「東海地方にお住まいの方」に関するお役立ち情報
津で個人再生をお考えの方へ
1 個人再生で借金を圧縮する
債務の額が膨れ上がってしまい、このまま返済していると生活が成り立たなくなってしまうという方もいらっしゃることと思います。
問題を解決し、生活を立て直す方法の一つとして、個人再生という手続きがあります。
個人再生を申し立てて認められることにより、返済金額が大幅に減る可能性があります。
2 個人再生の手続きを弁護士に相談
個人再生が認められるかどうか、どの程度金額が減るかというのは、借入れの状況や収入、財産等によって異なります。
また、生活にどの程度の影響が出るかということも、人によって異なります。
そのため、まずは弁護士にご相談ください。
当法人の弁護士が、個人再生に関して丁寧にご説明いたします。
何かご不安なことがある場合には、そちらもお気軽にご質問ください。
3 津にお住まいの方の当法人へのご相談
津にお住まいの方が当法人にご相談いただく場合には、弁護士法人心 津法律事務所のご利用が便利です。
まずはご予約のお電話をおかけください。
こうした問題を集中的に担当する弁護士との間で、日程を調整いたします。
三重にお住まいで個人再生をお考えの方へ 四日市で個人再生をお考えの方へ
津周辺にお住まいの皆様へ
個人再生について弁護士に依頼をしたいとお考えの方は、当法人の津の事務所をご利用ください。駅から歩いてすぐのところにありご来所に便利です。
弁護士法人心が個人再生の対応を得意とする理由
1 弁護士が直接対応
当然のことと言えば当然のことですが、当法人では、弁護士が直接相談者と話をし、面談などしたうえで、どういった方策を取ることができるのか、また、どういった方策を取るのがその方にとって適しているのかを一緒に考えます。
事務所によってはスタッフが対応するだけであったり、面談することなく受任する事務所もあるようですが、当法人では、上記のとおり、直接弁護士が対応して方策を検討します。
2 個人再生手続きの特性
個人再生手続きは、自己破産手続と異なり、財産を残しつつ、債務の減額等を目指す手続きになります。
そのため、財産価値の把握等が非常に重要になります。
また、個人再生手続きの場合、申立した後にも様々な書面を提出する必要があり、その提出には期限が定められています。
その期限を経過すると、個人再生手続きがとん挫してしまうこともあります。
3 分業化
弁護士の業務は、本来的に、多岐にわたります。
例えば、個人再生・自己破産などの債務整理、離婚事件などの家事事件、交通事故被害の場合の損害賠償事件、刑事事件、企業法務など様々です。
そして、どの分野もそれぞれ特性があり、専門的な知識を要します。
すべての分野をパーフェクトに遂行することは至難の業です。
そこで、当法人では、分野ごとに担当となる弁護士を決めるなど、分業化を進めています。
分業化することにより、効率的、かつ、適切に、案件の処理を行っていくことが可能となるのです。
4 債務整理チームで研修会など
当法人では、債務整理を中心に扱う弁護士で債務整理チームを作り、定期的に研修会を開催したりして知見を深めたり、情報交換を行います。
また、手続きの運用については、裁判所の取り扱いなどが変わることがあります。
つい最近も、津地方裁判所管内での財産評価について少しですが変更する旨の連絡がありました。
このような変化・変更についても、所内において情報交換などを行うことにより、随時データを更新し、適切に案件処理を行えるように努めています。
このように分業化・情報交換などを通して、弁護士法人心では、各分野ごとの対応をより効率的にかつ適切に行えるよう、そして、依頼者様に安心していただけるように努めています。
個人再生をした場合の生活への影響
1 家族への影響
⑴ 家族に知られてしまうのか
借入金については、家族に秘密にされている方も少なからずいらっしゃいますので、個人再生を行うにあたり、家族に借入金のことがバレてしまうのではないかと不安に思われる方もいらっしゃいます。
家族と別居している場合には、以下の⑵で記載するケースでない限り、知られることはありません。
しかし、同居している家族については、裁判所に同居家族の給与明細書や保険証券の写し等を提出する必要がありますので、このような書類取得に際し、知られてしまう可能性があります。
ただ、以下⑶で記載するとおり、特段の事情がない限り、家族の財産について処分する必要等はありませんので、その点についてはご安心いただきたいと思います。
⑵ 家族に知られてしまうケース
- ア 保証人
- 家族など周囲の人が債務の保証人になっている場合、主債務者が個人再生手続きを行うと、債権者が保証債務の履行を求めて、保証人に対し連絡をします。
- 債権者からの連絡により、個人再生をしたことが知られてしまうこととなります。
- イ 家族カード
- 家族カードであっても個人再生手続きの対象となります。
- そのため、家族で使用可能なクレジットカードを使用している場合には、家族カードが使えなくなる可能性が高く、家族に知られてしまうこととなります。
- ウ 官報
- 官報は、国が発行している新聞のようなものです。
- 破産や個人再生などの情報も掲載されます。
- そのため、官報を購読する方が身近にいらっしゃる場合には、官報からバレてしまうという可能性もあります。
⑶ 家族の財産にも影響を与えるのか
個人再生の手続きは、基本的には、債務者自身の財産を基準として検討することになりますので、家族名義の財産について処分したりする必要はありません。
しかしながら、例えば、債務者が子の名義で預貯金をし続けていたなどの事情がある場合、子名義の預貯金口座も債務者の財産として取り扱われることがありますので注意が必要です。
2 仕事への影響
個人再生においては、自己破産の場合のような資格制限はありませんので、職業によって制限されることはありません。
