000万円要件を充たさない場合のほか、再生計画が再生債権者の一般の利益に反するときや、再生債務者が給与もしくはこれに類する定期的な収入を得ている者に該当しない場合などに不認可となります。
5 再生計画認可確定後に取消しになる場合
再生手続一般について、再生計画認可の決定が確定した場合でも、①再生計画が不正の方法により成立した場合や、②再生債務者が再生計画の履行を怠った場合等には、再生債権者の申立てにより、裁判所は再生計画取り消しの決定をすることができます。
また、小規模個人再生は、再生計画で弁済することとなった金額が、再生計画認可の決定があった時点で再生債務者が破産手続きを行ったと仮定した場合に債権者に配当される金額を下回ることが明らかになったことも取消事由とされています(清算価値保障原則違反になります)。
給与所得者等再生については、小規模個人再生と同趣旨の取消事由のほか、再生計画で弁済することとなった金額が可処分所得の2年分を下回ることが明らかになった場合も取消事由とされています。
個人再生後に一括返済や繰り上げ返済はできるか
1 個人再生とは
個人再生は、裁判所で行う債務整理の手続で、認可された再生計画にしたがい減額された金額を返済すれば、残りの債務を免除してもらえる制度です。
個人再生には、小規模個人再生および給与所得者等再生の2種類の手続があり小規模個人再生では、①100万円、②再生債権総額の5分の1(再生債権総額が1500万円未満の場合)、または③再生債務者が有する財産の清算価値のうち最も高い金額が最低弁済額となり、この最低弁済額以上の金額(通常は最低弁済額またはそれに近い金額にします)を、原則として3年で分割弁済することになりますが、特別な事情がある場合には5年まで延長が認められます。
この分割弁済は、裁判所に認可され確定した再生計画に従って行うのが原則です。
2 個人再生後に一括返済や繰り上げ返済はできるのか
⑴ 個人再生後に事情が変わった場合
裁判所で個人再生手続きを行い再生計画が認可、確定し、再生計画にしたがった返済が開始した後に、収入が大幅に増加して貯蓄ができた場合や、相続によって相当額の遺産を取得した場合に、繰り上げ返済や残額の一括弁済を検討される方もいらっしゃいます。
個人再生で返済する金額には経過利息は発生ませんので、繰り上げ返済しても返済総額は変わりませんが、振込手数料の負担はありますので、早く完済してしまいたいと考える方もいらっしゃると思います。
⑵ 一括返済や繰り上げ返済は禁止されていない
一括返済とは債務全額を1回で支払うことであり、繰り上げ返済とは、決められた分割返済の金額に加えて残債務額の一部または全部を返済することをいいます。
個人再生手続きでは、再生計画案を作成する際、返済期間を3年未満とすることはできませんが、再生計画に基づく分割返済中に、一括返済や繰り上げ返済を行うことを直接に禁止する規定はありません。
⑶ 全ての債権者に平等に返済することが必要
このように、再生計画に基づく返済中に一括返済や繰り上げ返済を行うことは可能です。
ただし、その返済方法については慎重に検討しなければなりません。
というのも、債務整理をする場合、原則として債権者は平等に扱われなければならないという「債権者平等の原則」が適用されますが、個人再生は裁判所で行われる法的整理手続のため、「債権者平等の原則」が厳しく要求されます。
そこで、再生計画に基づく返済中に残額一括返済や繰り上げ返済を行う場合、一部の債権者にのみ一括返済や繰り上げ返済をすると、他の債権者に不公平となり債権者平等の原則に抵触しますので、残額を一括返済するのであれば全債権者に対し同時に行い、一部を繰り上げ返済するのであれば同じ返済率で行うべきでしょう。
⑷ 債権者への事前の確認は必要です
このように、全ての債権者に平等に一括返済ないし繰り上げ返済をする場合は、基本的に問題はありません。
