「関東地方にお住まいの方」に関するお役立ち情報
柏で個人再生をお考えの方へ
1 柏にお住まいの方の個人再生のご相談
当法人の柏の事務所は、柏駅東口から徒歩2分と、電車でお越しいただきやすい立地にあります。
平日はお仕事があるという場合などでも、相談者の方のご都合に合わせてできる限り柔軟に弁護士との日程調整をいたしますので、まずはお気軽にご連絡ください。
2 個人再生の流れ
個人再生は、裁判所に申立てをして、借金を減額してもらうための手続きです。
裁判所に申立てをして、再生計画が認可されれば、減額された債務を3~5年の期間で返済していくことになります。
借金が大幅に減額されるほか、長期分割で返済することで月々の負担が減ることも多いため、債務者にとってはメリットが大きい制度です。
他方、手続きにおいては厳格さが求められるほか、裁判所に提出しなければならない書類や資料も多いため、申立てを検討する際には、個人再生に詳しい弁護士に相談・依頼を検討するべきです。
3 個人再生で住宅を残せる可能性がある
借金を返せずお悩みになっている方の中には、住宅ローンを支払っている途中で、住まいを手放したくないとお悩みの方もいらっしゃるかと思います。
個人再生の場合、住宅資金特別条項を利用することによって、住宅を手放さずに、住宅ローン以外の返済額を圧縮できる可能性があります。
そのため、ご家族のことなどを考え、ご自宅を残したいという方は、個人再生をご検討ください。
茂原にお住まいで個人再生をお考えの方へ 松戸にお住まいで個人再生をお考えの方へ
ご来所に便利な立地
柏駅から徒歩2分の場所に事務所があります。駅からすぐの立地のため、電車でお越しいただく場合も便利です。個人再生のご相談をお考えの方は当法人をご利用ください。
個人再生をするために必要となる費用
1 専門家に個人再生を依頼する場合
個人再生はいくつかある債務整理の手段の中でも比較的複雑なものとなりますので、申立てと、その後の手続きを専門家(弁護士、司法書士等)に依頼することが一般的です。
個人再生を専門家に依頼した場合の費用は、債権者の数や、個人再生に至った事情、財産の多様さ、入出金履歴の状況等、事案の難易度によって異なりますが、一般的には合計30~50万円程度であると考えられます。
再生委員が選任された際には、再生委員の報酬として15~20万円程度を納める必要があります。
そのほか、申立て時に裁判所に納める収入印紙や、郵送費、専門家の出廷・出張費などがかかることもあります。
2 ご自身で個人再生を申立てる場合
ご自身で個人再生の申立てをする場合、上述の専門家の費用はかかりません。
そのため、申立ての際には、主に収入印紙代、郵送費、交通費のみが必要となり、通常であれば数万円程度で申立てができます。
もっとも、専門家を介さずに個人再生を申立てる場合には、大量の資料収集や専門的な書類の作成をご自身で行わなければならなりません。
それだけでなく、専門家でない方がご自身で個人再生を申立てると、多くの場合、個人再生委員が選任されます(裁判所によっては、専門家が代理申立てをしても、必ず個人再生委員が選任される運用を行っている場合もあります)。
その場合、個人再生委員の報酬として、一般的には15~20万円程度を裁判所に予納する必要がありますし、個人再生委員とのやり取りもご自身で行う必要があります。
3 再生委員について
先述のとおり、再生委員が選任されると、15~20万円程度の費用が必要になります。
弁護士が申立ての代理人となっている場合、最終的な判断は裁判所にゆだねられますが、申立ての書類作成や事情の把握に専門家である弁護士が携わっていることを考慮し、特殊な事情がない限り再生委員を選任しないことがあります。
ただし、弁護士が代理人となっていても、必ず再生委員を選任するという運用をしている裁判所もあります。
個人再生委員が選任されることが想定される場合、専門家の費用に加え、再生委員費用も必要になるので、費用の用意には注意が必要です。
個人再生の手続きが開始されると、再生計画認可後の返済が滞りなく行えるかどうかを確認するため、毎月一定の金額を指定された口座に振り込む履行テストが実施されます。
再生委員が選任されている場合、履行テストの際には再生委員の口座に毎月の振込を行います。
そして、振り込んだ金銭をもって再生委員の報酬を支払うということもあります。
個人再生においては、返済のシミュレーションも兼ねて、毎月数万円を申立て費用として積立てをお願いすることが多いですが、この期間が長くなると債権者が訴訟を提起してくることも多く、そちらへの対応が必要になることがあります。
個人再生委員とは
1 個人再生手続き
個人再生を裁判所に申立てる場合には、申立人の財産(資産、負債)状況、収入・支出の状況等を申立て用の書類に記載し、かつ必要に応じて預金通帳の写しや不動産の登記など財産の裏付けとなる資料を添付します。
裁判所は、これらの情報を元に、債権者と調整を図ったうえで、再生計画を認可すべきか否か、および認可する場合には返済金額をいくらにするべきかを審査します。
事案によっては、申立人の資産や収入が複雑であったり、不明確であったりするという場合もあります。
このような場合、正確な審査をするためには、より詳しい調査が必要となります。
そこで、この調査を行う機関として、個人再生委員という役割が設けられています。
個人再生が申し立てられた際、裁判所は一定の基準に従って個人再生委員を選任します(個人再生委員を選任する基準は裁判所ごとに異なります)。
個人再生委員が選任された場合には、個人再生委員との面談や、個人再生委員に対する報酬の負担なども必要となりますので注意が必要です。
2 個人再生委員の役割と、選任後の手続きの流れ
個人再生委員は、主に次の役割を担っています。
①債務者の財産・債務および収入・支出の状況の調査
②債務者と債権者などの関係者間で争いのある再生債権の評価に関する裁判所の補助
③債務者が適正な再生計画案を作成するために必要な勧告
個人再生委員選任後の手続きの流れは、次のとおりです。
⑴ 申立人との面談
個人再生委員との面談は、申立人(債務者)が個人再生を申立てるに至った経緯(債務が膨れ上がっってしまった経緯、返済が困難になった理由など)や、今後の返済の見込みなど、個人再生手続を開始するか否かの判断をするうえで必要な事情を把握するために行われます。
弁護士が代理人に就いている場合には、弁護士も同席することができます。
弁護士が同席することで、申立人に代わり、個人再生委員に対して正確な情報の提供や補足説明を行うことができます。
⑵ 裁判所への意見書の提出
申立人との面談を終え、必要な情報の収集がなされたら、個人再生委員は裁判所に対して、個人再生手続を開始すべきか否かの意見書を提出します。
これを踏まえて個人再生手続の開始決定がされた場合、個人再生委員は必要に応じ債務者の財産・収入を詳しく調査したり、債務の内容やその金額の精査を行ったりします。
この過程において、個人再生委員は申立人に対し、質問や追加資料の提出を求めることもあります。
申立人側は、個人再生の手続きを円滑に進めるためにも、できるだけ早く正確に質問への回答や追加資料の提供を行います。
弁護士が代理人となっている場合には、弁護士が申立人に代わって質問への回答をしたり、資料の収集や編集を行うこともできます。
⑶ 再生計画案の審査
申立人から再生計画案が提出されたら、個人再生委員は申立人の財産・負債・収入・支出等の資料を元に、再生計画の妥当性を検討し、場合によっては釈明や修正等を求め、最終的に認可決定についての意見書を裁判所に提出します。
所有財産が多い方の個人再生の注意点
1 清算価値保証の原則
個人再生は、一定の要件のもと、裁判所を通じて債務額を大幅に減額してもらい、減額後の債務を再生計画に従って返済するという手続です。
