「関東地方にお住まいの方」に関するお役立ち情報
横浜で個人再生をお考えの方へ
1 横浜の方の個人再生は当法人へご相談を
当法人の事務所は、横浜駅の近くにあります。
横浜駅は複数の路線が乗り入れる、神奈川県の主要なターミナル駅です。
JRや東急線、相鉄線や小田急線、京急線や横浜市営地下鉄などが利用いただけますので、各方面から電車でお越しいただきやすいかと思います。
駅からは、「きた東口A」出口から出ていただくと、歩いて3分ほどで到着します。
相談のご予約はお電話またはメールフォームで行っております。
また、土日祝日や平日夜間のご相談など、お客様のご都合に合わせ、日程調整もできる限り柔軟に行わせていただきます。
借金の問題にお悩みで、個人再生を検討されている方は、まずはご連絡ください。
2 個人再生で経済的に立ち直れる可能性があります
借金をして、長年返済をつづけていたものの、収入減や予定外の大きな出費などで、これまでどおりに返していくことが難しくなってしまったという方もいらっしゃるかと思います。
そのような場合には、個人再生をして状況を立て直すことをご検討ください。
個人再生というのは、裁判所に申立てることで、返済額の圧縮等を図る制度です。
これにより、債務が大幅に減る可能性があります。
圧縮された借金は、数年間で分割して返済していくことになりますので、今後の生活を立て直すことができる可能性があります。
3 住宅を残すことができる場合もあります
借金の問題にお悩みの方の中には、マイホームを手放したくないという理由から、弁護士への相談や借金の整理に踏み切れない方もいらっしゃるかもしれません。
個人再生によって債務を整理する際には、住宅ローン特則を利用することで、住宅ローン債務を整理の対象から外し、再生手続の後も返済を続けていくことで、マイホームを手放さずに借金の問題を解決することができる場合もあります。
住宅ローン特則を利用できるかどうかは相談者の方のご事情によって異なりますので、まずは弁護士にご相談ください。
また、住宅ローンの返済を延滞したまま放置していると、住宅ローン特則が使えなくなるケースもあります。
個人再生で住宅を残したいとお考えの方は、早めの段階で弁護士に相談されることをおすすめします。
東久留米にお住まいで個人再生をお考えの方へ 神奈川区にお住まいで個人再生をお考えの方へ
個人再生に向いている人、向いていない人
1 個人再生による債務整理
債務整理手続きは、大きく任意整理、個人再生、自己破産に分かれるといってよいです。
この3つの方針のいずれがよいのか、選択できるのか、というのは各個人の借入れや収入等のご事情によって変わってきます。
こちらでは、個人再生に向いている方、向いていない方の具体例をいくつかお示ししたいと思います。
2 総債務額で見た場合
個人再生手続きは、総返済額を大きく減らすことができる可能性のある手続です。
返済額について、条文上は「計画弁済総額が基準債権の総額の五分の一又は百万円のいずれか多い額(基準債権の総額が百万円を下回っているときは基準債権の総額…)」と規定されています(民事再生法231条2項4号)。
上記の条文は総債務額(基準債権額)が少額(1500万円以下)の場合ですが、簡単にまとめると①債務額100万円以下の場合はそのまま②債務額100万円以上が500万円未満は100万円、③500万円以上1500万円未満は、債務額の5分の1を最低弁済額として返済しなければならない、と整理できます。
そうすると、総債務額100万円以下の方の場合、個人再生をしても債務額は減りませんし、例えば総債務額が120万円だと、20万円しか減らないということになります。
逆に言うと、総債務額1000万円の方が個人再生をすると、最低弁済額は5分の1の200万円となり、800万円もの減額が期待できます。
以上から、総債務額が低いと個人再生のメリットが小さいためあまり向かず、総債務額が高くなるとそれだけ減額される債務が大きくなるので、個人再生が向いている傾向があるといえます。
債務が少ない場合には、任意整理の方がよいことが多いです。
3 財産で見た場合
上記の最低弁済額の計算方法の他に、「清算価値保障原則」というルールもあります。
これは、結論的には「手持ち財産以上は返済しなければならない」というルールです。
上記の例で、総債務額1000万円の人の返済額が200万円まで減る可能性がある、と説明しましたが、仮にこの方の清算価値(例えば生命保険の解約返戻金、車、不動産等の財産の合計)が700万円あるとすると、清算価値保障原則から、最低でも700万円は支払わなければならないことになります。
そのため、債務と同じくらい、財産価値のある資産等をお持ちの方の場合には、個人再生は向かない場合があります。
4 制限で見た場合
自己破産には士業等、一部資格について一定期間制限が生じます。
生命保険募集人、警備員等も含まれ、現在のご勤務先でのお仕事継続に支障が出る場合があります。
その場合、どちらかといえば「自己破産に向かない」状況となりますので、個人再生ないし任意整理を選択していただいた方がよいことが多いです。
年金を受給されている方の個人再生
1 年金を受給されていて個人再生をお考えの方へ
「年金を受給中でも個人再生できるのだろうか?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。
年金受給中の方の場合でも個人再生は可能なのか、どういった点が問題となりうるかなどについてご説明いたします。
2 個人再生手続は可能か
個人再生は手続き後、継続的な返済を予定された手続きですので、安定的な収入があることは個人再生をする上での重要なポイントとなってきます。
この点、年金は確実に入ってくる収入のひとつとなってくるため、安定した収入といえます。
そのため、年金を受給中の方も個人再生手続きをすることが可能です。
3 収入が年金のみの場合の注意点
個人再生の場合、返済すべき額は100万円以下になることはありませんし、債務額に応じて1/5から1/10の債務の返済は必要となってきます。
年金しか収入がなく、返済に充てられるのも1万円程度が限界、というような見込みだと、個人再生手続き後の返済継続は難しいと判断され、認可決定を受けられないことも考えられます。
その場合には、別途アルバイト収入等を確保して返済継続ができる状態にしていくか、別の方法を検討する必要が出てきます。
4 障害年金の場合
老齢年金の場合は、一定の年齢を超えていれば受給し続けられるものですが、障害年金の場合はやや事情が異なってきます。
障害年金は、一定の水準以上の障害があると認められた場合に、その等級に応じて受給できる年金です。
年金として受給が継続できることを考えれば、基本的には継続的な収入あり、と判断してよいのではないかと思います。
もっとも、障害の状態が永続するとは限りません。
これは障害のあるご本人にとってはむしろ喜ぶべきことかもしれませんが、病気、けがの内容によっては、事後的に症状等が改善していくことが考えられます。
障害年金は、更新の手続きがあり、その際に障害状態が一定水準以下に改善している場合には、支給が打ち切られる可能性があります。
そのため、収入が障害年金のみの場合に個人再生できるかどうかについては、症状の性質や程度等によって個別的な判断が必要となってきます。
個人再生をするメリット・デメリット
1 個人再生のメリット
⑴ 返済額が減る可能性が高い
個人再生手続きをすることで、場合によっては債務の額を1/10程度まで圧縮できる可能性があります。
返済額が大きく減ることで、生活を再建できることが期待できます。
⑵ 資産が残せる場合がある
個人再生の場合、一定の要件を満たしていると、住宅ローンの支払いを続けること、つまりマイホームを残したまま債務を圧縮することができます。
不動産等の資産は原則現金化することになる自己破産と比較すると、マイホームを残すことができる可能性があることは、個人再生の大きなメリットといえます。
また、所有権留保等の担保がついていない車なども、その時価額によっては手元に残すことができる可能性があります。
⑶ 自己破産が難しい場合でもできる場合がある
自己破産には、一定期間の資格制限を受ける場合があるという制約があります。
例えば、現在警備員のお仕事をされている方が自己破産をすると、免責を受けるまでの間資格制限が生じることになりますので、場合によっては職を失う可能性もあります。
個人再生では自己破産と異なり資格制限が無く、お仕事の内容によっては、これも個人再生のメリットの一つといえます。