ただし、債権者に断りもなく一括返済や繰り上げ返済を行うと債権者側も困惑しますので(一括返済ないし繰り上げ返済なのか、それとも返済金額の間違いなのか区別できません)、事前に各債権者に連絡し、一括返済ないし繰り上げ返済をする旨を伝えておかなければなりません。
⑸ 再生計画に基づく返済開始後すぐの一括返済や繰り上げ返済は慎重に
個人再生を行う方の中には、個人再生の申立て時点においてそれなりの財産(預貯金等の流動資産)がある方もいらっしゃいます(このような方の場合、返済金額は清算価値の金額になることが多いです)。
このような方の場合、原資として、再生計画に基づく返済の開始直後に一括返済や繰り上げ返済を行うことも可能です。
しかし、返済開始からそれほど日が経っていない場合は慎重に検討しなければなりません。
再生債務者は、支払不能になるおそれがあったからこそ裁判所に個人再生の申し立てをしたわけですが、再生債権者の立場から見ると、裁判所の認可決定が確定し返済が開始してすぐに一括返済や繰り上げ返済をされると、申立て当初から不正な方法で不当に債務を免れることが申立ての目的だったのではないかと疑いたくなるでしょう。
特に、返済が開始してから半年も経過していない時点で一括返済や繰り上げ返済が行われる場合は、再生債権者は財産隠しを疑う可能性もあります。
そのため、返済原資が入ったため一括返済や繰り上げ返済を検討するのであれば、そのタイミングや債権者への連絡について、事前に、個人再生手続きを依頼した弁護士によく相談するべき場合が多いでしょう。
個人再生と退職金
1 個人再生とは
個人再生は、個人の方が選択できる債務整理の一手段で、裁判所で行われる手続きになりますが、法律のルールに従い減額された負債を裁判所に認可された再生計画案に従い分割返済すれば、残りが免除されることになります。
この個人再生には2種類あり、一つは小規模個人再生で、もう一つは給与所得者等再生になります。
実務上多く利用されているのは小規模個人再生になります。
個人再生で返済しなければならない最低金額を最低弁済額と言いますが、小規模個人再生では、①再生債権額を基準に決まる金額(ただし最低金額は100万円で、再生債権の総額が100万円よりも少ない場合は再生債権全額)と、②清算価値(=再生債務者が有する財産の総額)で決まる金額のうち高いほうの金額が最低弁済額となります。この最低弁済額以上の金額を、原則3年、特別な事情がある場合には5年で返済することになります。
2 清算価値とは
個人再生手続きでは、最低弁済額はいくつかの基準により決まりますが、その一つの基準として、再生債務者が現在有している財産の価値以上の金額を返済しなければならないというものがあります。
自己破産手続きでは、理念的には、破産者の財産は自由財産を除き債権者への配当に充てられることになりますので、個人再生手続きでの最低弁済額が再生債務者の財産よりも少なくてよいとすると、債権者は自己破産手続きの場合よりも不利益な立場に置かれてしまうため、このようなルールが作られています。
このルールは実務上、清算価値保障原則と呼ばれ、債務者が有している財産を「清算価値」といいます。
小規模個人再生では、1で述べた通り、最低弁済額を決める基準として、①再生債権額で決まる基準(例えば、確定した再生債権額の総額が600万円の場合は120万円)があり、また、給与所得者等再生の場合は③可処分所得の2年分という基準もありますが、再生債務者の「清算価値」がこれらの基準で決まる最低弁済額を上回る場合は、清算価値が最低弁済額となります。
3 個人再生における退職金の評価方法