むしろ、個人再生は、収入が得られることが条件となっていますので、仕事を辞める必要はありません。
また、勤務先へ知られてしまうのではないかと不安になられる方もいらっしゃいますが、勤務先から給与の前借をしているなど勤務先から借入れがある場合でなければ、勤務先に裁判所から書類が届くこともなく、勤務先に知られることはありません。
3 財産への影響
⑴ 財産を処分する必要はあるのか
個人再生の場合、弁済額にはいくつかの基準がありますが、その基準のうち財産額が一番高額になるようであれば、財産相当額を支払うこととなります。
財産相当額を支払うことになるので、財産を処分する必要は基本的にはありません。
⑵ 自宅
住宅ローンが残っている場合には、住宅資金特別条項を利用することができれば、住宅ローンを支払い続けることにより自宅を手放す必要はありません。
住宅ローンが残っていない場合には、自宅不動産分の財産額も含めた財産相当額を支払うことができるのであれば、処分する必要はありません。
⑶ 車両
自動車ローンが残っている場合で所有権留保が付されている場合には、個人再生手続きを行おうとすると、債権者に車両を引き上げられることとなりますので、車両を残すことはできません。
これに対し、ローンが残っていない場合には、財産相当額を支払うことが出来るのであれば、処分する必要はありません。
4 今後の借入れなどへの影響
個人再生手続きを取ると、いわゆるブラックリストとなります。
そのため、将来にわたって一定期間、新たな借り入れができなかったり、ローンが組めないといったことが発生します。
この借入れができないということには、他者の保証人になることもできないと言ったことも含まれますので、例えば、子が奨学金や住宅ローンを組もうとする際に、個人再生手続きを行った親が保証人になれない、ということもあります。
個人再生に向いている人とそうでない人
1 個人再生手続きとは
個人再生手続きは、簡単に言えば、裁判所に再生計画案を提出し、債務額を減額してもらい、再生計画案どおりに支払いを行ったら残りの債務を免除してもらうといった制度です。
2 個人再生に向いている人
⑴ 住宅ローンがある人
自己破産をすると、住宅ローンが残っていると、住宅を手放すことになってしまいます。
これに対し、個人再生手続きであれば、住宅を残すことが出来ますので、完済していない住宅ローンがある場合で、かつ、住宅を残したい場合には向いている手続きと言えます。
ただし、住宅ローンについては減額対象とはならず、住宅ローン以外の債務だけが減額対象となりますので、返済に回せる金額との関係で注意が必要です。
⑵ 残したい財産がある場合
自己破産した場合、一定以上の財産は換価(売却して現金に換えること)の対象となり、手放さざるを得なくなってしまいます。
これに対し、個人再生の場合、清算価値(財産価値)は支払うことが要件となりますので、財産を換価されることはなく、手元に残すことが出来ます。
⑶ 免責不許可事由がある場合
例えば、借入れの理由が、ギャンブルや投資の失敗と言ったように、免責不許可事由がある場合、自己破産手続きでは免責されない可能性があります。
これに対し、個人再生手続きにおいては、免責不許可事由がありません。
そのため、個人再生の要件を充たせば、再生手続きを取ることが出来ます。
⑷ 資格制限に該当する職業についている場合
自己破産の場合、資格制限といって、手続き中は一定の職業に就くことが出来なくなります。
これに対し、個人再生の場合には、資格制限がありませんので、自分の職業を気にすることなく手続きを取ることが可能です。
3 個人再生に向いていない人
⑴ 収入がない人、収入が安定しない人
個人再生手続きは、債務を減額してもらい、支払を行っていく手続きです。
そのため、再生計画に従った返済ができることが必要ですので、将来にわたって安定した収入があることが要件とされています。
したがって、将来にわたって安定した収入が得られる見込みがない人は、要件を充たさず、個人再生手続きを取ることが出来ません。
⑵ 秘密で手続きをしたいが保証債務などがある場合
家族など周囲に秘密で個人再生手続きを取ることも、資料収集などが出来れば、可能です。
しかし、例えば、家族が自分の債務の保証人になっているとか、逆に自分が家族の保証人になっている場合、個人再生手続きをとると、債権者から保証人に請求がなされますので、家族とかに手続きを行っていることがバレてしまいます。
その場合、秘密ではなくなってしまいますので、秘密で手続きをしたい方には向かない手続となります。
また、保証債務などとは違いますが、家族や周囲に官報などを見る仕事をしている方がいる場合、個人再生手続きをとると名前が官報に掲載されますので、秘密で手続きをしたい方には向きません。
個人再生の相談と手続きの流れ
1 予約
フリーダイヤルにお電話いただき、相談日程について予約を取ってください。
メールでお問い合わせいただくことも可能です。
2 相談・依頼
弁護士と面談を行い、ご相談の上、債務整理の方針を決定します。
個人再生申立てのご依頼をいただいた場合、弁護士は依頼者の代理人として、全債権者に対し受任通知を発送します。
弁護士にご依頼いただいた時点で、住宅ローンがある場合の住宅ローン債権者等一部債権者を除き、債権者への支払いは停止します。
また、受任通知が債権者の手元に到達後は債権者からの取り立てが止まります。
3 裁判所への申立て準備(ご依頼から約半年程度の間)
個人再生は、一般に借入金額を減額してもらった金額を分割払いで返済していく手続きです。
そこで、毎月一定の額を返済できるかどうかのテスト及び着手金の支払いが分割払いの場合の弁護士の支払いを兼ねて、当弁護士法人に毎月一定額の振り込みをしていただきます。
また、裁判所に提出する申立書・陳述書・証拠書類の準備を依頼者様のご協力のもとに行ってまいります。
4 裁判所への申立て(ご依頼から約半年後)