2 個人再生のデメリット
⑴ 債務は残る
これは、個人再生を自己破産と比較した場合のデメリットになります。
個人再生の場合、債務がゼロになることはないため、手続き後も一定期間の返済継続が予定されています。
準備する資料などに極端な違いはありませんが、結果として100万円以上の債務が残る可能性があるというのは、個人再生のデメリットの一つといえます。
⑵ ブラックリストに載る
これは、債務整理の手続きに共通するデメリットです。
債務整理をすると、一定期間は信用情報機関に事故情報が登録されます。
いわゆる「ブラックリストに載る」という状態は、このことを指すといえます。
これにより、新規にクレジットカードを作ろうとしても審査に通らなかったり、住宅や車のローンを組むこと等も通常認められなくなったりしてしまいます。
一時的なものとはいえ、小さくないデメリットですので、個人再生を行う際には事前に検討いただくとよいかと思います。
個人再生をすることで訴訟を起こされないかご不安な方へ
1 個人再生と訴訟リスク
個人再生を含む債務整理手続きについては、手続期間中に貸金業者側等から裁判を起こされる場合があります。
事前にどのような場合に起こされることになるのか、実際に起こされた場合どう対処すればよいのか、その後どうすべきか等についてご説明いたします。
2 どのような場合に訴訟提起されるのか
債務整理手続中に行われる貸金業者側からの訴訟提起の大半は、滞納状態の継続によるものとなります。
依頼を受けた弁護士が貸金業者との間の窓口として介入すると、特別な事情がない限り直接債務者への取り立てはできなくなります。
しかし、督促が止まったからといって、借金の支払いの義務自体がなくなるわけではありません。
弁護士に依頼をしても、あくまで借金を滞納し続けているという状況は変わらないのです。
申立てのための書類集めや弁護士費用等の準備に時間がかかってしまうと、滞納状態が長いということで裁判を起こされることになります。
裁判を起こされるまでにどれくらい猶予があるかに関しては、債権者、案件の内容によって異なりますが、既に何か月も滞納している状況でご依頼いただく場合は、比較的早期に裁判を起こされる可能性があります。
また、借入れ後すぐのご依頼(一度も返済していなかったり、数回しか返済していなかったりする段階でのご依頼)等の場合も、早期に裁判となる傾向にあると言えます。
3 訴訟されることのリスク・デメリット
同居のご家族等に秘密にしたまま手続きを進めたいというご意向の方もいらっしゃいますが、裁判所からの訴訟提起の書類は自宅に送付されます。
これは、弁護士に依頼中であっても変わらないため、訴状等の送達によって個人再生の手続準備中であることが家族に発覚してしまう可能性があります。
貸金業者からの裁判は、「滞納中の債務を支払え」という正当な権利に基づくものであることから、最終的にはほとんどが債権者の言い分通りの判決が下されることになります。
判決それ自体が出ても直ちに大きな問題にはならないといえますが、判決確定後は、獲得した判決を「債務名義」とした強制執行手続(給与や自宅不動産、口座の差押え等)を取られてしまう状況となります。
たとえば、給与の1/4の差押えがされ、月々の生活費が足りなくなり、弁護士費用の積立もできなくなると個人再生の申立てもできなくなってしまうかもしれません。
また、差押により返済してしまった借金は、偏波弁済になるため、後々に将来の借金額に上乗せされてしまうリスクもあります。
4 裁判を起こされた場合の対応
裁判所からの書類を放置してしまうと、欠席裁判ということになり、直ちに敗訴判決が出て、いつ差し押さえがされてもおかしくない状況になります。
そのため、裁判所からの手紙が届いたら、適切な対応を行っていくことが必須です。
ただし、この裁判は、ほぼ確実に負ける裁判ではあるため、できても時間稼ぎが限度です。
そこで、基本的に申立てを急ぐことが重要となってきます。
個人再生の申立てをした後、開始決定が出ると、強制執行手続の中止を求めることができるようになるためです。
個人再生の手続きを申し立てただけでは裁判は止まりませんので注意が必要です。
弁護士法人心が個人再生の対応を得意としている理由とは
1 担当する分野に集中した案件対応
弁護士は、法律にかかわる案件を広く取り扱うことが可能です。
幅広い分野に対応できることは、1つの強みともいえます。
もっとも、幅広い分野に対応するということは、なかなか特定分野の経験・実績が積みあがっていかないということにもつながります。
弁護士法人心では、各弁護士が特定の分野を担当する形で対応しております。
個人再生のご相談は、個人再生を含む債務整理分野に集中して対応している弁護士が担当することになります。
特定の分野に集中して取り組んでいるため、より早く、より多くの経験・実績を積み重ねておりますので、それらに基づく適切な対応ができるようになっております。
2 内部での研修
弁護士法人心内部では、定期的に内部研修を実施しております。
法律が改正されたり、新しい裁判例が出たりするため、実務の対応はそれに応じて変化していきます。
変わっていく実務の状況に適応していくためには、最新の情報にも注意していなければなりません。
内部研修を通じて、そうした状況の変化にも対応できる体制をとっております。
また、担当案件の情報共有も行っております。
自分が担当した事件での経験だけでは偏る可能性のある知識・経験も、複数の弁護士と情報を共有することで保管され、より適切な対応ができるようになります。
個人事務所、少人数の事務所ではこういった情報共有は容易ではないため、法人内部での日々の研鑽も、弁護士法人心の強みといえるかと思います。
3 豊富な解決実績
弁護士法人心では、これまで数多くの個人再生案件を取り扱ってきました。
法人として扱ってきたこれらの解決実績は、これからご相談いただく方々にとって、よりよい案件対応のために積み重ねられております。
個人再生をご検討中の方は、まずは弁護士法人心までお気軽にご相談ください。
個人再生を依頼する場合の専門家の選び方について
1 個人再生を依頼する専門家の選び方
個人再生の申立ては、ご自身で行うことも認められていますが、大量の資料をまとめたり、専門的な書類を作成したりする必要があるため、専門家に依頼して行っているケースが大半といえます。
そこで、どういった視点から専門家を選ぶとよいのか、いくつかのポイントを挙げさせていただきます。
2 費用
重要なポイントの1つは、依頼にあたってどの程度費用がかかるのかという点です。
弁護士・司法書士など専門家の種類ごとに相場観が違います。
また、弁護士や司法書士それぞれの専門家の中でも、費用は弁護士ごとに違うため、複数の弁護士事務所を比較検討いただくとよいかと思います。
ホームページの料金を見て依頼を検討していたら、様々な理由をつけられて結局高額になってしまうというケースもあるため、実際に無料相談などをしてから決めてもいいかもしれません。
3 弁護士・司法書士
⑴ 弁護士と司法書士の違い
弁護士に依頼するか、司法書士に依頼するかで迷われる方もいるかと思います。
違いとして、弁護士は、直接申立人の代理人として行動ができますが、司法書士の場合には、申立人の代理人にはなれません。
つまり、弁護士は、書類作成から裁判所への説明・対応、個人再生委員との面談、債権者対応、裁判所への出頭などあらゆる手続きを依頼者の代わりに行うことが出来ます。
一方で、司法書士は、代理人にはなれないため「書面作成代理人」として行動することになります。
申立書などの書面を作成して裁判所に提出するところまでは任せられますが、その後の裁判所での手続きはご自身で行うことになります。
しかし、専門用語が飛び交う場で、法律の知識のない方がお一人で対応するのは、実際のところは難易度がかなり高いかもしれません。
⑵ 司法書士に依頼した場合のデメリット
また、裁判所の運用は地域によって異なりますが、司法書士に依頼をした場合は、あくまで本人による申立てで、専門家が関与していないとして扱われるところも少なくありません。
本人申立てと扱われる結果として、裁判所が「個人再生委員」という弁護士を用意し、「個人再生委員」が調査などを行うことになることが多いです。
「個人再生委員」が手続きに関与すると、一般的に、審査は細かくなるため、手続きは大変になります。
また、「個人再生委員」が選ばれた場合、20万円程度の予納金を裁判所に納めなければいけなくなるため、結局費用が高くなってしまいます。