ただし、減額できる債務の金額には限度があり、場合によってはあまり債務を減額することができないこともあります。
一定の計算方法で求められる金額(基準債権総額)よりも、個人再生手続きを行っている債務者が所有する財産の総額(清算価値)の方が大きい場合、当該清算価値に相当する金銭を債権者に返済しなければなりません。
例えば、債務の総額が400万円である債務者の方において、解約返戻金の評価額が150万円となる生命保険契約がある場合には、再生計画認可後の返済額は、基準債権総額で計算すると100万円まで減額できることになりますが、150万円以上の財産を有しているため、返済金額も150万円以上となります。
2 評価の仕方が返済額に影響を及ぼす
上述の債務者の方の財産の総額については、評価方法によって金額が変わるため、それに対応して返済額も変動しうるので注意が必要です。
預貯金や有価証券等は評価額が決まっているため、清算価値に影響をおよぼしにくいといえます。
これに対し、自宅などの不動産は、通常は不動産査定の結果を参考に財産の額を計算することが多いものの、査定の仕方によって評価が大きく変わります。
その結果、清算価値が高くなり、再生計画認可後の返済額が想定以上の金額になってしまう可能性があることを念頭に置く必要があります。
3 その他留意点
また、財産の総額を評価する際には、一般的にイメージしにくいものも財産に含めて計算する必要があります。
代表的なものとして、退職金が挙げられます。
個人再生を申し立てるときには退職する予定はなく、定年退職もかなり先であるような場合、退職金が財産として認識されるということは、感覚的には理解しにくいと思います。
しかし、現時点では退職する予定がなかったとしても、将来の見込財産として、勤務先が発行した退職金金額証明書や職務規定等を基準に計算した退職金の金額の8分の1を財産の総額に含めるということがあります。
勤続年数が長かったり、退職金が高い企業に勤めていたりする場合には、予想外に清算価値の金額が高くなり、結果として返済額が高くなる可能性あります。
そのほか、清算価値の算定時期(原則は再生計画認可時)直前にボーナスが支給されるという場合にも、一時的に清算価値が上がる可能性があります。
個人再生の再申立て
1 個人再生の概要
借金が多くなりすぎてしまったり、収入が減ってしまったなどの事情により、借金を返済が難しくなってしまった場合、裁判所を通じた個人再生手続を利用することで、債務の一部を減額できることがあります。
具体的には、裁判所に対して個人再生の申立てを行い、裁判所が認可した再生計画に基づいて、裁判所の決定に従って減額された後の債務を、原則3年(特別な事情がある場合等に5年まで延長できることもあります)の期間で分割返済とすることができることがあります。
個人が利用する再生の手続きとして代表的なものは、小規模個人再生の手続きと給与所得者等再生の手続きの2つがありますが、実務においては小規模個人再生の方が多く使われています。
2 小規模個人再生
小規模個人再生は、最低弁済額基準と清算価値基準という2つの基準によって計算した債務額のうち、適切な方の債務額を、原則として3年間で分割して返済を行うという手続です。
通常であれば、債務額はかなり減額されます。
たとえば、債務総額が500万円であり、清算価値(債務者の方が保有する財産の評価額から一定金額を控除したもの)が100万円以下である場合には、再生計画認可後の返済総額は100万円となります。
小規模個人再生の手続きにおいて重要なことは、再生計画について債権者の過半数かつ債権額の2分の1以上の反対がないことが必要となることです(民事再生法230条第4条、同条第6条)。
なお、給与所得者等再生の場合は、債権者の同意は必要とされません。
再生計画が認可された場合には、再生計画に基づいて各債権者に返済を行うこととなります。
3 再生計画に従った返済ができなくなった場合
再生計画認可後の返済が滞ってしまうと、貸金業者等の債権者から再生計画の取消の申立てがなされることがあります。
その結果、再生計画が認可される前の状態に戻ってしまい、個人再生手続きによって減額される前の債務を返済しなければならなくなる可能性があります。
もっとも、再生計画に基づく返済期間は3~5年と長いため、事故や病気、勤務先の経営状況の悪化など、再生計画認可後に生じた事情によって、当初の再生計画に基づいて返済することができなくなることもあると思います。
このような場合には、小規模個人再生の再申立を行い、返済が可能な再生計画に切り替えることを試みるという対応策が考えられます。
他にも、民事再生法には、再生計画の延長、ハードシップ免責(病気等の、やむを得ない事情で返済が困難となった場合の減額措置)等が規定されており、返済期間を延長してもらったり、一部を返済しなくてもよいものとしたりすることも考えられます。
ただし、再生計画が認可された後に新たに債務が発生した場合、新たに発生した債務も再生計画に組み込む必要がありますので、総債務額を考慮したうえで返済可能な状態にするためには、小規模個人再生の再申立をするのが抜本的な解決手段ということになります。
このように、当初の再生計画での返済が困難になった場合には、再申立手続きをとることにより、理論上は再生計画を切り替えることが認められています。
もっとも、一度裁判所で厳格な審査を通じて認められた再生計画を変更するわけですから、裁判所の審査は、初めの個人再生に比べると相当程度厳しくなることが想定されます。
裁判所の審査が厳しくなる以上、一回目の申立ての時以上に、再生計画認可後の支払能力等について、厳格な書類を準備し説明することが要求されますので、再申立の手続きを検討される場合は、できるだけお早めに弁護士にご相談いただいた方がよいと思います。
個人再生手続において返済額を定める際の流れ
1 まずは個人再生申立時点での債務額の調査を行う
個人再生手続においては、まず債務者の方から依頼を受けた弁護士が債権者に対して受任通知を送付します。
債権者は弁護士が個人再生を受任した旨の受任通知を受け取ると、債権届を弁護士に送付します。
債権届には、受任通知送付時点に近い日付における正確な債権額(債務者の方から見た債務額)が記載されています。
このようにして、個人再生申立時点での債務者の借金の額を定めます。
2 裁判所に対し再生債権の届出を行う
1で調査した債権者と債務額を元に、個人再生を申立てる債務者は、再生手続開始決定前に債権者一覧表というものを提出します。
債権者一覧表には、すべての債権者および当該債権者が有する債権額を記載します。
債権者一覧表に記載されている再生債権については、債権届出期間内に再生債権者が異なる内容の届出をしない限り、債権届出期間の初日に、債権者一覧表の記載内容と同一の内容で再生債権の届出をしたものとみなされます(民事再生法225条)。
なお、個人再生を弁護士に依頼する場合には、弁護士費用の積み立てに時間を要することが多いため、遅延損害金が加算され、受任通知送付時点の債権額に対し、個人再生開始決定前の債権額が比較的大きくなる傾向にあります。
債権者一覧表に記載されていない再生債権については、再生債権者が債権届出期間内に届出をしないと手続に参加できません。
3 必要に応じ異議の申述を行う
届出再生債権の額や担保不足見込額について、再生債務者及び届出再生債権者は、一般異議申述期間内に、書面で異議を申し立てることができます(同法226条1項本文)。
ただし、再生債務者が債権者一覧表に記載した債権について異議を述べられる(債権額を争う)のは、予め債権者一覧表に異議を述べることがある旨を記載していた場合のみです(同法226条1項但書)。
4 再生債権の評価を行う
再生債権に対して異議が述べられた場合、当該再生債権を有する再生債権者が、異議申述期間の末日から3週間以内に、再生債権の評価の申立てをすることができます(同法227条1項本文)。