裁判所への申立て準備が出来たら裁判所に申立書類を提出します。
裁判所に提出書類の確認を受け、必要に応じ裁判官から審尋を受け、裁判所が個人再生手続きを開始しても問題ないと判断するに至れば、裁判所から開始決定が出されます。
5 開始決定後
裁判所、債権者、代理人の間で、債権届出書の提出、依頼者の財産報告等を行い、債権額が確定します。
6 再生計画案の提出
代理人弁護士が今後の返済計画である再生計画案(原則3年間で返済を行う)を作成し、裁判所に提出します。
7 債権者の議決、債権者への意見聴取から裁判所の認可決定
小規模個人再生申立て(一般的な申立て方法)の場合、債権者の議決が行われ、給与所得者等再生申立ての場合、債権者への意見聴取が行われ、問題が発生しなければ、裁判所より再生計画を認可するとの決定が出されます。
8 認可決定の確定、返済開始
認可決定から約1か月後に認可決定が確定し、認可決定から3か月後に返済が開始します。順調にいけば、ここまでご依頼いただいてから約1年です。
9 返済完了
再生計画案に基づく返済を完了させれば、減額前の債務額から返済額を控除した金額について、支払免除となります。
個人再生を行うことができる条件
1 個人再生には条件がある
個人再生は、端的に言えば、裁判所に申立を行い、債務の減免を図る手続きです。 そのため、個人再生ができるためには、いくつかの条件があります。
以下、それについてご説明いたします。
2 個人再生ができる条件
⑴ 将来にわたって安定した収入があること
個人再生は、基本的には、債務を減額してもらい、返済を行っていく手続きですので、再生計画に従った返済ができることが必要です。
そのため、将来にわたって安定した収入があることが必要となります。
ア フリーターの場合
相当期間アルバイトを続けていれば、今後も収入が得られる見込みがあると考えられ、条件を充足すると認められることになります。
ただし、短期間で転職していたり、アルバイトの期間が限定されていたりする場合には、将来にわたって安定した収入があると認められるかに疑義が生じてしまいます。
イ 個人事業主の場合
個人事業主の場合、毎月安定した収入があるわけではありません。
しかし、再生計画に従った返済ができる程度の収入があれば、条件を充足することができます。
ウ 年金受給者の場合
老齢年金の場合、今後も安定した収入が得られる見込みがあるといえます。
これに対し、受給しているのが障害年金である場合は、障害内容や程度によっては、見直しがなされたりしますので、安定した収入には該当しないことになります。
そのため、障害の内容や程度において個別判断が必要といえます。
⑵ 債務総額が5000万円以下であること
個人再生を行う場合には、債務総額が5000万円以下であることが必要です。
ただし、住宅資金特別条項を利用する場合、住宅ローンの残債務額は、この5000万円には含まれません。
⑶ (小規模個人再生の場合)債権者からの異議がないこと
小規模個人再生の場合、債権者の過半数・過半数額を超える異議が出されると、再生計画案は認可されず、個人再生手続きは廃止されてしまいます。
そのため、債権者からの異議が予想されるケースでは、給与所得者等再生の申立を検討する必要があります。
⑷ (給与所得等再生の場合)過去の手続きとの関係
過去の給与所得者等再生の再生計画認可決定確定、個人再生のハードシップ免責がされた場合の当該再生計画認可決定確定、破産手続きの免責許可決定確定、いずれの日から7年以内に申立されていないことが条件となります。
個人再生を依頼する専門家の選び方
1 依頼先でお悩みの方へ
個人再生を行おうとした場合、弁護士や司法書士といった専門家に相談・依頼することを検討されるかと思います。
ただ、弁護士・司法書士の事務所はたくさんあり、どこに依頼するのがいいのか悩む方も多いのではないでしょうか。
そこで、以下、選ぶ際のポイントをいくつか挙げていきます。
2 専門家を選ぶポイント
⑴ 個人再生の場合は司法書士より弁護士
借金相談については、弁護士だけでなく司法書士も相談・依頼を受けることができます。
ただし、金額等によって、そもそも司法書士では案件を扱えないので注意が必要です。
個人再生手続きは、申立人の住所地を管轄する地方裁判所に申立を行う必要があります。
地方裁判所において代理権を有するのは弁護士だけです。
司法書士には代理権はありません。
そのため、司法書士に依頼した場合、裁判所からの連絡は自分で対応しなければならないこともあります。
これに対し、弁護士に依頼した場合には、弁護士が裁判所と直接やり取りを行いますので、裁判所とのやり取りに不安を感じる場合には、弁護士に依頼することをお勧めします。
⑵ 経験豊富であること
個人再生は、申立を行ったあとも、財産状況の報告や、再生計画案の提出など、様々な書類等の提出が求められ、しかも、その提出には期限が定められています。
提出期限内に書類を提出するためには、経験豊富な方がスムーズに行うことができます。
⑶ 流れを説明できる
個人再生手続きは、申立後認可決定まで数か月の期間を要します。
その間に、上記⑵のように書類の提出が必要になったりします。
このように時間を要し、書類の提出を求められる手続きですので、きちんと流れを理解し、説明できる弁護士を選ぶ必要があります。
弁護士である以上、説明ができるのは当然のことなのですが、手続期の流れをきちんと理解していないために説明ができなかったり、説明する必要がないと勝手に判断する人もいますので、依頼者側から見た安心感といった点からも、きちんと説明できる弁護士を選んだ方がよいといえます。
⑷ デメリットやリスクの説明
個人再生手続きのメリットは、借金額の減額・免除がなされるということにあります。
また、住宅ローンがある場合には、特別条項の利用により住宅を残すことができます。
一方、車のローンがある場合には車が引き揚げられてしまうなどのデメリットもあります。