4 経験・実績
弁護士が対応することができる分野は多岐にわたります。
そういった幅広い分野を取り扱う弁護士もいれば、意図的に分野を絞っている弁護士もいます。
対応する分野を絞ることで、その分野の経験・実績をより多く積むことができ、より適切な対応ができるようになっていけるからです。
専門特化しているか否かにかかわらず、個人再生申立ての経験の有無等も、専門家選びの指標の1つとなるといえます。
5 人柄
必ずしも手続きに直結するものではありませんが、依頼する相手の人柄というものも重要なポイントといってよいと思います。
昨今はライン相談、等といった方法等も可能となってはおりますが、
人柄まではわかりません。
特に、個人再生を含む債務整理のご相談については、弁護士との直接面談義務というものもありますので、依頼する相手がどのような方なのか、対面で相談をしてから決めるのも重要ではないかと思います。
生活保護受給中で個人再生をお考えの方へ
1 生活保護受給中の方の個人再生
生活保護を受給されている方の中には、借金がそのままになってしまっている方もいるかと思います。
借金の問題の解決方法としては、大きく任意整理、個人再生、自己破産が考えられますが、生活保護受給中の個人再生は原則としてできないといえます。
以下、その理由についてご説明いたします。
2 生活保護費の内容
個人再生手続きは、認可決定後、計画的な返済継続を予定した手続きとなっています。
この点に関し、生活保護費は、生活扶助、住宅扶助、医療扶助等と、生活保護費の支給の内訳が定められています。
異なる見解もありますが、扶助の内容をみると、借金の返済のための扶助と読み取ることは難しいように思われます。
生活保護費から返済した事実が発覚すると、生活保護費の支給が打ち切られてしまう可能性があります。
3 継続的な収入を得る見込み
個人再生手続き開始の条件として、「将来にわたり継続的に又は反復して収入を得る見込み」があることを満たしていなければなりません(民事再生法221条1項)。
この点、生活維持のための最低限度の支給しか受けられない生活保護費では、この条件を満たしていないものと判断されてしまいます。
このため、生活保護受給中は、個人再生手続の開始が認められないということになります。
4 解決方法
以上から、生活保護受給中の個人再生手続きの選択はできないと考えるべきです。
では、どのように対応すべきかというと、基本的には自己破産手続を選択するしかない、ということになります。
生活保護受給中の場合、法テラスが立て替えた弁護士費用等の支払い義務も免除されることから、通常は、法テラスを利用して自己破産をすることになると思われます。
あるいは、就職等によって生活保護の受給が終了した後に、任意整理、個人再生をすることも考えられます。
5 まずは弁護士にご相談ください
生活保護を受給することになったからといって、借金の支払義務自体が消滅するわけではありません。
回収をあきらめて督促がなくなる、といったことも少なくありませんが、一部の債権回収会社等からは督促が止まないこともあるようです。
法的にきちんと借金の問題を解決することをご検討中の方は、弁護士法人心 横浜法律事務所までご相談ください。
個人再生における弁護士と司法書士の違い
1 個人再生手続きにおける弁護士、司法書士の違い
破産や個人再生等裁判所を利用した手続きは、個人でも行うことが不可能ではありませんが、書類も複雑で、見落としがちな注意点もたくさんあるため、弁護士等の専門家に依頼して申立てを行っているケースが多いです。
では、専門家に依頼するとして、弁護士、司法書士でどのように変わってくるのでしょうか。
2 代理権限
原則として、法律事務の代理人となれるのは弁護士だけです。
認定司法書士に関しては、訴額140万円を超えない簡易裁判所における訴訟の対象となる事件に関しては代理人となることが可能ですが、個人再生は地方裁判所への申立てとなるため、代理人となることはできません。
そのため、司法書士は、「書面作成代理人」として申立書等の書類作成にあたっての代理はできますが、申立て自体は本人によるものと扱われます。
個人再生は、ただ書類を用意すれば終わりではなく、資産状況を調べ上げ、返済計画を立て、必要に応じて法律的な説明などをしていかなければなりません。
司法書士に依頼をした場合は、独りで裁判所に赴き、これらの対応をしなくてはいけなくなります。
これに対し、弁護士は、上記のような制限がないため、裁判所への申立て全体について、代理人として活動することができます。
そのため、裁判所や回収業者からの問い合わせなどは弁護士が行い、出廷も弁護士と一緒に行うことができます。
3 個人再生委員の選任
多くの裁判所では、本人申立ての場合には原則として個人再生委員を選任し、代理人申立ての場合には個人再生委員を選任しないという取扱いをしています。
個人再生委員は、弁護士による代理人申立ての場合であっても、一部複雑事案において選任される場合もありますが、横浜地裁では、通常ほとんど選任されていないといえます。
個人再生委員が選任される場合、個人再生委員報酬等の追加予納金(20万円~)が発生しますので、司法書士への報酬と合わせて二重の負担となる可能性があります。
そのため、結果的に弁護士に依頼をした方が安いなんてこともあり得ます。
また、個人再生委員が選任される場合には、詳細な調査が行われるため、手続き的な負担が増えるうえ、問題行為が露見すると、将来の返済額が増加してしまう場合もあります。
4 個人再生の申立ては弁護士に依頼することをおすすめします
上記のとおり、どの専門家に依頼するかで、個人再生の手続きの流れ、個人再生委員の選任等の違いが出てきます。
登記業務等に関しては当然司法書士の専門分野ですが、個人再生については、弁護士に依頼する方が、手続的負担、金銭的負担が小さくなる可能性が高いということができます。
個人再生によるご家族への影響が心配な方へ
1 個人再生をした場合のご家族への影響
個人再生手続を進めた場合にご家族にどのような影響があるのか、心配になる方もいるかと思います。
ご家族の状況は様々であるためすべての可能性について網羅的に説明することはできませんが、考えられる影響などについて以下ご説明いたします。
2 基本的には影響はほとんど無い
個人再生手続というのは、あくまで申立人個人との関係で行われるものです。
信用情報機関に事故情報が載る(いわゆるブラックリストに載る)、官報公告に載る等の不利益に関しても、基本的には申立人ご本人だけしか影響を受けません。
そのため、例えば夫(妻)が個人再生をした場合にその配偶者がローンを組めなくなるとか、配偶者名義の家や車を個人再生手続上処分する義務が生じる、といった問題が生じないことが原則です。
また、個人再生で問題にするのはあくまで申立人名義の財産であり、個人再生は自己破産と違い財産を売る必要もないため、家族の財産が持って行かれてしまう可能性は低いといえます。
3 事実上の問題
上記2のとおり、個人再生手続をしても基本的にご家族への影響はないといえますが、事実上の影響を受ける部分がないわけではありません。
例えば、個人再生の申立てには通常申立て前2か月分の家計簿の提出が求められます。
(横浜地方裁判所の場合は、3か月分の家計簿が必要になります。)
その際、家計全体の状況を把握する必要がある、との理由から、ご家族全体での収入・支出を計上しなければならないことが多いです。
家計簿には証拠をつける必要があるため、家族の給与明細、家族の通帳、水道光熱費や電話料金、高額な買い物の領収書などの提出が櫃世になることもあります。
また、同居しているかどうかがポイントになるため、生活費は別々にしている両親や、同棲している交際相手でも領収書や通帳の提出が必要になります。
「自分は関係ないから一切協力しない」というわけにはいかない場合があるため、ご家族の協力が必要となる、というのは、事実上の不利な影響ということができます。
また、個人再生手続をしたことで、住宅を手放さざるを得なくなり、引っ越しが必要になったり、申立人名義の車が債権者に引き上げられたりしてしまうことがあります。
これにより、個人再生を進める前と比べ生活状況が変わってしまうことがあります。
法的な影響というわけではありませんが、これも事実上の影響を受ける可能性があるものといえます。
4 詳細は弁護士にご相談ください
個人再生手続では、条件が整っていれば、住宅ローンを維持しつつ生活再建を図ることができる場合等もあります。