この申立てがなされた場合には、再生債権の評価を行うため、裁判所により個人再生委員が選任されます(同法223条1項ただし書)。
個人再生委員は、再生債務者若しくはその代理人又は再生債権者に対し、再生債権の存否、金額等に関する資料の提出を求めることができます(同法227条6項)。
その後、裁判所は個人再生委員の意見を聴いたうえで、評価の申立てにかかる再生債権について、債権の存否、金額,担保不足見込額を定める(227条7項,8項)という流れになります。
この裁判所の評価に不服がある再生債権者や再生債務者は、別途訴えを提起して、債権、債務額が裁判所の評価と異なる旨の主張立証をすることができます。
5 個人再生のご相談
個人再生は、いくつかある債務整理の手法の中でも、複雑な手続きであるといえます。
債権に関する資料の収集だけでなく、債務者の方の財産や収支にかかわる資料の収集、申立書の作成、民事再生法の適用に関する上申書の作成など、専門知識が必要な作業がたくさん存在します。
弁護士法人心は、個人再生を含む債務整理事件を中心的に取り扱う弁護士が在籍し、豊富な実績を積み重ねております。
柏近郊にお住まいの方で、個人再生についてお悩みをお持ちの方は、お気軽に弁護士法人心へご相談ください。
柏周辺の個人再生手続について
1 個人再生手続の特徴とメリット
⑴ 自己破産との違い
自己破産(免責)手続は、一部の例外を除き基本的にすべての負債の支払義務を免れると同時に、保有している財産を換価して債権者へ支払いを行う(財産も失う)という手続です。
これに対し、個人再生手続は、財産は財産が換価されることは回避しつつ、負債を一定額まで減額したうえで、原則として3年間(特別の事情があるとして例外が認められた場合には5年間)で分割して支払っていく手続となります。
⑵ 個人再生を行うメリット
自己破産をする場合、自宅土地建物などの不動産や(比較的新しく換価価値が高い)自動車、有価証券などの高価な財産は基本的に手放さざるを得ませんが、個人再生であれば財産を残すことができます。
後述しますが、個人再生を行うメリットのなかで最も重要なものは、住宅ローンが残っている住宅について、住宅ローンを再生手続きの対象外とすることで、抵当権を実行されることを回避し、自宅を手放さずに居住を続けることができる可能性があることです。
その他、自己破産をしてしまうと法律の規定により就くことができなくなる職種がある一方で、個人再生の場合は法律による職種の制限はありません。
2 柏近郊にお住まいの方が個人再生を行う場合の流れ
⑴ 個人再生手続きに必要な資料の収集
個人再生を行う場合、その債務者の方の財産状況や、収入と支出の状態を明らかにして書類に纏め、裁判所に対して現状や再生計画認可後の返済可能性等を説明していく必要があります。
そのための基礎となる資料として、過去数年分の預金通帳(預貯金の入出金の履歴)や保険(解約返戻金があるもの)、車検証、退職金見込額、有価証券等の財産に関する書類や、数か月分の家計簿を作成することが必要になります。
⑵ 裁判所への資料提出
資料の収集と書類の作成が完了した段階で、個人再生手続き申立書とともに、これらを裁判所へ提出します。
柏市にお住まいの方であれば、通常は千葉地裁松戸支部が管轄の裁判所となりますので、この裁判所に書類等を提出します。
⑶ 再生計画案の作成と提出
管轄の裁判所に資料を提出し、債権者による債権届が提出された後、今度は債務者側の再生計画案を作成、提出します。
再生計画案とは、個人再生手続が終了した後、具体的にどのようなスケジュールで、いくらの支払いを行っていくかを定めた計画書です。
債務者の方の将来の収入と支出等を踏まえ、再生計画案が債権者および裁判所に認められて確定すれば、再生計画に基づく支払いがスタートします。
裁判所に資料を提出してから、再生計画の認可決定確定までの期間は、財政状況や財産の複雑さにもよりますが、おおむね約6か月が目安となります。
この間に、履行テストという、返済のシミュレーションが行われることもあります。
3 個人再生手続きにおいて弁護士を代理人とするメリット
⑴ 弁護士が代理人ではない場合
弁護士が代理人ではない場合には、個人再生の申立て後に、裁判所が個人再生委員を選任し、手続に関与します。
個人再生委員がついた場合、財産や収支状況に関する指摘事項や求釈明に回答する必要も生じます。
また、個人再生委員がついた場合には、個人再生委員の報酬等に充てる目的で、裁判所に対して約20万円の予納金という金銭を支払う必要がありますので、申立ての前に用意しておきます。
個人再生の手続きは複雑で、必要な書類も多岐にわたるため、ご自身で手続きを行うこと自体相当な負担となるうえ、個人再生委員選任に基づく予納金の負担が生じるということになります。
⑵ 弁護士がついた場合
弁護士が代理人についた場合、個人再生委員は原則として選任されません(裁判所により運用が異なる場合もあり、必ず個人再生委員が選任される裁判所もあります)。
また、個人再生の申し立てに必要な書類の作成や資料の収集を含め、基本的に弁護士が手続きを主導して進めていくことができるため、債務者ご本人様の負担は、弁護士がついていない場合に比べて格段に軽くなります(もちろん、債務者の方でないとわからない情報や、債務者の方でないと取得ができない資料についてはご提供をいただきます)。
個人再生をする際の退職金の扱い
1 清算価値保障原則について
個人再生手続においては、破産したとすれば配当されるであろう金額よりも多くの金額を、債権者に支払わなければならないというルールがあります。
これは、大まかに申しますと、保有している財産の評価額よりも多くの金額ということになります。
債務者が個人再生を選択した場合に、破産に比べて回収できる金額が少なくなってしまうと、債権者側の保護に欠けるという考えから、このようなルールが設けられています。
これを清算価値保障原則といいます。
したがって、個人再生では、申立の段階で正確に把握した財産の評価額よりも多くの金額を、債権者に支払う必要があります。
退職金の扱いにおいては、この清算価値保障原則が問題となります。
2 退職金の扱い
⑴ 退職金も財産になる
個人再生手続において債務者の方の頭を悩ませるものの一つが、退職金です。
退職金は、給与の後払いという性質があるため、会社に対する金銭請求権という財産であると考えられています。
そのため、職務規定等に記された計算式を元に、個人再生申立時点における退職金の見込み額を計算して提示する必要があります。
退職金がない場合には、その旨が書かれた職務規程、雇用契約書等を用意し、退職金がないことを説明する必要があります。
公務員の方や、上場企業に勤務されている方で、勤続年数が長い場合、退職金も多額になることがあり、結果として清算価値を押し上げる要因になり得ます。
⑵ 既に退職金を受領している場合
既に退職していて、退職金を受領している場合には、受領した退職金全額を財産として計上します。
退職金を一部使ってしまっていたとしても、それが正当な支払い等であると認められる場合には、控除されることはあり得ます。
⑶ 近い将来退職する予定がない場合
裁判所では、多くの場合、自己都合退職した場合の退職金額の8分の1を債務者の財産として評価します。
これは、破産手続において、法律上、自己都合退職した場合の退職金額の4分の1が配当に回すべき財産とされるところ、破産手続開始決定時において退職していない場合には、退職金は発生するか否かが不確実なため、その半分の額を配当に回せばよいという考えがあり、それに基づいているためです。
したがって、このような運用をする裁判所では、退職金額の8分の1の額を財産として計上することになります。
⑷ 近い将来退職する予定がある場合