退職金は、再生計画の認可決定時に自己都合退職したと仮定した場合の退職金見込額を基準に清算価値に計上されますが、退職金請求権は、原則として手取り額の4分の3に相当する金額は差押えが禁止されており(差し押さえ可能なのは4分の1)、破産手続きにおいても自由財産となります。以下では、退職時期を分けてどの程度清算価値に計上されるかについてご説明します。
⑴ 近い将来に退職する予定がない場合
退職金は将来退職するタイミングで支払われるものですが、退職までは通常、それなりの期間がありますので、その間に勤務先が倒産すると支払われない可能性もあります。
つまり、退職金が支給されるかどうかは、個人再生手続きを行う現時点では不確実です。
そのため、多くの裁判所では、現時点で自己都合退職したと仮定した場合に支給される退職金額の8分の1を清算価値として計上する運用を取っています。
⑵ 既に退職したが退職金をまだ受け取っていないか、近い将来退職する場合
これらの場合は、退職金規程等で決められた退職金全額を受け取れる可能性が高いですので、退職金額の4分の1について、清算価値への計上を求める裁判所が多いです。
⑶ すでに退職し、かつ退職金を受け取っている場合
すでに退職し、かつ退職金を受け取っている場合は、財産としては現金や預貯金となりますので、申立てを行う裁判所のルールに従い現金ないし預貯金として清算価値に計上することになります。
4 個人再生の申立てを検討している方は退職する時期を見極めるべき
このように、退職金請求権については清算価値への計上が8分の1ないし4分の1の金額となりますが、退職金を受領し、現金ないし預金になってしまうと、現金ないし預金として清算価値への計上を求められることになり、通常、退職金請求権として清算価値に計上する場合よりも高額になります。
清算価値に計上する金額が増えると、最低弁済額が清算価値で決まるケースの場合、返済する金額が増大し、履行可能性の点で問題が生じることにもなりかねません。
そのため、とくに定年退職が迫っている方は、できるだけ早く手続きを進めることが重要となります。
個人再生の給与所得者等再生における可処分所得とは
1 個人再生とは
個人再生手続は、地方裁判所で行われる手続きで、借金等の負債の返済が困難になった場合に、法律が規定する一定のルールに従って減額された負債を原則3年間で分割して返済すれば、残りの債務が免除されます。
これにより、債務整理の目的を達成することができます。
なお、すべての負債が減額されるわけではなく、養育費や税金など一部の債務は除外されます。
2 小規模個人再生の場合
小規模個人再生の場合、再生計画により最低限返済しなければならない金額(最低弁済額)は、①再生債権総額によって決まる金額か、または②清算価値(再生債務者の財産の総額)のいずれか高いほうの金額になります。
例えば、再生債権総額が600万円で、清算価値が50万円の場合、最低弁済額は120万円(600万円×0.2)となりますが、清算価値が150万円であれば、最低弁済額は150万円になります。
3 給与所得者等再生手続きについて
給与所得者等再生の場合は、小規模個人再生の場合の①および②の基準に加えて③可処分所得の2年分という基準も加わります。
ただし、小規模個人再生と異なり、給与所得者等再生では書面決議が行われないため、再生債権者により再生計画案が否決されることはありません。
この③可処分所得の2年分の金額は、、①や②と比べて高額になることが多く、実務上は、給与所得者等再生の件数は小規模個人再生よりもかなり少なくなっています。
4 可処分所得の計算方法
可処分所得とは、再生債務者の1年分の収入合計額から、所得税、住民税、社会保険料および1年分の生活費(法律上は「再生債務者とその扶養を受けるべき者の最低限度の生活を維持するために必要な費用」と規定されています)を控除した金額をいいます。