どのような場合に、どのような影響が出る可能性があるのかについては事案ごとにかわってきますので、個人再生をご検討中の方は、一度弁護士に相談されることをおすすめします。
個人再生と清算価値補償原則
1 清算価値保障原則
個人再生手続の返済計画を作成するにあたり、清算価値保障原則という制度が返済額に影響を及ぼすことがあります。
個人再生は、借金を減らして3~5年間かけて返済していく制度ですが、借金を減らせる限度額が手持ちの財産以下にできないという制度です。
理由としては、ごく簡単にいうと、自己破産をした場合と比較して債権者の不利益とならないよう、破産手続で配当をする金額(=清算価値)は最低限返済しなければならないという考え方からきています。
※)正確には、手持ちの財産から、自由財産(=破産しても手元に残せる財産)をマイナスした金額です。
2 注意しておくべき財産
⑴ 清算価値保障原則の注意点
清算価値保障原則から、将来の返済額をシミュレーションする場合、特に注意しなければいけない点は、財産を見落とすことです。
預金が0円だとしても、法律的に価値がある財産はたくさんあります。
こういった財産を見落とすと、返済額が想定外に高額になってしまう可能性があります。
以下で、いくつか見落としがちな財産を紹介します。
⑵ 生命保険の解約返戻金
積立型の生命保険の場合、解約すると一定額の解約返戻金が戻ってきます。
この解約返戻金は、銀行預金等と基本的に変わらない貯蓄のようなものですので、解約した場合の解約返戻金の見込み額が清算価値として評価されることになります(必ずしも解約の必要があるわけではありません)。
ご両親等が申立人名義で積み立てをしていた場合等は注意が必要です。
基本的に契約者の名義で判断されますし、親としても子供のためにと支払ってきた保険は贈与したものとも評価できますので、申立人の財産と評価される場合の方が多いです。
結果的にかなりの額の解約返戻金となる場合には、解約返戻金を返済に充てることでそもそも個人再生手続きをする必要がなくなる、という場合もあるかもしれませんが、個人再生手続きをする場合には、返済額増額の理由となる場合があります。
⑶ 売掛金
個人事業主の方の場合、翌月末払い等の売掛金が発生することが多いと思いますが、売掛金は回収可能な債権ですので、清算価値として計上されます。
清算価値は、認可決定時を基準に判断されますが、例えば翌々月払い、3か月後払い等、数か月後の支払いとなっている場合、認可決定時点に数か月分の売掛金が回収未了となっている場合があります。
その結果、数か月分の売上相当額が清算価値となり、返済額が思いのほか増額する場合があります。
⑷ 借地権
建物だけは自分の名義で、土地は親族などから借りている場合があります。
この場合、土地を借りる権利(=借地権)も財産としてみなされます。
建物は築年数が経っていればほとんと価値がないこともありますが、借地権は意外と高額になることがあります。
3 清算価値として評価されない財産
差押禁止財産については、清算価値として評価しないものとされています。
個人再生手続上で目にすることが多いのは、退職金共済、確定拠出年金等です。
これらについては差押禁止財産とされており、清算価値としては計上されないことが多いです。
清算価値として評価される通常の退職金なのか、差押禁止財産である確定拠出年金等なのかは、弁護士と相談して確認してみるべきといえるでしょう。
個人再生をすると仕事にどのような影響があるか
1 個人再生手続きと仕事への影響
個人再生をはじめとする方法で債務を整理するにあたって、どのような影響が出るのかを気にされる方は少なくありません。
特に、個人再生は裁判所を利用した法的整理手続きであることから、仕事などに様々な支障が出ることを懸念される方が多いのかと思います。
以下、お仕事への影響を中心にご説明したいと思います。
2 基本的に大きな影響は出ないことが多い
まず、個人再生手続きをしても、自己破産における一部の職業に就けなくなるといった資格制限などはないため、業種にかかわらず業務の継続が困難になる、ということは通常は想定されません。
個人再生の申立てをすると官報公告をされたり信用情報に登録されることになりますが、官報や信用情報を常時調査している会社の方が少数派といえます。
一時的に閲覧可能な状態には置かれることから、「絶対に影響が出ない」とは言い切ることはできません。
もっとも、昇進に影響が出るとか、仕事を続けられなくなるとか、就職の際の採用の合否に影響を与えるといったようなことはない場合の方が多いといえます。
3 影響が考えられるケース
⑴ 金融関係、保険会社などにお勤めの場合
官報を調査する会社は少数派である、というのは上記のとおりですが、ゼロということはないでしょう。
特に金融関係、保険関係、公務員等について、官報や信用情報をチェックする機会もあるため、影響が出る可能性は否定できません。
⑵ 勤務先に借金をしている場合
また、ご勤務先に借り入れがあるケースでは、影響は避けられません。
個人再生手続きのルールとして、「債権者平等の原則」があるため、ご勤務先に借り入れがある場合には、ご勤務先も債権者として手続きに加えざるを得なくなります(意図的に特定の債権者を除外することは認められていません)。
裁判所や弁護士から、勤務先に連絡をしなければならないことが通常です。
⑶ 会社代表者の場合
会社代表者の場合でも個人再生は不可能ではありませんが、会社の債務の連帯保証人となっている場合が多いかと思います。
個人再生を行い、借金を支払うことができなくなると、連帯保証人としての資格を失い、別で連帯保証人をするなどしない限り、会社も破産することを検討しなければいけません。
この場合、会社の債務にも影響があるため、ダイレクトに支障が出てしまうケースとなりますのでご注意ください。
⑷ リースで仕事のための車を購入している方
かなり具体的な例となりますが、仕事で車の利用が必須の方で、車のローンの支払いを継続している方等も注意が必要です。
車のローンに関しては、「所有権留保」という方法で担保権が設定されていることが多く、弁護士が介入した時点で車両を債権者等に引き上げられてしまうことになります。
運送業でトラックを持っている方など、注意が必要です。
個人再生においては、住宅ローン返済中の場合に関して一定の条件の下で住宅を維持することができますが、車の場合はそのような例外が認められる場合はさらに限定的であることも併せてご注意ください。
4 詳細は弁護士にご相談ください
上記のとおり、仕事への影響は気にしなくてよい場合が比較的多いかと思いますが、状況は十人十色です。
影響が出るかどうかは、様々な視点から検討する必要があります。
自分の場合には問題がないか、お一人で抱え込まず、まずは詳しい内容については弁護士にご相談ください。
弁護士法人心 横浜法律事務所は、横浜駅の近くにあり、横浜近辺にお住まいの方、ご勤務先が横浜周辺の方等にとってアクセス良好です。
個人再生の注意点
1 個人再生手続中の注意点
個人再生で借金を減らすには、裁判所の審査があります。そのため、日常生活の様々な場面で注意点があります。
場合によっては、将来返済する借金の額が増えてしまったり、最悪の場合、個人再生が認められなくなったりする(認可決定が得られなくなったりする)ことがあります。
そういった注意点をいくつかご紹介します。
2 偏頗弁済
個人再生をする場合、原則的には、債権者への支払は全て停止する必要がありますが、それにもかかわらず特定の債権者に対してのみ返済をすることを「偏頗弁済」といいます。
偏頗弁済をした結果、他の債権者を害するような場合には、自己破産手続では免責不許可事由として自己破産が認められなくなることもあり、個人再生でも厳しく判断されます。
(偏頗弁済の例)
① 個人再生の準備中に、携帯電話の機種代金の分割払いを行ってしまった。
② 消費者金融などへの支払ができない状況で、親に借りたお金を返してしまった。
偏頗弁済をしてしまった場合では、その返済がなければ他の債権者は追加で返済を受けられた可能性があることから、偏頗弁済した分を清算価値として計上し、返済計画案を作成する際に考慮される、という対応となることが少なくありません。
ただし、意図的に偏頗弁済をし、特定の債権者を除外して申立てをした、といったような場合には、不当な目的での申立てと評価され、認可決定を得られないこともあるため注意が必要です。
3 履行テスト
