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滞納している家賃・水道光熱費の支払いと個人再生

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2024年5月17日

1 滞納家賃について

個人再生は、裁判所により、本来払わなければならない債務を強制的に減額する手続きですので、債権者間の取扱いの平等性が要求され、一部の債権者のみに弁済を行うことは認められません。

2 滞納家賃の支払いの可否

⑴ 家賃の滞納分は支払いできない

滞納している家賃は、再生債権に該当し、借金やクレジットカード会社への支払いと同様に債権者一覧表に記載する必要があります。

また、滞納している家賃の反対給付である建物の使用という給付は期間ごとに分割可能と考えられているので、滞納している家賃に対応している期間がすでに経過してしまっている場合には、双方未履行ともいえません。

したがって、この場合には弁済禁止効が働くため、弁護士へ個人再生を依頼した時点で発生している家賃の滞納分は、支払ってはいけないものということになります。

そして、家賃の支払いができなければ、債務不履行に該当するため、当然、賃貸借契約を解除され、家を出ていかざるを得なくなってしまいます。

⑵ 賃貸借契約の解除を防ぐ方法

家賃等を滞納しており、居住を続けたい場合には、その滞納を解消するか、もしくは、第三者に依頼後に滞納分を支払ってもらうこと等が望ましいといえます。

3 水道光熱費について

水道光熱費の内、再生手続きの開始前6か月以内の給付については、生活に必要な供給として民法により一般の先取特権が成立します。

そのため、これらは、通常の再生債権ではなく、再生手続きでは減額されない一般優先債権となり、債権者平等の例外として支払いをしても問題ないということとなっています。

これに対して、開始前6か月以前の部分については再生債権となりますので、滞納家賃と同様に支払ってはいけないということになります。

また、水道光熱費等の継続的供給契約については、個人再生の開始決定後については、申立前の料金未払いを理由として、供給を拒むことはできないとも定められています。

そのため、水道光熱費等の滞納については、家賃の滞納ほど深刻な問題ならないことが多いです。

4 結論

このように、家賃や水道光熱費についても個人再生の場合には、支払いについて制約が生じることになります。

日常生活に大きく影響することですので、個人再生における家賃や水道光熱費などの取扱いについて詳しくは弁護士へご確認いただければと思います。

個人再生をお考えの方は、ぜひ、弁護士法人心にご相談ください。

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