可処分所得の金額は、配偶者や子といった扶養家族の有無、人数および年齢、扶養家族との同居の有無、再生債務者の住んでいる地域などによって変わってきます。独身の方は生活費が少ないため、可処分所得の金額はかなり大きくなる傾向があります。
5 弁護士法人心にご相談ください
給与所得者等再生における可処分所得の計算は、源泉徴収票や課税証明書など必要書類を揃え、専用のエクセルソフトを利用すると簡単に計算できますが、一般の方には難しい作業だと思います。
池袋で個人再生をお考えの方は、お気軽に弁護士法人心 池袋法律事務所までご相談ください。
個人再生する場合滞納している税金や健康保険等はどうなるか
1 個人再生とは
個人再生は、裁判所で行う債務整理の手続きで、法律のルールに従い減額された負債を原則3年間で返済すると、残余の支払いを免除してもらえる制度です。
もっとも、特に個人事業者の方の場合は、借金の返済だけではなく、国民年金保険料や国民健康保険料に未払いがある場合や、税金の滞納がある方もいらっしゃると思います。
それでは、個人再生では、このような滞納している税金や保険料はどのように取り扱われるのでしょうか。
2 個人再生における公租公課の取扱い
公租公課とは、国や地方公共団体に納める税金等の総称です。
公租は所得税等の国税や住民税等の地方税をさし、公課は社会保険料など公租以外で国や地方公共団体が徴収する金銭をいいます。
個人再生手続きでは、このような公租公課については、消費者金融からの借入金など一般の負債とは異なる取扱いを受けます。
具体的には、個人再生手続きでは公租公課は一般優先債権として扱われ、減額されることはなく、手続外で全額を支払わなければなりません。
3 個人再生における一般優先債権の取り扱いについて
民事再生法122条1項は、一般の先取特権その他一般の優先権がある債権(共益債権であるものを除く)を一般優先債権とし、その2項で、「一般優先債権は、再生手続によらないで、随時弁済する。」と規定しています。
つまり、租税公課等の一般優先債権は個人再生手続きの対象にはならず、手続きとは関係なく返済を継続していく必要があります。
また、一般優先債権の債権者は、個人再生手続き外で債務者から任意の返済を受けられるだけではなく、強制執行の申立てを行うことも可能です。
4 滞納処分について
滞納となっている税金等を強制的に徴収するため、その滞納している人の財産を差し押さえ、場合によってはその財産を公売等により換価し、滞納している税金等に充てる一連の強制徴収手続を滞納処分と言います。
一般の貸金等について強制執行を行い回収するためには原則として訴訟や支払督促という手続きを行わなければなりませんが、滞納税金等を強制的に回収する場合、そのような手続を行う必要はありません。
税金等の滞納があり、この滞納処分が行われる可能性が高いと、再生計画案の履行可能性がないと判断され不認可となる可能性が高くなります。
また、実際に滞納処分によって給料の差し押さえなどが行われた場合には、再生計画の履行は困難であるとして再生計画の認可不認可を判断する前に手続が廃止される可能性もあります。
そのため、税金や健康保険料の滞納がある場合には、可能な限り支払っておくのが望ましいといえます。
5 公租公課が一括で支払えない場合はどうするか
滞納している公租公課を一括で納付することが困難な場合は、その納付方法について事前に公租公課庁と協議を行い、猶予期間や分割納付の方法について合意を取り付けておく必要があります(国民年金等申請による減免の制度があるものについては速やかに申請します)。
個人再生手続きでは、この合意や減免を前提としたうえで、履行可能性が認められる再生計画案を作成する必要があります。
弁護士法人心では、個人再生のご相談は無料で承っておりますので、池袋で個人再生をお考えの方は、お気軽にご相談ください。
2回目の個人再生ができる場合とは
1 個人再生とは?