申立て後、返済継続が可能かどうかをテストするため、減額後の返済見込み額を毎月積み立てていきます。
これを「履行テスト」といいます。
履行テストはおおむね6か月程度ですが、この履行テスト中に積み立てが滞ることは問題といえます。
裁判所としても、履行テストを踏まえ、今後も返済継続が可能かどうかを見極めたうえで認可決定を出すわけですので、履行テスト中に返済が滞るわけにはいきません。
途中で積み立てができなくなってしまうことがないよう、計画的に進めていくことが求められます。
4 家計表の作成
多くの裁判所では申立て前3か月分の家計表(家計簿)の提出を求められます。
毎月の収入と出費をまとめ、月々にいくら余裕があるか(=将来いくら返済していけるか)を審査します。
前提として適切に家計管理をすることが求められますが、しっかりと家計表を作成し、返済継続が十分見込めること、浪費等問題がないことを示していく必要があります。
5 個人再生手続きのご相談は弁護士法人心まで
個人再生手続きは、裁判所の審査があり注意点が多いうえ、手続き後も返済が続く等、複雑な債務整理手続きです。
個人再生手続きを検討中の方は、横浜駅近くの弁護士法人心 横浜法律事務所までご相談ください。
個人再生委員について
1 個人再生委員
個人再生手続においては、事案の内容によって、個人再生委員という立場の別の弁護士が裁判所から選任されることがあります。
地域ごとに運用、基準などは異なりますが、横浜地裁管轄では、あまり選任されることは多くないといえます。
2 個人再生委員が選任される場合
個人再生委員の選任は裁判所が行いますが、どういうケースにおいて選任されるかについては、明確な基準が定められているわけではありません。
基本的には、様々な事情の総合的な判断になってしまうかと思いますが、事案が複雑であると思われる場合や、認可を認めるかどうかにつき、慎重な判断が求められる場合等に個人再生委員が選任されるという傾向があるといえます。
3 個人再生委員が選任された場合の手続き
基本的には、個人再生委員が選任された場合でも、手続の流れはそこまで大きく変わることはありません。
申立人側で生じる主な違いとして、開始決定前に「個人再生委員面談」が行われることが挙げられます。
個人再生委員の目から見て、申立てた事件の問題になりそうな点、資料等の補充が必要と思われる点等を確認し、その事件の見通しなどについて協議することになります。
個人再生委員が選任されていない場合には、申立後の履行テスト(返済継続可能性のテスト)は申立代理人事務所への積立によって行われます。
一方、個人再生委員が選任された場合には、個人再生委員が開設した口座への積立によることになります。
その他、個人再生委員の意見書提出等の手続きが増えるものの、申立人にとっては手続に影響は大きくないかと思います。
4 再生委員報酬等について
個人再生委員の報酬は、案件によるところもありますが、基本的には15万円~20万円程度です。
この報酬は、履行テストで積み立てた分から差し引かれるかたちで処理されます。
そのため、追加で高額の支払いが求められるということにはなりにくいといえます。
5 個人再生申立ては弁護士にご相談ください
個人再生は、返済計画の作成等、債務整理手続きの中でも比較的複雑なところも多い手続きであるといえます。
個人再生申立てをご検討中の方は、個人再生申立て案件の経験豊富な弁護士にご相談されることをおすすめします。
個人再生で返済期間がどうなるかご不安な方へ
1 個人再生の返済期間
個人再生をする場合、その返済期間は、原則3年とされています(民事再生法229条2項2号)。
これは、毎月弁済の場合にすると、36回払いという計算になります。
総債務額、清算価値(総財産)によっても変わってきますが、返済総額が法律上のルールに従って1/5等の金額まで圧縮され、かつ36回の分割となると、月々の返済額は申立て前よりかなり減らせる可能性があるといえます。
2 「特別の事情」がある場合
さらに、3年間での返済でも返済計画案に従った返済が困難であると考えられる「特別の事情」があると認められた場合には、最大で5年、毎月弁済の場合では60回分割の再生計画案が認可される場合もあります。
どのような場合に「特別の事情」があると認められるかについては、事案ごとの個別事情に委ねられます。
3 実務上の取り扱い
当然ながら、前提としては、3年での分割弁済では計算上毎月の返済額を捻出し続けることができないことが求められるといえます。
そのため、3年で計算した場合の返済額を捻出する余裕があると思われる場合には、通常、原則に従って3年分割となると考えられます。
また、例えば毎月の食費などが多いので返済ができない、といった理由だけだとすると、節約等に努めれば毎月の返済額を捻出することはできるでしょうから、それだけで「特別の事情」ということは難しいのではないかと思います。
具体例を挙げればきりがありませんが、例えば、持病などがあって定期的な医療費の支出が避けられない場合、子供の進学等が予定されている場合、高齢で再就職ができたものの転職等による収入増加が期待できない場合等は、比較的「特段の事情」があると認められやすいと考えられます。
基本的には事情によって千差万別と言わざるを得ない側面はありますが、3年以上でないと返済継続ができないが、5年であれば返済継続の見込みがあるという状況で、特別の浪費等がなければ生活再建の見込みはあると言えますし、ある程度柔軟に認められることも多いかと思います。
4 個人再生のご相談は当法人まで
当法人では、これまで数多くの個人再生案件に携わってきました。
弁護士法人心 横浜法律事務所は横浜駅徒歩約3分ですので、個人再生の申立てをご検討中の方は、お気軽にご相談ください。
個人再生において必要とされる継続的な収入とは
1 個人再生と継続的な収入
個人再生手続きにおいては、認可決定後の継続的な返済継続が予定されています。
そのため、「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがある」ことが手続きを利用するための条件とされています(民事再生法221条1項)。
では、どういった場合に、どの程度の継続性が必要とされるのか、以下でご説明したいと思います。
2 専業主婦(主夫)
条文に「収入を得る見込みがある」とされているように、個人再生を申し立てる前提として収入がないといけません。そのため、専業主婦(主夫)の場合等、収入のない方の場合には個人再生手続きを利用することはできません。
他方、パートタイマー等でも、夫(妻)にも収入があり、生計が維持できているといった兼業主婦(主夫)の場合には、雇用条件等にもよりますが、個人再生手続きが利用できる可能性が出てきます。
例えば、夫婦の生活費の大半は夫(妻)の収入で賄うことができ、パート収入の一部ないし全部を返済に充てれば支払いが続けていけるような場合等が想定されます。
3 アルバイト
アルバイトの場合、正社員と異なり、基本給が設定されているわけではなく、勤務時間によって毎月の収入がそれなりに変動する可能性があるといえます。
とはいえ、正社員と変わらない勤務時間稼働しており、毎月ある程度の収入を得ているアルバイトの方も少なくありません。
ある程度勤務実績があり、今後も同一の職場で勤務を継続できる見込みがあるような場合には、アルバイト収入のみであっても、個人再生手続きをすることができる可能性があります。
4 個人事業主
個人で事業をされている方の場合、業務の内容によってはアルバイト以上に毎月の収支が変動する方もいると思います。
他方で、アルバイトである程度収入が安定している方と同様、固定の取引先がいる等、個人事業主という契約形態であっても実質的に正社員と大きく変わらない勤務実態の場合もあります。
そのため、個人事業主の場合でも、アルバイトと同様、個々の事情によっては、個人再生手続きが利用できる場合があります。
5 年金等
国民年金、厚生年金等は、基本的にずっと受給が続くものであるため、ある意味で給与収入以上に安定した収入といえます。
そのため、年金受給者の方の場合、個人再生手続き後の返済計画案で想定される毎月の返済額の捻出が可能であれば、手続きを利用できる可能性があります。
同じ年金でも、障害年金の場合には慎重な判断が必要となる場合があります。
老齢年金の場合には、基本的に65歳から受給が始まり、減ることはありませんが、障害年金は、多くの場合「有期認定」といって、1年~5年程度の期限付きの認定となるため、必ずしも一生涯受け取れるものではありません。