このように手続きにはメリット・デメリットの両方があります。
どちらも理解した上で手続きを行うべきですので、このようなメリット・デメリットを説明してくれる弁護士を選んだ方がよいといえます。
3 セカンドオピニオンの利用
1か所だけでの相談では依頼するか否か決めきれない場合には、他の事務所にも相談してみることもよいかと思います。
その際、上記のようなポイントを参考に、依頼する事務所を決めることをおすすめいたします。
個人再生のメリットとデメリット
1 債務整理のデメリット
債務整理の手続きには、主に、任意整理、個人再生、自己破産といった方策があります。
これらすべての手続きにおける共通のデメリットは、手続きを行うことにより信用情報に事故情報として掲載される(=いわゆるブラックリスト)ことが挙げられます。
2 個人再生のメリット
⑴ 借金を減らすことができる
個人再生の大きなメリットの一つに、借金を減らすことができることが挙げられます。
減らせる額は、借金額や財産等によって異なりますので、借金額の何割が減らせますと一概には言えませんが、借金を減らすことができる手続きになります。
⑵ 住宅(ローンあり)を残すことができる
自己破産をすると、住宅を手放さざるを得なくなりますが、個人再生の場合には、住宅ローンは従来通り支払っていけば、住宅を残すことができます。
ただし、申立する人が居住しているなどいくつかの条件があるため、弁護士へ確認が必要となります。
⑶ 財産を残すことができる
自己破産の場合、一定以上の財産については、換価処分されるなど、手元に残すことができません。
これに対して、個人再生の場合、財産額以上の返済を行うことにより、財産を手元に残すことが可能となります。
⑷ 資格制限がない
個人再生の場合、基本的に手続き中の職業制限・資格制限がありません。
一方、自己破産の場合は警備員や保険の外交員等は資格制限を受けます。
⑸ 分割払いが可能に
金融業者などによっては、任意整理の場合には、分割払いを認めず、一括支払いしか認めないところもあります。
ところが、個人再生の場合は、基本的には3年間で返済を行う返済計画案を作成し、認可が確定すれば、当該返済計画案に基づいて支払っていくことになりますので、任意整理では一括払いしか認めなかった金融業者にも分割払いが可能となります。
⑹ 借金の原因が問われない
自己破産の場合、借金の原因によっては、免責不許可事由に該当し、免責が認められないことがあります。
これに対して、個人再生の場合、借金の原因を問われないので、自己破産のように申立をしたものの、借金の原因によって再生(返済)計画案が認可されないといったことはありません。
3 個人再生のデメリット
⑴ すべての債権者が対象となる
任意整理の場合、保証人などの関係で対象から外したい債権者は任意整理の対象としないといった選択をすることができます。
しかし、個人再生の場合は、すべての債権者を対象としなければなりませんので、保証人がいるから、といった理由から一部の債権者を除外することができません。
⑵ 手続きが煩雑
個人再生手続きは、裁判所に申立を行う手続きになります。
申立時はもちろんのこと、申立~再生計画案認可確定まで、さまざまな書類の提出が求められますので、手続きとしては煩雑といえます。
手続き中は毎月家計簿を作成し、裁判所へ提出する必要があります。
また裁判所への提出資料として、同居人の収入資料等も必要となり、同居人へ秘密にすることも難しくなります。
⑶ 官報に掲載される
個人再生手続きを行うと、官報に掲載されることとなります。
自己破産をした場合も官報に掲載されます。
⑷ 返済できることが必要
自己破産と異なり、個人再生は支払っていく手続きですので、返済できることが必要となります。
そのため、無職の場合には、個人再生手続きを採ることはできません。
また、定年退職に近い年齢の場合も裁判所から、今後の支払い見込み等を問われる可能性があります。
⑸ 上限がある
個人再生は5000万円が限度額となっているので、負債総額が5000万円をこえる場合には、個人再生を採ることはできません。
負債総額は、手続きが始まるまでの利息や遅延損害金も含まれます。
ただし、居住している物件の住宅は住宅ローン特別条項を使用するのであれば、住宅ローンの債務は含まれません。
個人再生の手続きでかかる期間
1 個人再生の手続き
個人再生手続きは、裁判所に申立を行い、さまざまな手続き(書類提出)を経て最終的に、再生計画案に対する認可決定が確定したら、債権者に再生計画案に従った支払いを行い、再生計画案をすべて履行した場合に、残りの債務が免除される手続きです。
そこで、個人再生の手続きに要する期間について、流れに沿って説明いたします。
2 個人再生手続きの流れと期間
⑴ 申立て準備
裁判所に申立書などの書類を提出するための準備を行います。
すなわち、書類の収集を行います。
具体的には、給与明細書や源泉徴収票(または所得課税証明書)、車検証の写し、銀行口座の取引明細などの提出が必要となります。
同居家族がいる場合は、申立をする人以外の家族の給与明細や源泉徴収票等を裁判所に提出する必要があることも多いです
また、準備の一環として、積み立てを行います。
これは、再生手続きは上記のとおり、再生計画案に従って支払いを行うことが必要ですので、支払っていけるのかといった履行テストを行うこととなります。
この準備期間については、人によりさまざまですが(人によっては早く準備できる方もいますし、準備に時間がかかる方もいらっしゃいます。)、少なくとも、津地方裁判所管内では、家計の状況表を直近3か月分は提出しなければなりませんので、普段から家計簿をつけていない場合には、最低3か月の家計簿を作成してからの申立になります。
なお、原則として着手金がたまってから申立を行います。
⑵ 申立から開始決定まで(約1か月)