個人再生は、裁判所で行われる債務整理の手段の一つです。
その手続については、民事再生法が規定しており、この法律に従って行われることになります。
個人再生とは、端的に説明すると、現在の資産や今後の収入では、すべての債務の返済が困難という状態の方が、裁判所に、税金や養育費などの例外を除く、全ての債務の返済額を大幅に免除してもらい、分割で支払っていく手続です。
個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類があります。
個人再生のうちでも基本類型となるのが小規模個人再生です。
給与所得者等再生は、小規模個人再生の特則という位置付けになります。
また、個人再生は住宅ローンがある場合でも自宅を残したまま進められる手続です。
2 2回目の個人再生の条件
⑴ 個人再生は住宅ローンを残すことができる可能性が高い手続
個人再生は、住宅ローンがある場合でも、従前どおり住宅ローンを支払いながら、住宅ローン以外の借金を減額できる手続です。
しかし、2回目の個人再生を行おうとする場合には、そもそも住宅ローンの返済ができるかどうかで判断すべきでしょう。
⑵ 1回目の個人再生で住宅資金特別条項を利用している場合
個人再生では、裁判所に再生計画という支払計画を提出します。
自宅を残すために個人再生手続を選択したのであれば、住宅資金特別条項を利用した形の再生計画になっていると思われます。
個人再生は圧縮後の債務を3年から5年の分割払いで返済していきます。
これに対し、住宅ローンの場合、10年から20年以上の長期分割で返済していくことが多いと思います。
2回目の個人再生を行うかどうか検討するということは、1回目の再生計画どおりに返済することが難しい状況にあったり、再度新規の借り入れを行って、その返済が困難となったりしているということになります。
返済計画が守られなかった場合は、住宅ローン以外の借金は、減額前の借金額に戻ってしまいます。
2回目の個人再生をするかどうかを決める時点で、住宅ローンは継続して返済可能ということであれば、2回目の個人再生を行うメリットはあるといえます。
これに対し、従前どおりの住宅ローンの返済が難しい場合、個人再生よりも自己破産を選択せざるをえないといえます。
なお、個人再生を行ったが、不可抗力により再生計画どおりに返済できない場合、ハードシップ免責制度が使える可能性があります。
ハードシップ免責が認められる要件は厳しいですが、これが認められると借金の残額すべての返済を免除してもらえます。
⑶ 2回目の個人再生ができない場合
個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類の手続があります。
給与所得者等再生を行ってから7年以内に、再度、給与所得者等再生を行うということはできません。
しかし、1回目が小規模個人再生であった場合や、1回目が給与所得者等再生であっても2回目が小規模個人再生であれば手続を選択することができます。
個人再生とは
1 個人再生とはどういった手続きか
個人再生とは、端的に説明すると、現在の資産や今後の収入ではすべての債務の返済が困難という状態の方が、裁判所に、税金や養育費などの例外を除く全ての債務の返済額を大幅に免除してもらい、分割で支払っていく手続です。
個人再生の結果、債権額がいくらになるかは債権額によって変わりますが、5分の1程度に圧縮されると説明されることが多いです。
支払期間は原則として3年間、36回の分割払いで行い、特別な事情がある場合には、裁判所の許可をもらって最長5年、60回の分割払いとすることができます。
2 個人再生の手続の種類
⑴ 2種類の手続きがある
個人再生の手続は、小規模個人再生と給与所得者等再生という2種類の手続があります。
小規模個人再生が原則的な手続であり、給与所得者等再生が例外と考えていただいてもよいでしょう。
ア 小規模個人再生
小規模個人再生では、裁判所に申し立てた後、債務を大幅に減額することについて、債権者の意見を聞くことになります。
そして、債権者の頭数で過半数、もしくは債権総額の過半数相当額を有する債権者が積極的に反対意見を出した場合は、小規模個人再生を続けることができなくなります。
例えば、債権者が3社いて、債権の総額が500万円だったような場合、債権者の内2社が反対するか、250万0001円以上分の債権を有する債権者が反対した場合は、小規模個人再生を続けられません。
イ 給与所得者等再生
給与所得者等再生においては、債権者の意見を聞くことなく手続を進めることができます。
ただし、債権者の意見を聞かない代わりに、もうひとつ条件が増えることになります。
給与所得者再生においては、返済すべき額が、可処分所得の2年分となります。
可処分所得の2年分を返済するというのは、簡潔に言うと、今の収入で2年間かなり切り詰めた生活をした場合に余る金額を返済するということです。
可処分所得の2年分の金額を計算してみると、最終的な返済額が、小規模個人再生の場合より高額となってしまう場合があります。
そのため、小規模個人再生が利用できそうであれば、小規模個人再生を利用するのが一般的です。
⑵ どちらの種類になるのか
債権者の数や各債権者の債権額によって、小規模個人再生か給与所得者等再生のどちらになるかの見通しは変わります。
個人再生をお考えの方は、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
個人再生について弁護士に依頼するまでの流れ
1 個人再生とは?