他方、更新の手続きによって受給継続が認められる割合は少なくないため、有期認定であっても、今後も問題なく受給が続くことを示すことで、継続的な収入あり、と認められる場合もあります。
6 個人再生をご検討中の方は弁護士法人心まで
個人再生手続きが利用できるかどうかご不安がある方は、横浜駅徒歩約3分にあります弁護士法人心 横浜法律事務所までご相談ください。
個人再生手続きを進めるにあたっての注意点
1 まずは主体的に行動することが重要です。
個人再生手続きは、申立人ご本人の方でも、資料をそろえたり、家計表を作成したりと、色々動いていただくことが必要となる手続といえます。
代理人では容易に開示できない書類、ご本人でないとわからない事情の裁判所への報告等を求められる等があり、これらのご準備をしていただけないと、依頼を受けた弁護士側も動きをとれない、という状態になることもあります。
個人再生は、「弁護士に依頼して、後は何もせずに借金が減額されるのを待っていればよい」という類型の手続きとはいえませんし、何よりも生活再建に向けて、ご自身がしっかりと覚悟をもって手続きに臨まれることが重要だと思います。
2 履行テストは遵守しなければなりません
申立て後、「履行テスト」といって、今後返済を続けていけるかどうかをテストする期間があります。
「テスト」といっても、毎月代理人事務所に支払いをするか、個人再生委員が選任された場合には再生委員が開設した口座に支払いを続けるだけですので、特に難しいことをしなければならないというわけではありません。
とはいえ、個人再生手続の場合、自己破産と大きく異なり、手続き後の返済が予定されています。
そのため、申立て後の手続き期間中に、今後は毎月きちんと返済を続けていける、ということを示せないと、裁判所も認可決定を出してくれない可能性があります。
返済計画ができた後は、今後は計画通りに返済を続けていけるということを示すため、毎月遅れることなく、確実履行(積み立て)を続けていくことが求められます。
万が一にも、手続期間中に予定通りの支払い継続ができなくなる、といったことがないように注意しましょう。
3 裁判所等からの照会には適切に応じる必要があります
申立て前に一通りの必要書類等を準備して申立てをしますが、申立て後も家計表の提出を続ける必要があったり、裁判所や個人再生委員の判断で追加資料の提出を求められたりする場合があります。
書類の提出には期限を定められることもありますので、そういった場合には、特別な事情がない限り、期限内に求められた資料等を準備することも大切です。
準備すべき書類をきちんと準備し、毎月の積立をしっかり続けていくことで、問題なく裁判所からの認可決定が受けられるようになります。
4 わからないことは弁護士にご相談ください
疑問等が生じた場合には、弁護士と相談しながら進めた方がよいと思います。
「問題とならないだろう」、と安易に済ませてしまったことが、認可決定を得られるかどうかについて重大な問題となる、といったことが全くないとはいえません。
少しでも不安を感じたら、問題ないかどうか弁護士にご確認いただくとよいと思います。
弁護士法人心 横浜法律事務所では、多くの個人再生のご相談、ご依頼を承っております。
横浜駅徒歩約3分ですので、まずはお気軽にご相談ください。
個人再生のスケジュールについて
1 個人再生のスケジュール
個人再生申立て後の一般的なスケジュールについてご説明したいと思います。
個人再生についてのご依頼後、申立てのための資料等の準備をする期間が通常それなりにありますが、こちらのページでは裁判所へ個人再生の申立てを行った後の流れについて説明します。
2 申立て後、開始決定まで
申立てを行うと、まず裁判所の方で申立書類の調査が進められます。
多くの部分は申立て時点で代理人となる弁護士が調査等したうえで申立てをしますが、裁判所の目から補充が必要と判断される資料の追加提出や、説明の補充等を求められることがあります。
ひととおりの補充等が終わると、開始決定が出されます。
案件の内容によっては、個人再生委員が選任される場合があり、その場合には、個人再生委員との面談を経て手続き開始に関する意見書が出された後に開始決定、という流れとなります。
横浜地裁の場合には、再生委員選任は必須とはなっておらず、選任されない案件の方が多いです。
個人再生委員が選任されるか否かについて明確な基準があるわけではありませんが、基本的に、収入、支出、家計の状況等から、今後の返済継続を進めていくことができるか否かについて疑問があると判断される場合には、個人再生委員が選任される傾向があるかと思います。
個人再生委員が選任される場合、横浜地裁の現行の運用では、18万円の追加の予納金が必要となります。
開始決定までの期間はおおむね1か月程度です。
3 返済計画案(再生計画案)提出まで
返済計画の案は、再生計画案として提出します。
再生計画案の提出期限の遵守は比較的厳格で、原則としては期限までに計画案を提出する必要があります。
もっとも、開始決定後、債権届の提出があったり、債権認否を行ったり、異議申述の期間があったりと、それなりに時間的余裕があるため、間に合わないケースは基本的にほとんどありません。
また、大半は基本的に弁護士の方で対処できるものになりますので、弁護士に任せてよい部分といえるかと思います。
申立人ご本人の方でまず最低限やっていただく必要があることは、今後の返済見込み額の継続的な積み立てです。
これは「履行テスト」等と呼ばれており、認可決定後も継続的な返済が予定されている個人再生手続きでは重要なものとなります。
基本的に、毎月返済見込み額を申立代理人の事務所に引き続き積み立てることになりますが、個人再生委員が選任された場合には個人再生委員が開設した口座へ積み立てることになります。
返済を続けていけるか判断するにあたり、申立て後も手続き終了まで毎月家計表を提出するよう指示される場合もあります。
再生計画案提出までは、開始決定後、2か月半程度かかります。
4 認可決定まで
再生計画案提出後は、それに対する債権者の意見を求める期間が設けられます。
小規模個人再生においては、債権者の頭数の過半数かつ総債務額の1/2以上の賛成を要することになりますので、ここで債権者から異議が出され、要件を満たさなくなってしまうと、認可決定を得られないということになります。
もっとも、要件を満たさない可能性が高いことが事前に予見される場合には、債権者の同意が不要とされている給与所得者再生での申立てを行う場合が多く、賛成を得られないケースはそこまで多くはないかと思います。
認可決定が出された後は、約2週間後に官報に公告され、そこから2週間で効力が確定します。
個人再生とハードシップ免責
1 ハードシップ免責とは
通常の個人再生手続後の手続きとして、ハードシップ免責という制度が定められています(民事再生法235条)。
個人再生手続きは、基本的に認可決定確定後、計画弁済を予定した手続きとなっていますが、この計画弁済の期間は3年~5年と長期にわたります。
多くの個人再生手続きは申立てをしてから認可決定まで半年程度です。
この半年の間については認可決定を受ける時点まで問題なく返済継続の見込みがあったとしても、その後、想定外の事態が生じる可能性は否定できません。
ハードシップ免責は、そのような場合に利用できる手続きとなります。
以下、概要や条件などについて説明します。
2 条件
⑴ まず、再生手続き中の債務者の「責めに帰することができない事由によって」返済継続ができなくなることが条件となります(1項柱書)。
典型的には、大きな事故や病気等でそれまでのように収入が得られなくなることが想定されます。
「責めに帰することができない事由」というのは、要するに自らの責任に寄らない事情、というような意味合いです。
返済継続ができなくなるにあたり、自身に何らかの落ち度がある場合には条件を満たさないことになります。
⑵ また、返済継続が「極めて困難」であると認められることも必要となります(1項柱書)。
「極めて困難」と言えるかどうかは評価の問題となりますが、少なくとも一時的な収入減少等では認められないといえます。
⑶ さらに、計画弁済により、3/4以上返済を終えていることも求められます(1項1号、2号)。
これは金額で明確になるので、条件を満たしているかどうかの判断は容易にできるといえます。
⑷ そのほか、「再生債権者の一般の利益に反するものでないこと」という条件が求められます(3号)。