準備等が整いましたら、裁判所に申立書等の書類を提出します(申立)。
そして、裁判所が書類等をチェックし、不足資料や質問事項があれば裁判所から問い合わせがあります。
再生手続きの要件を充足してと判断すれば、開始決定が出されます。
この間も毎月の家計の状況表の提出、履行テストは引き続き行います。
入金が途切れてしまうと、裁判所は支払い能力が低いと思い、個人再生が認められなくおそれがあります。
⑶ 債権届・財産目録提出(開始決定から約1~2か月)
開始決定時の財産額を裁判所に報告するため、改めて財産目録を提出します。
また、債権者からは、開始決定時の利息(遅延損害金)を付した債権届が改めて出されたりします。
⑷ 再生計画案の提出(開始決定から約2~3か月)
債権額・財産額などが決まりましたら、再生計画案を作成し、裁判所に提出いたします。
なお、再生計画案は弁護士が作成いたします。
⑸ 再生計画案の認可・不認可(開始決定から3~4か月)
再生計画案に対する債権者の議決(小規模個人再生)または意見聴取(給与所得者等再生)が行われます。
その議決等を経て、再生計画案の認可決定等がなされます。
この間は、裁判所と債権者がやりとりをするため、特段対応することなどはありません。
⑹ 認可決定の確定・支払開始(開始決定から5~6か月)
再生計画案が認可されると、その後、その認可決定が確定することとなります。
認可決定から約1か月後に、認可決定が確定されます。
認可決定が確定すると、再生計画案に従った返済が開始されます。
支払い期間が3年の場合、認可決定が確定されてから約3か月後の末より支払いが開始することが多いです。
3 要する期間
上記の流れですので、申立から返済開始まで、おおよそ6か月程度が目安となります。
申立までの準備期間を足すと、1年近く要することもあります。
個人再生を相談する際に必要となる情報
1 個人再生手続とは
個人再生手続とは、借金などの返済ができなくなった人が、全債権者に対する返済額を5分の1程度まで少なくし、その少なくなった金額を原則3年間(場合によっては5年間)で分割して返済する再生計画を立て、債権者の意見を聞いた上で裁判所が認めれば、その計画どおりの返済をすることによって、残りの債務(税金・養育費など一部の債務を除く)などが免除される手続きです。
この再生計画を履行することが難しいと裁判所に判断されるような状況であれば、個人再生の手続きを取ることができなくなります。
また、借金の総額が5000万円(住宅ローンを除く)を超えるようであれば、そもそも個人再生手続きの対象外となります。
そこで、個人再生の相談の際には、再生計画を履行することができるか判断するための収入・支出・所有財産に関する情報や、個人再生の対象になるかどうかを判断するためすべての借金に関する情報が必要となります。
2 再生計画の基準となる最低弁済額
基本的には、以下の3つの基準があります(小規模個人再生の場合)。
① 100万円
② 借入額の5分の1
ただし、借入額が500万円を超え3000万円以下の場合300万円
借入額が3000万円を超え5000万円以下の場合、総額の10分の1
③ 清算価値(財産額)
3 相談に必要な情報
⑴ 最低弁済額との関係で必要な情報
上記の最低弁済額を参考に、以下のような情報が必要となります。- ア 債務額
-
債務については、再生手続き開始決定時までの利息・遅延損害金を付加されることがあります。
既に滞納が始まっている場合には、遅延損害金も考慮する必要が出てきますので、元本額のみならず、いつ頃から滞納しているかの情報もあった方が良いです。
また、自身の債務だけでなく、保証人となっている債務についても、現在主債務者が約定どおり支払いを行っている場合であったとしても、個人再生を行う際には債権者となるため、保証債務についても情報が必要です。
- イ 財産額
-
この財産額は、あくまでも、再生手続きを行う本人名義の財産になります。
例えば、不動産、預貯金、退職金見込み額(原則8分の1評価)、生命保険等の解約返戻金、株式、ビットコインなどの暗号資産、車両など。
個人事業主の方の場合、入金予定の売掛金や機械工具、什器備品といったものも財産に含まれます。
⑵ 最低弁済額とは関係なく一般的に必要な情報
- ア 居所
-
個人再生手続きは、裁判所に申立を行う必要があります。
この申立を行うのは、住民票の所在地ではなく、実際の居所を管轄する裁判所になります。
そのため、どこに住んでいるのかが必要な情報です。
裁判所によっては、個人再生委員がつく場合とつかない場合があります。仮に、個人再生委員がつくと、予納金として裁判所に納める費用がさらに必要となります。
そのため、要する費用の目安を考慮する際に、居所の情報が必要となります。
- イ 同居の家族の有無
-
個人再生手続き申立てに当たって、家計の状況を提出したり、同居の家族の収入状況等を提出する必要があるなど、同居の家族の有無により、提出書類が異なります。
- ウ 収入状況
-
個人再生手続きは、自己破産と異なり、返済が必要となる手続きになります。
そのため、将来にわたって安定した収入が得られることが必要です。
そこで、収入状況は非常に大切な情報となります。
- エ 住宅ローンについて
-
個人再生手続きでは、住宅ローンの返済を今までどおり続け、現在居住している自宅を残すことができる制度があります。
利用には条件があるため、住宅ローンの契約内容や、自宅不動産に対する抵当権の設定状況といった情報から利用可能か判断することになります。
- オ 滞納税金の有無
-
滞納税金は、個人再生手続きにおける減額の対象にはなりませんが、支払わなければならない債務です。
長期間滞納していると延滞税だけでもかなりの金額になっていることもあります。
もし滞納税金がある場合、管轄の役所と話し合いをし、分割で納付する合意が出来ていないと、個人再生手続きが認められないため、滞納税金の有無や金額を確認しておく必要があります。