個人再生は、裁判所で手続きを行う、債務整理の手段の一つです。
その手続きについては、民事再生法が規定しており、この法律に従って行われることになります。
個人再生とは、現在の資産や今後の収入ですべての債務を返済することが困難であるという状態の方が、裁判所に、税金や養育費などの例外を除く、すべての債務の返済額を大幅に免除してもらい、分割で支払っていく手続きです。
免除後の債務の額がいくらになるかは、債務の総額によって変わりますが、5分の1程度に圧縮されると説明されることが多いです。
支払期間は原則3年間、36回の分割払いで行います。
特別な事情がある場合には、裁判所の許可を得て最長5年、60回の分割払いとすることができます。
2 個人再生を得意とする弁護士を探す
個人再生は、法律の規定に従って裁判所で行われる手続ですので、手続をスムーズに進めるためには、民事再生法についての知識があり、かつ、裁判所の実務について精通している弁護士に依頼するのが最もよいでしょう。
個人再生を得意とする弁護士を探す際は、その法律事務所に債務整理に関するウェブサイトがあるかどうか等を目安とするとよいでしょう。
3 相談の予約をしましょう
相談する法律事務所が決まったら、その事務所に連絡して、法律相談の予約をしましょう。
4 相談前に準備をしましょう
個人再生は、自己破産と異なり、一定額を返済することを前提とする手続です。
そのため、相談にあたっては、返済見込額を算出するための資料と、家計にどの程度の余裕があるかが分かる資料が必要になります。
返済見込額を算出するためには、まず債権者と借金額を正確に把握する必要があります。
借金について把握しやすくするために、債権者名と借金額を記載した一覧表を作成するとよいでしょう。
また、返済見込額を算出するためには資産も把握する必要があります。
ご自分の資産についても把握しやすくなるよう、預貯金残高、退職金見込額、加入している保険の解約返戻金見込額、社内貯蓄の金額、自動車の査定額等についても資料等を用意しておくとよいでしょう。
さらに、家計にどの程度の余裕があるかを把握するためには、1か月分のモデルとなる家計表を作成するのが最も良い方法です。
平均的な1か月の収入から、1か月分の恒常的な支出を控除した残額が、家計の余裕額になります。
なお、住宅を残すために住宅資金特別条項を利用する場合は、要件を充たしているかどうか判断するため、住宅ローンの契約書や自宅の登記事項証明書を用意しておくとよいでしょう。
明らかなオーバーローン(住宅ローン残額が自宅の査定額を上回る状態)とは言えない場合は、住宅の査定書も用意するとよいと思います。
査定書は不動産業者に依頼すれば、サービスで作成してくれることがあります。
5 法律相談当日
個人再生の法律相談では、弁護士は、相談者の方に用意いただいた資料等をもとにお話を伺います。
その上で、弁護士は、個人再生手続を利用することが適しているかどうかを判断して、ご説明することになります。
例えば、月々の家計の余裕額では個人再生を行った場合の返済見込額を捻出することが難しい場合は、自己破産を検討するか、または家計を見直すことをアドバイスすることになります。
また、個人再生では、自動車ローンで購入し所有権留保が付されている自動車は引き揚げられてしまいます。
そのため、車を引き揚げられても仕事や日常生活に影響がないかということを確認します。
以上のような検討を経て、個人再生を選択することに決定したら、弁護士から費用について説明させていただきます。
その内容について納得していただいた上で、委任契約を締結することとなります。
個人再生の利点
1 個人再生とは
個人再生というのは、債務整理の方法の1つです。
一定のルールに従って圧縮された金額を所定の期間で返済すれば、残額の返済は免除される、という手続きです。
総債務額等によって圧縮される程度は異なりますが、例えば借金が1000万円あった場合、200万円を返済することができれば、残りの800万円の返済が免除されるという効果が得られます。
そのような個人再生の利点について、いくつかご紹介します。
2 ローン返済中の自宅を残せる場合がある
念願のマイホームを手に入れたものの、転職などで給与が減り、住宅ローンの返済が厳しくなって生活費の補てんのために借入れをするようになり、いつの間にか返済も苦しくなってしまうケースがあります。