どういう場合に「一般の利益に反するものでない」といえるかについては条文だけではわかりにくいかと思いますが、解釈上は、「認可決定時点における清算価値以上の返済を終えていること」と考えられています。
例えば、総額600万円の債務がある状態で小規模個人再生を行う場合、まずは1/5以上、120万円以上の返済をすることが条件となりますが、別途、清算価値(総財産)が120万円を超える場合には総財産以上の返済が必要となります。
清算価値と比較して多い方が計画弁済の総額になりますので、清算価値が100万円しかない場合には120万円が計画弁済における返済額となります。
上記の場合、120万円の3/4は90万円となりますが、認可決定時点の清算価値が100万円であったとすると、90万円の返済では足りず、100万円の返済を終えていないと「再生債権者の一般の利益に反するものでない」という条件を満たさないことになります。
もっとも、あくまで評価の問題であって、絶対に100万円払わなければならないとか、100万円払っていれば条件を満たす、と言い切れるものではないので注意が必要です。
⑸ 加えて、再生計画の変更が「極めて困難」であると認められる必要もあります(4号)。
そのため、ハードシップ免責を申し立てるにあたっては、まず再生計画の変更について検討し、それでも返済継続が困難である、という状況である必要があります。
3 効果
ハードシップ免責の申立てを行い、上記条件を満たしていることが認められると、まだ返済を終えていない部分についても返済義務が免除されることになります(6項)。
住宅資金特別条項について
1 住宅資金特別条項について
「債務整理 住宅ローン」等とインターネット検索すると、個人再生の案内ページが出てくると思います。
住宅ローンが残せる場合、返済計画に「住宅資金特別条項」というものを盛り込むことになります。
この住宅資金特別条項について、少し掘り下げて、適用できるかどうかの要件等について説明します。
2 住宅
民事再生法196条1号によれば、住宅資金特別条項を定めることができる住宅は、「個人である再生債務者が所有し、自己の居住の用に供する建物であって、その床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら自己の居住の用に供されるものをいう。ただし、当該建物が2以上ある場合には、これらの建物のうち、再生債務者が主として居住の用に供する1の建物に限る。」と規定されています。
そのため、前提として自己の居住用でなければなりませんので、投資用不動産はそもそも適用対象外ということになります。
また、床面積の1/2以上は所有権を有していなければいけないというのも注意すべき点となってきます。
例えば、ご夫婦で1/2ずつ持ち分を分けてペアローンを組んでいる方の事案等ではこの点が問題となることがあり、夫婦一緒に申請することで住宅を維持できる場合がある、といった実務上の運用等があります。
個人再生のご相談であまり問題となったことはありませんが、要件を満たす建物を複数所有する場合には、1つだけに限られる、とも規定されています。
3 住宅資金貸付債権
同条3号によれば、住宅資金特別条項を定めることができる住宅資金貸付債権は、「住宅の建設若しくは購入に必要な資金(住宅の用に供する土地又は借地権の取得に必要な資金を含む。)又は住宅の改良に必要な資金の貸付けに係る分割払の定めのある再生債権であって、当該債権又は当該債権に係る債務の保証人(保証を業とする者に限る。以下「保証会社」という。)の主たる債務者に対する求償権を担保するための抵当権が住宅に設定されているものをいう。」とされています。
「又は住宅の改良に必要な資金の貸付けに係る分割払の定めのある再生債権」とあるように、いわゆるリフォームローンも対象となっているということになります。
いわゆる諸費用ローン、借換えがあった場合にこれらが住宅資金貸付債権となるかについては争いがあり、個別の事情によって判断が変わってくる可能性があります。
対象外となってくるのは、不動産を担保に追加の貸付等を受けている場合です。
この貸付は、条文の規定から「住宅資金貸付債権」に該当するものとはいえないため、基本的に住宅の維持が難しくなってきます。
4 代位実行前
住宅ローンを組む際、多くの場合には保証会社の保証がつくことになります。
住宅ローンの返済が一定期間滞った場合には、保証会社が債務者に代わって住宅ローンを一括弁済することになります。
これを「代位弁済」といいます。
個人再生を行おうと考える状況は、通常多重債務に陥っている場合であり、住宅ローンの返済も滞っている場合もあります。
住宅資金特別条項は、返済が滞り、代位弁済が行われた場合でも、6か月以内であれば、いわゆる巻き戻しを認めています(民事再生法198条2項)。
逆に言えば、これを過ぎると住宅の維持ができなくなりますので、注意すべきポイントとなります。
既に住宅ローンの滞納をし始めている方で、住宅の維持を考えている方は、期限についてもご確認いただく必要があります。
5 詳細は弁護士にご相談ください
住宅資金特別条項を定めるにあたっては上記のような条件がありますが、例えば「住宅」といえるか、「住宅資金貸付債権」といえるか、といった評価の問題がある等、申し立てるにあたっては複雑な問題が生じます。
個人再生を利用して住宅の維持を考えている方は、弁護士にご相談することをおすすめします。
個人再生でマイホームを残したまま生活再建をしたい方へ
1 住宅ローンといえば個人再生
「借金問題を抱えているが、マイホームは手放したくない。何とか解決方法はないか」
そうして、「債務整理 住宅ローン」等とインターネットで検索すると、個人再生手続が出てくることがほとんどです。
なぜかといえば、個人再生手続においては、住宅ローンの取り扱いについて特別の取り扱いが認められ、マイホームを手元に残したまま生活再建ができる場合があるからです。
個人再生手続は、ごく簡単に言うと、総債務を一定割合(債務総額・資産額等に応じて1/5~1/10程度)まで減額し、これを一定期間(3年~5年)分割返済する計画案を立案し、これを完遂できれば、残りの債務の返済が免除される手続きです。
この減額の計画案を立てるにあたって、住宅ローンを特別扱いする(通常は「これまで通り返済を継続する」となることが多いです。)ことで、マイホームを残すことができます。
この住宅ローンの特別扱いについて、「住宅資金特別条項」等と呼ばれています。
2 マイホームを残せる条件
⑴ 長期間の滞納がない
住宅ローンを一定期間滞納すると、保証会社が保証を実行し、立替払いを行います。
多くの住宅ローンは保証契約も併せて行われているはずですので、契約書等をよくご確認ください。
保証実行後、6か月を経過すると、そもそも個人再生手続をしてもマイホームを残すことはできないルールになっています(民事再生法198条2項)。
保証の実行がされた後でも巻き戻すことができるというのが個人再生手続きの強みの1つではありますが、いつでも巻き戻せるとなると、法律関係が安定しなくなってしまうこと等が6か月という期間制限の理由となっています。
ただ、見方を変えると、住宅ローンの滞納により保証が実行されてしまった後でも、期限はありますが巻き戻すことが可能、ということになります。
いずれにせよ、住宅ローンの滞納が続いている場合、マイホームを残して個人再生手続をするにはタイムリミットがある、という点は十分ご注意ください。
⑵ 不動産の価値が低い
個人再生を進めるにあたっては、「清算価値保障原則」という原則を遵守する必要があります。
清算価値保障原則の沿革としては、自己破産した場合とのバランスがその理由とされていますが、ごく簡単に言うと、「手持ち財産以上は返済しなければならないルール」、となります。
この原則がある関係上、住宅ローンの残額が不動産の価値を上回っている場合や、不動産の価値が上回っていても少額に収まるような場合でないと、個人再生を進める支障となる場合があります。
例えば、住宅ローンの残額が2000万円でも、不動産の資産価値が3000万円であれば、住宅を売ることで1000万円プラスになります。
仮に住宅ローン以外の債務総額が700万円だった場合、この方は住宅を手放せば完済できるうえに、300万円も手元に残るわけです。
そのため、このような場合に「個人再生だと1/5くらいに債務が減るから、140万円まで債務を減らせるうえに価値ある資産が手元に残せる」ということにはならないわけです。