近い将来に退職する予定がある場合(すでに退職することがほぼ決まっていて、まだ退職金が支払われていない等)には、退職金が発生し、支払われることが確実といえるため、退職金額の4分の1の額を財産として計上します。
3 退職金額を証明する書類
個人再生を申し立てるにあたっては、退職金見込額の根拠となる書類を裁判所に提出する必要があります。
書類を用意する方法としては、勤務先から退職金見込額証明書を発行してもらう方法や、就業規則のうち退職金規程の部分のコピーと併せて、退職金額の計算結果を報告書のような形でまとめて提出する方法があります。
退職金見込額証明書の発行や就業規則のコピーを取る際、勤務先に理由を話し、協力を得なければならないことも多いです。
個人再生の申立てを予定していることを勤務先に知られたくないとお考えの方は多くいらっしゃいますが、こればかりは避けて通る方法がないのが現状です。
なお、退職金に代わり、確定拠出型年金制度などを設けている会社も近年多くなっていますが、法律上、退職金とは扱いが異なり、評価も異なることがありますので、正確な資料を用意し、裁判所に対する説明に備える必要があります。
4 柏周辺にお住まいで個人再生のご相談をお考えの方へ
個人再生は、裁判所により運用が異なることがあります。
そのため、申立先となる裁判所の運用に対応できることが大切ですので、個人再生を弁護士に依頼する際には、その地域での個人再生の経験が豊かな弁護士を選ぶべきといえます。
当法人には、個人再生の経験が豊富な弁護士が複数在籍しております。
柏周辺にお住まいで、個人再生のご相談をお考えの方は、お気軽に、そしてお早めに当法人にご連絡ください。
個人再生手続が認可されない場合
1 個人再生計画は許可されない場合もある
個人再生手続を行った場合、再生手続開始後、裁判所から再生計画の認可決定を得れば、債務を減額したうえで、原則3年(特別な事情があり、裁判所が認めた場合は、最長5年)での分割返済をすることになります。
しかし、再生手続開始決定がなされたとしても、その後裁判所や再生委員によってさまざまな審査等がなされるため、必ずしも再生計画が認可されるとは限りません。
民事再生法では個人再生手続における再生計画の不認可事由を定めており、不認可事由に該当する場合には再生計画不認可の決定がなされます。
個人再生手続には、小規模個人再生と給与所得者等再生という2つの手続があります。
そして、次のとおり,2つの手続に共通する不認可事由と、各手続に特有の不認可事由が存在します。
2 2つの個人再生手続に共通する不認可事由
⑴ 再生手続又は再生計画が法律の規定に違反し、かつ、その不備を補正することができないものであるとき(民事再生法231条1項,241条2項1号,174条2項1号)
この場合には再生計画不認可決定がなされます。
例外として、再生手続が法律の規程に違反する場合においても、当該違反の程度が軽微であるときには、不認可事由とされないことがあります。
⑵ 再生計画が遂行される見込みがないとき(民事再生法231条1項,241条2項1号,174条2項2号)
具体的な典型例としては、債務者の毎月の収入と(生活上必要な)支出の状態から見て、再生手続後の債務を返済できる見込みがない再生計画である場合には、不認可の決定がされます。
再生手続が開始されると、履行テストという、毎月返済想定額を指定の口座に積み立てるテストを行うことがあり、積み立てが滞った場合などには、再生手続後の債務を返済できる見込みがないと判断される可能性があります。
⑶ 再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反するとき(民事再生法231条1項,174条2項4号,241条2項2号)
再生債権者の一般の利益とは、破産手続がなされたならば得られたであろう利益のことをいいます。
破産手続では原則として債務者の全ての財産が換価されて配当に充てられますので、ここでいう再生債権者の一般の利益とは、基本的には債務者の財産の合計額(評価額)となります(清算価値保障原則と呼ばれます)。
そして、債務者の財産の合計額よりも低い額しか返済しないような再生計画については、不認可決定がなされます。
不動産など、価値の高い財産を所有している場合には、注意が必要になります。
⑷ 債権の総額が5000万を超えるとき(民事再生法231条2項2号,241条2項5号)
再生債権の総額が5000万円を超えるときは、不認可事由となります。
ただし、ここでの再生債権の総額について、住宅資金貸付債権の額、別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権の額等が除かれています。
⑸ 計画弁済総額が一定の額を下回っているとき(民事再生法231条2項3号、同項4号,241条2項5号)
⑹ 再生債務者が債権者一覧表に住宅資金特別条項を定めた再生計画案を提出する意思がある旨の記載をした場合において、再生計画に住宅資金特別条項の定めがないとき(民事再生法231条2項5号)
⑺ 再生計画が住宅資金特別条項を定めた場合で、債務者が住宅の所有権又は住宅の用に供されている土地を住宅の所有のために使用する権利を失うこととなると見込まれるとき(民事再生法231条1項,241条2項3号,202条1項3号)
住宅資金特別条項は、債務者の生活の基礎となる自宅を失うことを回避するため、住宅ローン債務を再生手続きから除外する制度です。
住宅ローンだけは、再生計画認可後も従前通り支払い続けることになります。
自宅不動産を守るため、自己破産ではなく、住宅資金特別条項を用いることができる個人再生が選択されることも多いです。
そのため、何らかの理由で自宅を失うことが見込まれる場合は、上記の趣旨に反しますので、再生計画が認められないということになります。
3 小規模個人再生特有の不認可事由
⑴ 再生計画の決議が不正の方法によって成立するに至ったとき(民事再生法231条1項,174条2項3号)
⑵ 再生債務者が将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがないとき(民事再生法231条2項1号)
4 給与所得者等再生特有の不認可事由
⑴ 給与所得者等再生における再生計画が遂行された場合に、再生計画の認可決定確定の日から7年以内に給与所得者等再生を求める申述がなされたこと(民事再生法241条2項6号,239条5項2号イ)
⑵ 個人再生において再生計画を遂行することが極めて困難となった場合の免責決定が確定した場合に、当該免責決定に係る再生計画の認可決定確定の日から7年以内に給与所得者等再生を求める申述がなされたこと(民事再生法241条2項6号,239条5項2号ロ)
⑶ 自己破産手続における場合に、再生計画の認可決定確定の日から7年以内に給与所得者等再生を求める申述がなされたこと(民事再生法241条2項6号,239条5項2号ハ)
5 柏にお住まいで個人再生をお考えの方へ
個人再生手続は、要件が非常に複雑であり、個人再生手続開始後にも様々な資料等の収集、作成、提出が必要となるため、再生計画が認められるか否かの見通しを立てることが非常に重要となります。
弁護士法人心は、個人再生を含む債務整理事件を中心的に取り扱う弁護士が在籍しており、日々研鑽を積んでおります。
柏周辺にお住まいで個人再生をお考えの方は、弁護士法人心にお気軽にご相談ください。
個人再生における住宅ローン特則とは
1 住宅ローン特則(住宅資金特別条項)について
個人再生手続の大きな利点の一つは、自己破産とは異なり、ご自宅を所有していて住宅ローンが残っている場合に、ご自宅を残すことができる可能性があるという点です。
当サイトをご覧の方の中には、このようなお話を聞いたことのある方もいらっしゃるかと思いますし、実際ご自宅を守りたいというご要望のもと、個人再生を希望される方も多いです。