一部の債権者を見落としたまま個人再生をした場合の取り扱い
1 債権者一覧表の作成・提出義務
個人再生手続きでは、申立をする際に、債権者名や債権額をまとめた債権者一覧表を作成して裁判所に提出することが義務になっています(民事再生法221条3項等)。
したがって、本来は、個人再生手続きを進めている途中で、新たに債権者が発見されるということはあってはいけないことです。
もっとも、長期にわたって滞納をしていた場合など、債務者自身でも借入先が把握しきれなくなっている場合などでは、個人再生手続きの途中で見落としていて債権者が発見されることもあります。
弁護士法人心では、相談時にご依頼者様から債権者について、できるだけもれなく教えていただいています。
ご自宅に届いた請求書、お持ちのクレジットカード、通帳の引き落としから、債権者を再度確認しています。
ご相談の際に、上記資料をお持ちいただくことで、債権者漏れを防ぐことができます。
弁護士にご依頼後も債権者からの連絡、郵送物の送付が続くようであれば、債権者漏れの可能性があります。
そういった際は、必ず弁護士までご連絡するようお願いいたします。
2 債権者を新たに発見した場合の対応について
個人再生手続きを進める過程で、見落としていた債権者を発見した場合の対応は、手続きがどの程度進んでいるかによって変わってきます。
例えば、個人再生手続きの申立てを行ったけれども、まだ裁判所の開始決定は出ていない状況であれば、債権者一覧表を訂正して再提出が認められる場合が多いです。
他方で、個人再生手続き開始決定が出された後は、債権者一覧表を訂正して再提出することは認められていません。
ただし、個人再生開始決定後には再生債権の届出の期間が設けられますので(民事再生法222条1項)、その手続きのなかで、債権者側から債権届を出せば(民事再生法224条)、申立時に見落とされていた債権者も含めて、個人再生の手続きをすすめることができるようになります。
もっとも、債権者側から債権届を出すことは、債権の届出期間を経過し、さらに債権届出の追完可能な時期(民事再生法95条1項)を経過したら、もう届出を出すことができなくなります。また、再生計画案を決議に付する旨の決定がされた場合も、新たに債権届出をすることはできなくなります(民事再生法95条4項)。
3 個人再生手続きのなかで届出がされなかった債権はどうなるか
個人再生手続きは再生計画が認可されれば、あとは計画どおり返済をするだけの状態となります。
届出がなされなかった債権は、個人再生手続きの場合には、返済義務自体は残り続けます。
もっとも、個人再生の手続きに参加した債権者の債権は再生計画に従って減額されるのに、参加しなかった債権者の債権は満額返済義務が残るというのでは不公平ですので、届出していなかった債権についても同じ減免率で減額されることになります(民事再生法232条2項)。
また、再生手続きに参加しなかった債権者の債権は、再生計画に基づく返済が終わった後にしか、返済してもらえないという扱いを受けることになります(民事再生法232条3項)。
ただし、再生手続き中に債権の届出をできなかったことについて、その債権者に帰責事由がない場合には、再生計画に基づく返済期間中でも返済を受けることができます。
4 まとめ
このように、個人再生の手続きでは、一部の債権者を漏らして手続きを進めると、話が複雑になりますので、最初からもれなく債権者を債権者一覧表に記載することが重要です。
弁護士法人心では、個人再生の申立ての前に、ご依頼者様と直接お会いし、打ち合わせを行っております。
打ち合わせの際に、ご依頼者様に、申立前の債権者一覧を確認していただき、漏れがないかチェックをしています。
津地域で個人再生をご検討の方は、ぜひ一度弁護士法人心までご相談ください。
個人再生委員ってなんですか?
1 個人再生委員とは
個人再生委員とは、個人再生の手続きを裁判所が進める際に裁判所の補助をするために選任される専門家のことをいいます。
2 個人再生委員は具体的にどのような仕事をするのか
個人再生委員の仕事内容については、民事再生法223条2項に「裁判所は、前項の規定による決定をする場合には、個人再生委員の職務として、次に掲げる事項の一又は二以上を指定するものとする。一 再生債務者の財産及び収入の状況を調査すること。二 第二百二十七条第一項本文に規定する再生債権の評価に関し裁判所を補助すること。三 再生債務者が適正な再生計画案を作成するために必要な勧告をすること。」と定められています。
3 個人再生委員はどのような場合に選任されるのか
個人再生委員は、必ず選任されるものではありません。
民事再生法223条1項本文では「裁判所は、第二百二十一条第二項の申述があった場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、一人又は数人の個人再生委員を選任することができる。」と定めており、原則として、個人再生委員の選任は、関係者からの要望等を受けて裁判所が必要だと判断した場合に選任するという形で、裁判所に選任するかどうかの判断を委ねています。
そのため、個人再生委員が選任されるかどうかは、裁判所ごとに運用状況が一律ではなく、地域さがあり、例えば、ほとんどすべての案件で個人再生委員を選任することを原則にしている地域もあれば、夫婦のペアローンがあるなど事案が複雑な場合に限って個人再生委員を選任している地域もあります。
現在の津地方裁判所の場合、裁判所が必要であると認めた場合にのみ個人再生委員が選任される運用となっており、経験上、当法人の申立てにおいてはほとんど個人再生委員が選任されたことはありません。
ただ、弁護士に依頼せずに申立てを行った場合には、再生計画案の作成勧告等のために個人再生委員が選任されるケースがあるようです。
4 個人再生委員が選任されると申立人にはどのような影響がありますか?
