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個人再生を始めるべき時期

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2021年3月12日

1 個人再生手続

個人再生は、裁判所で行われる手続で、法律の規定に従い減額された債務を再生計画案に従って返済すれば、残額の免除を受けられるという債務整理の手段です。

ここでは、この個人再生について、手続を始めるべき時期についてご説明します。

2 個人再生で返済する金額をできるだけ少なくするためには早期の申立てが重要

個人再生手続で返済しなければならない金額は、債務者の資産がほとんどないことを前提としますと(資産がある場合は清算価値の問題が出てきます)、再生債権額の合計が1500万円未満の場合、再生債権額の5分の1の金額になります(最低00万円。ただし、再生債権額が100万円未満の場合はその金額です。)。

なお、給与所得者再生の場合は可処分所得の2年分も最低弁済額の基準となりますが、この手続きは件数的に少ないですので、ここでは個人再生の大部分を占める小規模個人再生を前提としてご説明します。

そして、この再生債権額を決める基準時は、再生手続開始決定時となりますので、再生債権者は、再生手続開始決定時までの遅延損害金も含めた金額を届け出ることができます(債権の届出を行わない場合、再生債務者が提出した債権者一覧表に記載した金額が再生債権の金額となります)。

とすると、再生手続開始決定が遅くなればなるほど遅延損害金が増大し、個人再生による最低弁済額も増大しますので、できるだけ早く手続を始めるのがよいということになります。

具体的には、収入と支出を比較し、継続的な返済が困難になる見込みがあるのであれば、すぐに弁護士に相談してください。

弁護士に依頼しても、申立前にある程度の費用を準備する必要がありますので、その準備期間も考慮すると、無理して返済を継続するのではなく、早めに弁護士に相談することが重要となります。

なお、弁護士に個人再生を依頼した場合、債権者への返済はいったん止めることになりますので、その金額を費用に充てることができます。

3 住宅資金特別条項を利用する場合

個人再生では、法律の定める要件を充たす場合は、住宅ローンの返済は継続したまま、それ以外の債務を整理することができます(住宅ローンの返済は継続しますので、債務整理を行いつつ、自宅は残すことができるということになります。)。

この場合において、住宅ローンの返済も遅れている状態で弁護士に依頼しますと、住宅ローン債権者との交渉が必要になることがあり、交渉が上手くいかなかった場合、住宅資金特別条項を利用できないことにもなりかねません。

住宅資金特別条項の利用を考えている場合は、なお一層、早めに、つまり住宅ローンの返済に遅れが生じる前に弁護士に相談する必要があります。

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