自宅は手放したくないけれど、これ以上借金を返済していく余裕は無いとお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
上記のようなケースであっても、個人再生であれば自宅を手放さずに済むかもしれません。
個人再生手続において、「住宅資金特別条項」という条項を盛り込むことによって、自宅を手放さずにこれまでどおり住宅ローンの返済を継続しつつ、それ以外の借金を圧縮して生活を再建することができる場合があります。
3 破産が難しい場合でも認可される場合がある
自己破産の申立てをして、免責を得られれば、借金全額の返済義務が免除されます。
しかし、効果が大きい分、破産手続で免責決定を下すかどうかの審査も、個人再生と比べて厳格なものとなります。
例えば、多額の借金をして競馬などのギャンブルや投資につぎ込み、結果大損したので破産したいというケースでは、免責が認められない可能性が高いです。
状況や内容にもよりますが、そういったケースでも、個人再生でなら認可決定を得られる場合があります。
4 資格制限がない
これは一部の方に限られるかもしれませんが、生命保険の販売員や、警備員など、自己破産する場合に資格制限がかかることがあります。
この場合、状況によっては職を失いかねない可能性がありますが、個人再生手続きでは法的な資格制限は生じないため、今の仕事に大きな支障を与えることなく借金を圧縮して生活再建を図ることができる場合があります。
5 当法人でのご相談
当法人では、個人再生にも対応しております。
池袋の近辺にお住まいの方は、当事務所にお気軽にご相談いただければと思います。
個人再生を依頼した後に新しく借入れをしたり一部の債権者に返済をしたりした場合
1 一部の債権者にだけ返済するケース
一部の債権者のみに返済をすることを偏頗弁済と言い、破産や個人再生では原則としてしてはならないとされています。
受任後に、依頼した弁護士等から禁止されていたにも関わらず、一部の債権者にだけ返済をした場合には、個人再生もできなくなってしまう可能性があります。
2 新しく借入れをするケース
個人再生の申立をすると、通常、債務は減額されることになります。
受任後の新規借入れは、個人再生により減額されることを当て込み、初めから約束どおり返済する気が無いのに借りた、詐欺的なものと評価される可能性が高いです。
このような場合にも、新規の借入れの割合や、その理由によっては、不当な目的、その他申立が誠実になされたものではないときにあたるとして、個人再生の申立が棄却される可能性があります。
3 例外的なケース
⑴ 一部の債権者にだけ返済
誤解等から偏頗弁済を行ってしまった場合や、その額が少ないような場合等には、申立てが棄却されないこともあります。
そのような場合、本来支払うべきでないものを支払ったことにより財産が減少していることになるので、財産の総額(清算価値)を計算する際にはこれを考慮せず、具体的には清算価値計算時の財産に偏頗弁済により支払った金額を加えて清算価値を計算することになります。
そのため、清算価値が支払総額の基準となる場合には、個人再生において払わなければならない金額が増えてしまうことになります。
そのため、返済しなければならない金額が増えてしまい、不当な目的等によっては棄却されなくても、履行可能性がないとして申立が棄却されてしまう可能性が生じてしまいます。
⑵ 新たな借入れ
受任後の借入れについても、額が少なかったり、借入れにやむを得ない事情があったりしたような場合には、申立の棄却まではされないことが多いです。
ただ、これについても、初めから契約どおりの返済をする気が無いと判断されるような場合、その返還義務は詐欺的な行為として、悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償と判断され、個人再生手続きによっても減免の対象とならなくなってしまう可能性があります。
この場合、減免の対象とならないだけでなく、原則として、再生計画終了時に残りの金額を一括で支払う必要が生じるため、仮に不当な目的等による棄却を免れたとしても、履行可能性が無いとして棄却となってしまう可能性があります。
4 まとめ
以上のとおり、受任後の新たな借入れや一部の債権者に返済することは、個人再生ができなくなってしまう可能性を生じさせるので、絶対にしないようにしましょう。
このように、個人再生は、弁護士に依頼後も、守らなければならないことがいろいろとあります。
池袋で個人再生をお考えの方はお気軽にご相談ください。