個人再生委員が選任されたからといって、個人再生の手続きの内容が大きく変わるわけではありませんが、個人再生委員の判断を裁判所は尊重しますので、個人再生委員の勧告等については真摯に対応する必要があります。
そのため、個人再生委員との面談が必要となります。履行可能性が疑わしいケースでは、家計の状況を提出することを求められ、収支のバランスについて改善するように指示を受けたりすることとなります。
また、個人再生委員の報酬については申立人の負担となりますので、個人再生に要する費用が増えるという影響を受けます。
さらに、個人再生委員が選任された場合、個人再生委員の方で開始決定を出すことが相当であるとの意見が出されるまでの期間が必要となりますので、開始決定が出されるタイミングが遅くなるなど、手続きの期間が個人再生委員が選任されないケースより長くなる傾向にあります。
5 まとめ
個人再生の案件で個人再生委員が選任されるかどうかは、費用の総額にも影響のある重要な要素です。
事前に見通しをたてるためにも、津で個人再生をご検討の方は、お気軽に弁護士法人心までお問い合わせください。
弁護士に個人再生を依頼するメリット・デメリット
1 メリット
⑴ 申立時
個人再生の手続きを進めるには、まず裁判所に個人再生の申立書を提出しなければなりません。
もっとも、申立書だけ書けば個人再生が認められるというものではなく、個人再生手続きを開始するのに適しているか否かを判断するために、申立の際には、さらに財産目録や陳述書、家計の状況等を詳しく書いて、裁判官に収支の状況や財産状況を説明しなければなりません。
これらの申立ての書面を書き上げることは、個人の債務者にとっては容易なことではありませんし、また、説明の仕方によっては、本来は偏頗弁済とまでは評価できないようなお金の動きを偏頗弁済と誤解されてしまって、個人再生の手続きに支障がでるなどお不利益もありえますので、弁護士が代理人として書面の作成を行うことにメリットがあります。
収支の状況や財産状況の説明には、裏付けとなる証拠資料も的確につけなければなりません。
例えば、預金通帳を過去1年分コピーをしてだすなどの単純な作業が必要となりますが、預金通帳のコピーひとつとっても、裁判所によってはコピーの取り方について、通帳のどのページをとる必要があるかや、紙のサイズはどのサイズでコピーを用意しなければならないか、左側に何センチ程度の空白をあけなければならないかなど、細かな指定があります。
このような証拠資料の整理も、弁護士の協力を得たほうが円滑に進められます。
⑵ 申立後
また、弁護士をつけずに申立てをする場合には、裁判所が業務を行う平日の昼間に、裁判所とのやりとりを自分で行わなければならないですので、昼の仕事をしている場合には、連絡窓口として弁護士を立てるメリットもあります。
弁護士が代理人として申立てを行った場合、津地方裁判所管内においては、特段の事情がなければ、個人再生委員が選任されることはほとんどありません。
しかし、弁護士が代理人として申立てを行わず、債務者個人が自分で申立てを行った場合、個人再生委員が選任されることがあります。
これは、履行可能性の有無を判断することが必要になったり、再生計画案の作成を手助けする者が必要となるためです。
個人再生委員が選任された場合、個人再生委員の費用として、裁判所に予納金を納める必要があり、費用の面からみた場合、結局弁護士に依頼する場合と大差がないことがあります。
⑶ その他
その他に、弁護士が代理人に立てば貸金業者からの督促は停止しますので、落ち着いて手続きを進められるというメリットもあります。
2 デメリット
他方で、弁護士を立てるデメリットがあるかというと、一番大きなデメリットは弁護士費用が掛かることだと思われます。
もっとも、弁護士費用が高額すぎるなどの特別な事情がある場合を除いて、上記メリットは個人再生をしようと考えている債務者の方にとっては、多少の費用を払ってでも得る価値のあるものであることが多いように思います。
弁護士費用を支払っても、個人再生の手続きをとることにより、支払総額の観点からすれば、得るものがあるためです。
津で個人再生をお考えの方で、弁護士に相談をお考えの方は、ぜひ一度、弁護士法人心 津法律事務所までご連絡ください。
個人再生をしたら月々の返済額はどうなるか
1 最低弁済額について
個人再生とは、簡単にいうと、裁判所を利用して、法律の定めにしたがって借金の減額をしてもらい、減額後の借金を原則3年(例外的な事情が認められれば5年になることもある。)で分割して返済していく手続きです。
個人再生をした場合の月々の返済額を考えるうえで、抑えておく必要のあるポイントがいくつかあります。
まずは、「小規模個人再生手続」における「最低弁済額」というものです。
これは、後述する「清算価値保障原則」や「給与所得者等再生手続」になる場合を除いて、借金がいくらまで減るのかという計算の話です。
例えば、借入金の総額が500万円以下であれば、最低弁済額は100万円となります。
また、500万円から1500万円までの間であれば、総額の5分の1が最低弁済額となります。1500万円から3000万円までであれば300万円が最低弁済額です。
3000万円から5000万円までの間は総額の10分の1が最低弁済額となります。
5000万円を超える借入金がある場合には、そもそも個人再生をすることはできないことになります。
最低弁済額まで借金を減額できれば、あとは最低弁額を3年(36分割)で支払っていくことになります。
2 清算価値保障原則について
次に、「清算価値保障原則」とは簡単にいえば破産をしたときに比べて、個人再生をした場合の方が債権者が損をすることがあってはならないという原則です。
破産の場合に債権者が配当を受けることのできる債務者の財産の総額を清算価値として集計し、上記の最低弁済額を超える場合には、最低弁済額ではなく清算価値の金額を分割して返済していかないといけません。