上記のケースでは、個人再生をしても債務は減らないことになりますので、住宅を維持するためには任意整理で分割返済の交渉をするしかない、というのが基本方針となります。
⑶ その他
夫婦でローンを組んだ場合等の持ち分割合が手続上問題となることもあります。
マイホームを残すためには、前提として、個人再生を申し立てる人が、不動産の1/2以上の持ち分を有していなければならないとされています。
そのため、持ち分割合の小さい方が個人再生をしようとすると、マイホームの維持が認められない可能性があります(夫婦同時申立て等々により認められる場合もあります。)。
また、そもそも自宅でない(収益物件として貸している)場合等も、住宅資金特別条項の対象外となりますので、合わせてご注意ください。
3 詳細は弁護士法人心まで
住宅ローンを維持する場合の個人再生は、通常の場合と比較してやや複雑となります。
詳細についてはご来所いただいた際に弁護士からご説明いたしますので、横浜にお住まいで個人再生についてお悩みの方は弁護士法人心までお気軽にお問い合わせください。
個人再生とは
1 個人再生の選択について
個人再生手続きは、実際には「小規模個人再生」と「給与所得者再生」の2つに分かれるのですが、多くは小規模個人再生であることから、以下では小規模個人再生についての概要をまとめています。
個人再生では、自己破産のように、手続後に債務の支払義務が一切なくなるのではなく、法律のルールに従って算出された債務を3年から5年の間分割で返済することとし、その金額の返済が完了すれば、残りの債務についても返済義務が免除されるという手続きです。
債務整理をご検討中の方の中には、「破産はできない」、「破産をしたくない」、という方もいらっしゃいます。
場合によっては、自己破産もできる(客観的に見て個人再生をするよりも自己破産の方がメリットがある)けれど「返せる範囲では返していきたい」と希望され、個人再生を選択される方もいます。
2 大まかなルール
⑴ 減額のルール
①100万円未満は減額されない
②100万円~500万円未満は100万円まで減額
③500万円~1500万円未満は総債務額の1/5まで減額
④1500万円~3000万円未満は300万円まで減額
⑤3000万円~5000万円未満は1/10まで減額
⑥5000万円以上の場合個人再生は不可
以上は民事再生法231条2項の2号から4号までを金額の小さい方からまとめたものとなります。
個人で多重債務に陥っている方で、総債務額が1500万円を超えるという方はあまり多くないので、「②総債務500万円以下の場合は100万円、③500万円を超える場合は1/5になる」、というところに該当される方が多いかと思います。
過去に住宅ローンを組まれた方で、住宅を売却した後に多額の残債務が残ってしまった方や、個人事業主の方で高額の融資を受けている方等の場合には、総債務額が3000万円を超える方も出てきます。
総債務が100万円を下回る方については、特殊な場合を除いて、個人再生をするより、任意整理の方がよい場合が多いかと思います。
⑵ 清算価値保障原則
なじみのない専門用語かと思いますが、ごく簡単に言うと、「手持ち財産総額以上は返済しなければならない」という原則です。
ここでの「手持ち財産」というのは、単に現金、預貯金だけでなく、株式、退職金(退職前は1/8で計算する、といったルールがあります)、積み立て型の生命保険を解約した場合に戻ってくる解約返戻金等、ご自身が考えている以上に手持ち財産がある場合が多いと思います。
上記⑴、⑵のうち、いずれか高い方が返済額になります。これらのルールによってどのように返済額が決まるのかは、以下の具体例を見た方がわかりやすいかもしれません。
⑶ 具体例
ア 具体例1~清算価値保障原則の影響を受けない場合~
総債務額400万円、退職金なし、自動車時価額20万円、預貯金10万円、その他資産なしという例を仮定します。
総債務額400万円の場合、上記⑴②の場合になりますので、返済額は100万円まで減額されます。
手持ち財産は、合計30万円で、100万円を下回りますので、そのまま100万円が返済額となります。
イ 具体例2~清算価値保障原則の影響を受ける場合~
住宅ローン残額3000万円(住宅時価3500万円)、それ以外の債務額700万円、その他資産なしという例を仮定します。
前提として、基本的に住宅ローンを組む際には自宅が担保となっていますので、このケースでは自宅を売ると3000万円の住宅ローンに優先的に返済されることになります。
そうしますと、住宅時価額3500万円から住宅ローン3000万円を控除した残額が500万円ありますので、500万円のプラスになります。
住宅ローン3000万円は、清算価値の計算上は債務として考慮しなくても大丈夫です。
残額500万円については、返済額の計算上考慮されます。
総債務額700万円の場合、上記⑴③の計算では1/5となりますので、140万円まで債務が減る計算になります。
しかし、自宅の売却によって差引500万円のプラスになるので、上記⑵のルールにより、500万円の財産があることになりますので、返済しなければならない額は500万円以下に減ることはありません。
これが清算価値保障原則というルールの影響です。
個人再生の条件とは
1 債務総額
個人再生が可能なのは、総債務額5000万円以下の場合です(民事再生法221条以下)。
総債務額が5000万円を超えている場合には、法律上の要件(民事再生法231条2項2号)を満たさなくなるため、そもそも個人再生を進めることはできなくなります。
5000万円以上の債務がある場合に再生手続を行う場合、通常の民事再生ということになりますが、これは会社等が行うことを想定した手続きといってよいものです。
裁判所へ納める費用だけで100万円単位となりますし、個人が行う手続きとしてはあまり現実的ではないといえます。
2 継続的な収入
上記1のように個人による借入れ、融資の総額が5000万円以上となることはそこまで多くはないかもしれません。
しかし、個人再生をするには、それ以外にも「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込み」(民事再生法221条1項)という条件を満たさなければなりません。
個人再生は、裁判所から認可決定を受けた後も、継続的な返済継続が想定される手続きです。
返済計画を立てても、その後収入が途絶えてしまってはその計画が遂行できません。
毎月一定額の収入がなければいけない、というほどには厳格なものではありませんが、ある程度安定した収入があることを示せないと、裁判所から認可を受けることができないといえます。
3 返済継続の可能性
上記2のとおり、継続的または反復での収入が将来的にも続くことが条文上の条件となりますが、実質的な問題として、返済継続が可能かどうかも重要です。
給与所得者で毎月一定額の収入は得ているものの、支出が多く、生活がカツカツで、返済に回す余裕がないようであれば、やはり返済計画の遂行可能性がないと言わざるを得ません。
将来にわたって収入があることだけでなく、一定額の返済継続が可能でないと、個人再生をすることは難しいといえます。
手続上では、個人再生の申立て後、「履行テスト」等と呼ばれる支払いのテストが行われます。
申立て時点である程度見込まれている返済予定額を、代理人弁護士の指定口座等に毎月積み立てる方法によって、支払い継続が可能かどうかを見極めるものとなります。
ここで、積み立てができなくなってしまうようですと、基本的には返済継続困難と判断されてしまいますので、毎月の積み立てを間違いなく行うことが重要となります。
4 収入の安定(給与所得者再生)
個人再生手続は、「小規模個人再生」と、「給与所得者再生」という手続きに分かれます。
このうち、給与所得者再生は、債権者による決議が不要とされている手続きとなっています。
言い換えると、債権者は返済総額が減ることについて文句を言う機会が十分に与えられていないということになります。
そのため、債権者を害することがないよう(=認可後、返済を遂行できるよう)、収入について「変動の幅が小さいと見込まれる」(民事再生法239条1項)という要件も加重されています。
民事再生法は、過去の収入について、1/5以上の変動が生じたような場合には、それ以外の場合と異なる可処分所得の計算方法を定めていることから(241条1項7号イ)、収入の変動が20%以内であることが一応の目安になってきます。