これは、個人再生手続きにおいて、再生計画の中で住宅ローン特則(住宅資金特別条項)を定めることをいいます。
制度の概要を説明しますと、住宅ローン以外に負債がある場合に、住宅ローンだけはそのまま返済を継続しながら(他の債務と違い減額はなされません)、住宅ローン以外の負債を減額して再生計画に従った分割返済を認めるという裁判所の手続き、ということになります。
住宅ローン特則(住宅資金特別条項)を定めるための適用要件は複雑な点もございますので、必ず専門家にご相談されることをお勧めいたします。
以下、住宅ローン特則について注意すべき点を説明します。
2 住宅ローンは減額されない
住宅ローン特則を利用した場合、負債が減額されるのは住宅ローン以外の一般債権のみです。
住宅ローン(その利息・損害金も含みます)については、住宅ローン債権者の同意がない限り、利息・損害金の一部ないし全部の免除や元本の一部免除を受けることはできません。
なお、住宅ローン特則の類型には、①期限の利益回復型、②リスケジュール型、③元本猶予期間併用型、④合意型、および⑤正常返済型があります。
①~③は、住宅ローン債権者の同意がなくても定めることができます(⑤は当初の住宅ローン契約の内容に従って返済するという内容ですので、当然住宅ローン債権者の同意は不要です)。
逆の観点から考えますと、住宅ローン特則では住宅ローンそのものは減額されないため、住宅ローン以外の債権を減額したとしても返済が困難である場合は、住宅ローン特則を定めた再生計画案は認可されないこととなります。
一般的には、月々の住宅ローンの返済額は小さくはありませんので、再生計画認可後に減額された債務の分割弁済と、住宅ローンの支払いの両方に耐えうるだけの支払原資が確保できる必要があります。
3 「清算価値保障原則」との関係
やや専門的な話になりますが、個人再生手続では、破産手続より債権者を不利にしないという観点から、清算価値保障原則が適用されます。
これは、保有している財産(の評価額)以上の金額は弁済をしなければならない、という原則です(破産手続の場合、一部の財産を除き、換価したうえで債権者に支払われます)。
そして、ご自宅と住宅ローンがある場合、計算が複雑になるうえ、個人再生が困難になることもあります。
例えば、住宅ローンの残額が2000万円、それ以外の一般債権が500万円あるケースについてみてみます。
この場合の保有財産の評価額は、仮に住宅の査定額が2600万円であった場合、(査定額-住宅ローン残額)=600万円(>500万円)となります。
そのため、一般債権については3年から5年の期間で500万円全額を返済しなければならず、結果としては債務を減らすことができなくなります。
また、住宅ローンの返済とあわせて、3年から5年の期間で500万円を分割して返済することが困難な場合は、住宅ローン特則を使うことはできないことになります。
個人再生自体も困難になります。
このような場合、何とか任意整理をして、住宅ローン以外の債務の返済をするか、任意整理が困難である場合にはやむなく自己破産を検討することになります。
住宅購入の際に多額の頭金を支払った場合や、住宅を購入してから長年月を経過している場合は、住宅ローン残額よりも住宅の査定額の方が大きくなり、その結果返済しなければならない負債額も大きくなることが考えられますので、専門家に相談する前に不動産業者に査定をしてもらうことをお勧めします。
4 個人再生のご相談はお早めに
住宅ローン特則を定める場合、上記2の⑤型であれば、当初の契約どおりに返済するだけですのでとくに問題はありませんが、②~④型では住宅ローン特則の策定にあたり住宅ローン債権者の協力を得ることが重要となります。
また、住宅ローンを延滞して保証会社による代位弁済が行われたり、競売まで進んだりした場合は、手続的も複雑になります。
住宅ローンを延滞したまま住宅ローン債権者や専門家に相談せずいたずらに時間を経過させてしまうと、その後住宅ローン債権者に個人再生の相談をしても非協力的な対応をされてしまうことがありますので、住宅ローンを延滞する前に弁護士にご相談いただくのがベストです。
弁護士法人心は、個人再生の経験が豊富な弁護士が在籍しておりますので、お早めに、そしてお気軽にご相談ください。
個人再生の再生計画案の提出とは
1 再生計画案の提出までの個人再生手続の流れ
個人再生手続の申立てがなされた後、裁判所から求められた書類の補正や、個人再生委員選任事件の場合には個人再生委員との面談を経て、手続の開始決定がなされます。
その後、債権者が債権届出を行います。
個人再生における再生計画案の提出期限は、基本的に再生手続開始決定から2か月~2か月半後とされることが多いです。
2 再生計画案について
⑴ 再生計画案のイメージ
個人再生をする方が、個人再生手続終了後に各債権者に対してどのようなスケジュールで支払いを行うかを定めた計画のことをいいます。
負債額を減額したうえで、原則として3年間、特別の事情があれば5年間かけて支払いを行っていくことになります。
⑵ 負債額の減額の例
- ア 負債額が100万円以下の場合
-
この場合は、原則としてその全額を支払う必要があります。
つまり、負債額は減額されませんが、分割の利益が付与されるという法的効果があります。
- イ 負債額が100万円以上、500万円以下の場合
-
この場合、最低弁済額が100万円と定められています。
たとえば、負債額が300万円であれば,100万円に減額されることになります。
- ウ 負債額が500万円を超え、1500万円以下の場合
-
この場合、負債額は5分の1に減額されます。
- エ 負債額が1500万円を超え、3000万円以下の場合
-
この場合,300万円が最低弁済額となっています。
つまり、負債が2700万円であれば,300万円にまで減額されます。
- オ 負債額が3000万円を超え、5000万円以下の場合
-
この場合、負債額は10分の1にまで減額されます。
なお、負債額が5000万円を超えてしまう場合は、個人再生手続を利用できません。
⑶ 清算価値保障原則について
基本的には負債額は以上のように減額されるのですが、例外も存在します。
個人再生による計画弁済額が、仮に破産手続を選択した場合に各債権者に見込まれる配当額を下回ってしまう場合には、個人再生は認められません。
これを清算価値保障原則といいます。
例えば、負債額750万円の方を例に挙げると、個人再生により負債額は150万円に減額されます。
これが再生債権に基づいて計算された金額です。
しかし、仮にこの方が160万円で売れる宝石を持っていたとすると、破産手続を選択していればこの宝石が換価され、配当額は160万円となっていた可能性があります。
このような場合には、個人再生による計画弁済額が、仮に破産手続を選択した場合に各債権者に見込まれる配当額を下回ってしまう場合にあたってしまうため、個人再生が認められないことになるのです。
3 柏で個人再生手続をお考えの方は当法人まで
当法人では、単に問題が解決すればよいというのではなく、ご相談者の方のお気持ちを大切にして、対応させていただいております。
柏で個人再生を行う方は、当法人までお気軽にご相談ください。
個人再生について弁護士に相談する際に大切なポイント
1 負債がどれだけ減額されるか
たとえば、負債額が400万円の方であれば、小規模個人再生をすることで、原則として負債額を100万円にまで減額することができます。
負債額が500万円以上1500万円以下であれば、原則として、負債額は5分の1となります(600万円→120万円という具合です)。
ただし、後に説明する、清算価値の価格によっては、減額することができる負債の額は変わってきます。
