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弁護士による個人再生

「個人再生と住宅」に関するお役立ち情報

住宅ローンの「弁済許可申立て」について

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2021年3月9日

1 はじめに

個人再生手続が開始されますと、再生債権に対する弁済は原則として禁止されることとなります(民事再生法85条1項)。

しかし、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用する個人再生を行う場合に、住宅ローンの支払いまで禁止されてしまうと、住宅ローン債務について期限の利益を失い、遅延損害金が発生することとなります。

そこで、民事再生法は、①再生債務者が再生手続開始後に住宅資金貸付債権(住宅ローン)の一部を弁済しなければ住宅資金貸付契約の定めにより当該住宅資金貸付債権の全部又は一部について期限の利益を喪失することとなる場合において、②住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の見込みがあるときは、再生債務者の申立てにより、裁判所はその弁済を許可することができると定めています(民事再生法197条3項)。

2 弁済許可の申立てが必要なケース

弁済許可が必要になるケースは以下の二つです。

① 住宅ローンの返済を延滞していないケース

住宅資金特別条項を利用した個人再生についてご相談にいらっしゃる方の多くは、ご相談の時点において住宅ローンは延滞することなくお支払いになっています。

この場合、再生手続の開始により弁済が禁止されますと、住宅ローン債権について期限の利益を失い、一括弁済の義務が生じ、遅延損害金も発生してしまうことになりますので、個人再生申立と同時に、住宅ローンの弁済許可の申立てを行うこととなります。

② 住宅ローン返済を延滞しているが、期限の利益喪失の通知を受けていないケース

延滞による期限の利益喪失について、住宅ローン契約で債権者による通知が必要とされている場合は、通知がない限りまだ期限の利益は喪失していませんので、弁済許可の申立てを行います。

また、延滞した場合は債権者による通知を要することなく自動的に期限の利益を喪失すると住宅ローン契約に定められている場合でも、実務上は、住宅ローン債権者は、期限の利益喪失の通知を行うまでは期限の利益を喪失していないものとして取り扱うことがほとんどのようですので、期限の利益喪失を回避するために、弁済許可の申立てを行う必要があります。

3 弁済許可の申立てができないケース

個人再生手続の開始時に既に期限の利益を喪失している場合は、民事再生法197条3項の要件(再生債務者が再生手続開始後に住宅資金貸付債権の一部を弁済しなければ住宅資金貸付契約の定めにより当該住宅資金貸付債権の全部又は一部について期限の利益を喪失することとなること)を充たしませんので、弁済許可は認められません。

この場合でも、住宅ローン債権者と協議し、期限の利益を再度付与された場合は、弁済許可が認められることになります。

4 個人再生の法律相談

期限の利益の喪失については、一般の方には理解が難しい部分もございますので、弁護士にご相談ください。

個人再生について弁護士をお探しの方は、弁護士法人心までご相談ください。

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