このように、まずは負債額がどれだけ減るのかを確認し、返済原資と照らし合わせて、個人再生が生活再建のための有効な手段となるかを検討することが出発点となります。
2 毎月の返済額
個人再生における返済期間は、原則として3年間です。
そこで、毎月いくらずつの返済が必要かについて、負債額と合わせて確認してみましょう(単純化するため、ここでは清算価値の計算は省略します)。
たとえば、負債額が900万円の方であれば、個人再生をすることで180万円にまで負債が減額されます。
180万円を3年間(36か月間)で返済する場合、毎月の返済額は5万円ということになります。
そして、収入から生活費等を差し引いた結果、毎月の返済額が捻出できるかどうかが、個人再生手続きが有効な手段であるか否かを判断する最も大きなポイントとなります(困難である場合、自己破産等を検討する必要があります)。
3 高額の資産がある方の場合
オーバーローンでない自宅や、高額な自動車、解約返戻金がある貯蓄性の保険等、比較的価値の高い財産がある方については、毎月の返済額を検討する際、さらに注意が必要です。
負債額が500万円の方が個人再生をする場合、通常であれば負債額は100万円にまで減額されます。
しかし、この方の財産の中に50万円の車と解約返戻金が200万ある生命保険があった場合、個人再生をした場合の最低返済額は250万円となります。
個人再生手続きには、所有している財産の価値以上の返済をしなければならないというルールがあるのです。
このルールは清算価値保障原則と呼ばれています。
財産の価値をどのように算定するのかという点についても確認しておきたいところです。
特に、個人再生には、住宅ローンだけは従前とおり返済を続けることで、自宅を失わずに済む、住宅資金特別条項という制度があります。
実務上、この制度を用いたいがゆえに個人再生を選択するという場面も多くみられます。
もっとも、住宅ローンの残債が少なくなっていると、住宅の評価額から住宅ローン残債額を控除した残額が大きくなります。
住宅の評価額から住宅ローン控除額を控除した残額は、清算価値に組み入れられてしまうことから、清算価値が高額になり、再生計画案認可後の返済が困難になってしまうこともあります。
4 個人再生手続中の支出について
個人再生手続中には浪費的な支出をすることは許されません。
個人再生をする方が浪費をすることはもとより、家族に収入からお金を渡している場合の使い道にも注意する必要があります。
浪費があまりにもひどい場合には、手続き自体が認められなくなったり、個人再生における返済額が増えてしまう可能性があります。
給料の差押えと個人再生
1 給料の差押えが個人再生手続によって受ける影響
借金の返済が長期間に及ぶと、債権者は給料の差し押さえという手続きを行うことがあります。
給料の差押えを受けている状態で、個人再生の手続を行うという場合、個人再生との関係で給料の差押えはどうなるのでしょうか。
以下、個人再生手続の各段階に沿って説明します。
2 申立てまで
個人再生手続の申立てまでは、給料の差押えを止める手段はありません。
給料の差し押さえが続くと、給料の一部を差し引かれ続けてしまいますので、極力早く個人再生の申立てができるようにすることが大切です。
3 申立て後、開始決定まで
法律上、裁判所は、再生手続開始の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、再生手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、再生債権に基づく強制執行の手続で、再生債務者の財産に対して再生債務者の財産に対して既になされているものの中止を求めることができる、と定められています(民事再生法26条1項2号)。
したがって、給料が差し押さえられている状態で個人再生手続の申立てをした場合、差押えの中止命令を申立てるかどうか検討することとなります。
個人再生の申立てをしたとしても、すぐに開始決定がなされるとは限りません。
申立てがなされたあと、裁判所によって書面審査がなされ、不足している情報や資料の追加が求められたり、申立書の内容について釈明が求められたりすることもあるため、差押えの中止命令を申立てることも考えられます。
ただし、実務上は、給料の差し押さえがなされている場合、差押えの中止命令の申立てをするよりも、申立て後速やかに開始決定が出されるように、すなわち4で後述する当然中止となるよう働きかけることが多いです。
4 開始決定後、再生計画認可決定確定まで
⑴ 強制執行の当然中止
再生手続開始の決定があったときは、再生債務者の財産に対して既になされている再生債権に基づく強制執行等の手続は中止します(民事再生法39条1項)。
したがって、開始決定がなされれば、執行裁判所への再生手続開始決定書の提出によって、給料の差押えは中止されます。
もっとも、中止によって差押債権者への支払いは停止しますが、この段階では債務者本人が給料の支給を受けることはできません。
強制執行の中止と、次に述べる強制執行の取消しは異なる手続きです。
⑵ 取消申立て
裁判所は、再生のため必要があると認めるときは、再生債務者等の申立てにより又は職権で、担保を立てさせて、又は立てさせないで、中止した再生債権に基づく強制執行等の手続の取消しを命じることができます(民事再生法39条2項)。
そこで、差押債権者が任意に給料の差押えの取り下げをしない場合には、裁判所に対して給料の差押えの取消しの申立てをすることになります。
給料の差押えの取消決定がなされたら、再生債務者は、その後、中止決定によって留保されていた分も含め、給料の支給を受けることができるようになります。
5 再生計画認可決定確定後
再生計画認可の決定が確定したときは、中止した強制執行等の手続は、その効力を失います(民事再生法184条)。
したがって、上記⑵の取消決定がなされなくとも、再生計画認可決定確定後には、再生債務者は、その後、中止決定によって留保されていた分も含め、給料の支給を受けることができるようになります。
もっとも、個人再生手続きの開始決定から、再生計画認可決定確定までには、通常は数か月の期間がかかります。
6 再生計画不認可の場合
再生計画が不認可となった場合、中止していた給料の差押えは、再び続行します。
一方で、給料の差押えが取り消されていたときは、債権者は、再度、給料差押えの申立てをする必要があります。
7 柏で個人再生をお考えの方へ
当法人では、個人再生やその他の借金問題を得意とする弁護士が個人再生について担当させていただいております。
個人再生は専門性が高く、弁護士であれば誰でもできるというものではありません。
柏にお住まいで個人再生をお考えの方は、弁護士法人心 柏法律事務所までご連絡ください。
個人再生に詳しい弁護士に依頼すべき理由
1 はじめに
個人再生は、裁判所の手続で行う債務整理の手段のひとつです。
ここでは、個人再生手続に詳しい弁護士に依頼すべき理由をご説明します。
なお、個人再生には、小規模個人再生手続と給与所得者等再生手続があるところ、個人再生手続の特色である住宅ローン特則(住宅資金特別条項)は、双方の手続で利用することができます。
2 個人再生を債務者本人で行う場合
わが国では、弁護士の選任を強制する弁護士強制主義は採用されていませんので、個人再生手続を債務者ご本人で行うことは可能です(自己破産も同様です)。
そして、個人再生を債務者本人で行う場合、弁護士に依頼した場合に必要となる弁護士費用(一般的には30~50万円程度)がかからないというメリットがあります。
もっとも、以下のようなデメリットもありますので注意が必要です。
① 債権者からの督促が止まらない
これは個人再生だけではなく自己破産や任意整理等、他の債務整理手続きにも当てはまることですが、債務者ご本人が債務整理を行うような場合、債権者からの督促は止まりません。
もちろん、個人再生を申し立てた後は債権者からの督促は止まりますが(裁判所が交付してくれる事件受理票など、個人再生を申し立てたことが分かる資料を、債権者に送付する必要があります)、個人再生の申立てには複雑な書類作成、資料収集が必要であることから、申立てるまでにはある程度の時間がかかるのが通常です。
そして、その間は債権者からの督促に対応する必要があります。
特に、債権者が訴訟を提起した場合の対応は、相当大変なものとなります。
② 申立てに必要な書類を自分で調べて準備する必要がある
債務者本人が申し立てを行う場合の書式を準備し、案内をしてくれる裁判所もありますが、裁判所ではその記入方法を手取り足取り教えてくれるわけではありません。
また、申立てに必要な添付書類の一覧表を配付している裁判所もありますが、あくまでも一般論となりますので、全件に共通の必要書類(住民票等)以外にどのような書類を準備する必要があるのか、ということは債務者本人の個別具体的な状況に合わせて判断する必要があります。
さらに、手続開始後に作成し決められた期限までに裁判所に提出しなければならない再生計画案もご自身で作成する必要があります。
再生計画案作成の際は一定のルールに従う必要がありますが、債務者ご本人で手続きを進めている場合は、そのルールをまず理解した上で作成しなければなりません。
③ 個人再生委員とのやり取りを自分で行う必要がある
債務者ご本人で個人再生の申立てを行った場合はどの裁判所でも個人再生委員が選任されますが(なお、個人再生委員の費用は債務者ご本人が負担する必要があります)、個人再生委員とのやり取りも債務者ご本人で行う必要があります。
個人再生委員には弁護士が選任されますが、一般的には、土日祝日は事務所が休みであることに加え、平日であっても日中のみしか対応していないため、平日の営業時間内に対応する必要があります。
お仕事の都合で、土日祝日や平日夜にしかお時間を取ることが難しい方にとっては、個人再生委員とのやり取りはかなり大変なものとなります。
3 個人再生に詳しい弁護士に依頼した場合
個人再生に詳しい弁護士に手続きを依頼した場合は、債権者からの督促が止まるのみならず、申立書や再生計画案などの書類作成、準備も基本的には弁護士に任せることができます(必要な資料、情報のご提供はいただく必要があります)。
また、個人再生手続を利用する上で問題点がある場合には、それを解消するための方策を直ちに執ることが可能です。
さらに、個人再生委員が選任された場合(弁護士が代理人となっている場合、選任されないこともあります)、個人再生委員とのやり取りも弁護士が行うため、平日の営業時間内に対応する必要はなくなります。
個人再生の手続きは、債務整理のなかでも複雑ですので、弁護士費用は自己破産よりも高めに設定されていることが多いですが、債権者本人が煩雑、複雑な個人再生手続を行うことを考えますと、個人再生に詳しい弁護士に依頼した場合はその費用を上回るメリットがあるのではないかと考えらえます。
柏で個人再生をお考えの方は、弁護士法人心 柏法律事務所までご相談ください。
小規模個人再生と給与所得者等再生
1 個人再生手続とは
個人再生手続とは、裁判所を介して行う債務整理の手段で、定められた計算方法によって圧縮された債務を裁判所が認可した再生計画に従って返済する手続きです。
個人再生手続には、小規模個人再生と給与所得者等再生という二つの種類がありますので、ここではその違いについてご説明します。
2 個人再生の件数
統計によると、平成26年に申し立てられた件数は、小規模個人再生が6982件、給与所得者等再生が686件となっていて、約10倍の差があります。
この差から読み取れることは、事実上、個人再生手続を行う場合、原則として小規模個人再生を選択し、例外として給与所得者等再生を選択するという流れになっているということです。
3 小規模個人再生と給与所得者等再生の申立ての要件の違い
小規模個人再生と給与所得者等再生は全く別々の申立要件が規定されているわけではありません。
小規模個人再生の要件にさらにいくつかの要件を加えたものが給与所得者等再生になります。
これは、小規模個人再生も給与所得者再生も、比較的少額の債務を抱えた方の経済的更生を図るための制度であるためです。
給与所得者等再生で加重される要件のうちのひとつとして、「給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがあり、収入額の変動の幅が小さいと見込まれること」というものがあります。
つまり、給与所得者等再生は一般のサラリーマンの方を対象としている手続といえるでしょう。
4 給与所得者等再生を選択するメリット
先に述べたとおり、給与所得者再生は、小規模個人再生に比べて、選択されることが少ない手続きです。
その理由は、給与所得者再生の方が、制約が多いためです。
もっとも、給与所得者再生手続きならではのメリットもあります。
小規模個人再生では、再生計画案(圧縮された債務の返済方法等を記載したものです)に対して、半数以上の再生債権者または再生債権額の2分の1を超える再生債権者が不同意の回答をした場合、認可されません。
例えば、再生債権者をA、B,C、それぞれの再生債権額を500万円,300万円,100万円とした場合、再生債権者全員が不同意の回答をした場合のほか、Aが不同意の回答をした場合や、BとCが不同意の回答をした場合には再生計画案は認可されないこととなります。
給与所得者等再生ではこのような制度はないため、小規模個人再生では再生債権者による不同意の回答により再生計画案が認可されないおそれがある場合に、給与所得者等再生を選択するメリットがあります。
再生債権者によっては、小規模個人再生の手続きの際、社内の規定により、必ず不同意の回答をするということもあるといわれています。
そのような可能性のある再生債権者が再生債権額の2分の1を超える債権を有している場合、小規模個人再生ではなく給与所得者再生を選択するという戦略を取ることがあります。
5 給与所得者等再生のデメリット
給与所得者等再生では、圧縮後の債務総額(再生計画で返済する総額のことです)が「可処分所得の2年分以上」にならなければなりません。
この「可処分所得の2年分以上」という基準により算出された金額は、小規模個人再生で要求される最低弁済額(圧縮後の債務総額)よりも通常高額になってしまうというデメリットがあります。
ただし、圧縮前の再生債権総額が高額な場合(特に清算価値が高額である場合)は、小規模個人再生による最低弁済額の方が高額になることもあります。
「可処分所得の2年分以上」の計算方法につきましては、複雑な部分もございます。
特に、収入に対する支出については、かなり厳格な計算が必要となりますので専門家にご相談ください。
6 2種類の手続からどちらを選ぶか
以上2種類の個人再生手続を見てきましたが、「給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがあり、収入額の変動の幅が小さいと見込まれること」などの給与所得者等再生の申立要件を充たすことを前提に、どちらを選択したらよいでしょうか。
通常のケース、つまり小規模個人再生による最低弁済額の方が低額な場合は、先述のとおり、再生債権者による不同意の見込みを考慮したうえで、再生計画案が認可されない可能性がある場合は、給与所得者等再生を選択することとなります。
個人再生の実務では、再生債務者は通常多数の貸金業者から借入等をおこなっており、再生計画案に対して不同意の回答をする貸金業者は多くはなく、不認可になる可能性は低いため、最低弁済額がより低額な小規模個人再生が多く使われています。
小規模個人再生による再生計画案にいつも不同意の回答をする再生債権者の債権額が他の債権者に比して多い場合や、債権者が少ない場合、例えば1社の反対で不認可になるケースなどでは、給与所得者等再生を選択することとなります。
個人再生手続における個人再生委員
1 個人再生委員とは
通常の再生手続では、裁判所は債務者に対する監督や業務・財産の管理状況を調査するために、監督委員や調査委員を選任できるとされています。
これに対し、個人再生手続では、一般的には通常の再生手続と比べると規模が小さいこと、監督委員や調査委員を選任することで生じる高額の費用・報酬を債務者に負担させることは適切ではないこと等の理由から、監督委員や調査委員の制度は設けられていません。
しかし、個人再生手続において、債務者の財産や収入の状況について調査の必要があると考えられるような場合にまで、何らの監督・調査も不要とすることは適切ではありません。
そのため、監督委員や調査委員の制度に代わって、個人再生委員の制度が設けられています。
それぞれの裁判所が個人再生委員を選任するか否かの基準を設けており、その基準に従って個人再生委員が選任されます。
弁護士が代理人として個人再生の申し立てを行う場合には個人再生委員を選任しない裁判所もありますし、全件において個人再生委員を選任している裁判所もあります。
個人再生委員が選任された場合には、監督委員や調査委員ほど高額ではないにせよ、報酬の負担が必要となりますのでご注意ください。
2 個人再生委員選任手続きとその後の流れ
個人再生委員は、選任された後、次の職務を行うこととされています。
①債務者の財産および収入の状況の調査
②関係者間の争いのある再生債権の評価に関する裁判所の補助
③債務者が適正な再生計画案を作成するために必要な勧告を行う
これを踏まえ、個人再生委員が選任された後の流れは次の通りとなります。
個人再生委員は、まず個人再生を申立てた債務者との面談を実施します。
これは、債務者が個人再生を申立てるに至った経緯(債務の返済が困難になった経緯)や、今後の返済の見込みなどの全体像を理解するために行われます。
弁護士が代理人に就いている場合は、面談に弁護士も同席することができ、より正確な情報の提供や補足説明を行うことができます。
次に、個人再生委員が裁判所に対し、個人再生手続を開始すべきか否かの意見書を提出します。
個人再生手続の開始決定がされた後は、個人再生委員は必要に応じて債務者の財産を調査したり、債務額の精査をしたりします。
再生計画案が出された後は、債務者から提出された資料等を元に、再生計画が妥当であるか否かを検討し、場合によっては修正等を求め、最終的に認可決定についての意見書を裁判所に提出します。
個人再生をした場合車はどうなるか
1 個人再生とは
個人再生は、地方裁判所を通じて行われる手続で、債務整理の手段のひとつです。
個人再生では、法律の規定によって減額された債務を、裁判所によって認可された再生計画に従って完済すれば、残額が免責されることになります。
なお、再生計画の履行中に病気や失職等によって完済できなくなってしまうという事態に陥ることも考えられますが、法律の定める要件を充たせば免責を受けられることもあります。
個人再生は、現在の債務額では返済は困難だけど、返済する金額が減額されれば返済できる、という場合に使われる手続です。
また、後述するとおり、自己破産とは異なり、財産を換価されないという特徴があるほか、一定の要件のもとで自宅不動産を守ることができます。
2 個人再生における財産の扱い
⑴ 自己破産の手続きでは、破産者の方の所有物で一定程度以上の換価価値のあるものがあれば、破産管財人が売却してその代金を配当(債権者への支払い)に充てることになります。
そのため、例えば時価150万円の車を所有している場合は、自己破産手続を行うと、管財人によって売却換価、配当がなされることになり、破産者の方は自動車を失うことになります。
⑵ 他方、個人再生手続きでは、再生債務者の財産が換価されることは通常ありません。
つまり、時価150万円の車を所有していても、それを個人再生手続きの中で換価されてしまうということはありません。
ただし、個人再生では、再生債務者の財産の評価額は、再生計画認可後の弁済額(再生計画により返済しなければならない金額)を決めるために考慮されます。
例えば、再生債権の総額が700万円のケースで、再生債務者の財産の総額が30万円の場合は、再生計画で140万円(再生債権の総額の5分の1)を返済することになりますが、財産の総額が300万円の場合は,300万円を返済しなければなりません。
このような原則を清算価値保障原則といいますが、これは、債務者の方が自己破産をした場合に比べて、債権者が不利にならないようにするために設けられた原則です。
つまり、再生債権の総額が1500万円までの場合は、原則としてその5分の1の金額(ただし100万円が最低金額)を再生計画で返済することになりますが、財産の総額が再生債権の総額の5分の1を上回る場合、仮に破産を行った場合は原則としてその財産が換価され配当に充てられることになりますので、債権者が破産よりも不利にならないよう、個人再生でもその財産の総額分を返済する必要があるのです。
なお、清算価値保障原則の適用の際に考慮される財産の詳細や計上の方法につきましては、地方裁判所によって取り扱いが異なる場合もありますので、弁護士にご相談ください。
例えば、破産手続では99万円までの現金は自由財産とされていますので再生手続きでも99万円までの現金は清算価値に計上しないとしている裁判所も多いですが、柏市の管轄裁判所である千葉地方裁判所松戸支部では、一時期まで現金も全額清算価値に計上する扱いとなっていました。
⑶ 自宅不動産を所有しており、住宅ローンが残っている場合(自宅不動産に抵当権が設定されている)には、2点考慮することがあります。
1つめは、個人再生手続きにおいては、従前とおり住宅ローンを支払い続けることで、自宅不動産の抵当権が実行されて自宅を失うことなく、住み続けることができる制度(住宅資金特別条項)が設けられているという点です。
実務においては、この制度の存在に着目し、自宅不動産を守りたいというご意向のもと、自己破産ではなく個人再生手続きを選択する方も多くいらっしゃいます。
2つめは、清算価値についてです。
自宅不動産の清算価値は、不動産の評価額から、住宅ローンの残債額を控除したものとなります。
不動産の評価額よりも住宅ローンの残債額が高い場合は、清算価値は0円となります。
一方、不動産の評価額が高く、住宅ローンの残債が低い場合には、清算価値が高額になる結果、弁済額が多額になる可能性がある点に注意が必要です。
不動産の評価額は、不動産業者による査定額が用いられることが多いため、実際の市場価格に近いものになります。
景気の動向等によって不動産の価格が高騰してしまうと、清算価値が高くなり、個人再生が難しくなることもあります。
3 車にローン会社の所有権留保が付いている場合
これまでは、個人再生の手続き開始後の自動車の取り扱いについて説明しました。
言い換えますと、自動車が個人再生の手続き開始時まで残っていることを前提にしていました。
もっとも、車のローンが残っている場合には、状況が変わってきます。
車のローンが残っていると、多くの場合、車に所有権留保という担保権が付されています。
この場合、自己破産の場合でも個人再生の場合でも、弁護士に依頼をすると、原則として車はローン会社に引き揚げられ、換価されることになります。
個人再生で車を残したい場合には、親族等に第三者弁済をしてもらって車のローンを完済する方法や、親族等に債務引受をしてもらって親族等が返済を継続する方法、特別に弁済の協定を締結する方法などがありますが、後々の個人再生手続きにおいて問題が生じる可能性もありますので、ローンが残っている車をお持ちの場合には弁護士にご相談、ご依頼の上、手続を進めてください。