この債務者の財産の総額には、預貯金や不動産のみならず、退職金見込み額や保険の解約返戻金額、積立金などが含まれます。
自己破産と異なり、個人再生の場合、財産を処分する必要はありませんが、処分されない代わりに、財産相当額が最低弁済額を超える場合には、財産相当額を弁済する必要があるのです。
また、債権者の多くが個人再生の計画に反対した場合には、給与所得者等再生手続という手続きでないと個人再生ができない場合もあります。
この場合には、可処分所得の2年分という基準で返済していかなければならない金額が決定されます。
可処分所得は、直近2年分の収入から、所得税・住民税および社会保険料を控除し、さらに政令で定められた最低生活費の金額を差し引いた後の所得の余剰分を言います。ですので、所得が高い人ほど可処分所得が高くなり、返済しなければならない金額が高くなってしまいます。
そのため、給与所得者等再生手続になりそうな場合には、事前に可処分所得を計算し、返済可能か確認してから再生手続きを始めることが必要です。
3 弁護士にお気軽にご相談ください
個々の事案において、具体的にどのような返済額が見込まれるかは、ケースバイケースであるため、個人再生をお考えの方はお気軽に弁護士法人心 津法律事務所までご相談ください。
個人再生のために裁判所に支払う費用
1 個人再生で裁判所に支払う費用
個人再生手続に必要な費用として、着手金等の弁護士に支払う費用とは別に、裁判所に支払わなければいけない費用というものがあります。
裁判所に支払う費用は、どの地方裁判所で個人再生手続をするかによって、運用に若干の違いがあります。
津にお住まいの方であれば、津地方裁判所で個人再生手続を進めることになるので、以下では津地方裁判所での運用について説明します。
2 費用の項目
費用の項目としては、申立手数料、予納郵便切手、予納金があります。
これらの項目は、どの裁判所で個人再生手続をしても共通のものです。
3 申立手数料
申立手数料(収入印紙で納める手数料)として約1万円がかかります。
4 予納郵便切手
また、予納郵便切手代がかかります。
予納郵便切手とは、裁判所から債権者に書類を郵送するのに必要な切手のことをいいます。
債権者の数に応じて必要な切手の枚数が変わり、
たとえば、債権者の数が10であれば、予納郵便切手代約3000円必要であり、債権者の数が20であれば、約4800円必要となります。
5 予納金
個人再生手続を行うと、基本的に手続終了までに官報に3回掲載されるため、3回分の官報公告費用として予納金が必要です。
津地方裁判所では、原則として、予納金が約1万4000円かかります。
もっとも、個人再生委員が選任された場合は、これに加えて20万円程度を裁判所に支払う必要があります。
個人再生委員とは、裁判所が選任する弁護士(自分が依頼する申立代理人とは異なります)で、申立書に記載された財産状況や収入状況の調査や、履行可能性の有無の判断などを行ったりする立場の人のことを言います。
裁判所によっては原則として個人再生委員を選任するところもありますが、津地方裁判所の現在の運用では、基本的に個人再生委員は選任されていません。しかし、個人再生委員が絶対に選任されないというわけではありません。
例えば、個人再生委員が選任される場合の一つとしては、債務者に代理人弁護士が付いていないときが挙げられます。
そのため、費用について検討する際は、着手金等は司法書士に依頼した方が低額と思ったとしても、予納金のことも含めて検討した方が良いかと思います。
6 まとめ
個人再生で裁判所に支払うべき費用としては、申立手数料、予納郵便切手代、予納金があります。
たとえば、債務者が津にお住まいで、債権者の数が10であり、個人再生委員が選任されないケースですと、申立手数料が1万円、予納郵便切手代が約3000円予納金が約1万4000円の合計約2万5,000円を裁判所に支払う必要があることになります。
個人再生をしたら自動車はどうなるか
1 自動車ローンが残っていない場合
個人再生という手続きは、破産と異なり、財産を換価して債権者に分配する手続きではなく、自らの収入から、個人再生の計画で定めた金額を3年から5年かけて分割して返済していく手続きです。
したがって、自動車ローンなどが残っていない場合には、自動車を所有していたとしても、その自動車を競売にかけられてもっていかれてしまうということはありません。
ただし、再生計画において定める金額の基準のひとつに、再生債務者の有する清算価値(財産額)というのがあります。
そのため、所有する自動車の清算価値が高額で、そもそもその金額を再生計画で支払えない場合には、再生手続きをあきらめるか、自動車を手放すか、選択を迫られることがありますので注意が必要です。
逆に、自動車の清算価値も考慮した再生計画で定められた金額を支払うことができるのであれば、自動車を手元に残したまま個人再生手続きをとることが可能です。
2 自動車ローンが残っている場合
もっとも、個人再生という手続きは、裁判所を利用して、債権者に債権カットを求めていく手続きであり、債権者にとっては不利益を受ける制度です。
そのため、法律上、一部の債権者にだけは返済を続けて、一部の債権者の借金だけ再生手続きを利用して減額してもらうというような債権者間の不平等が生じる方法は原則として認められていません。
したがって、「自動車ローンだけは約束どおり支払うから、車を手放したくない。」と思っても認められません。
自動車ローンが残っている場合には、自動車の所有権は自動車ローンの会社に留保されていることが一般的ですので、自動車ローンの支払を継続できなくなれば、原則として自動車は結果的に手放さなければならなくなります。
これに対し、上記のような所有権留保が付されていない場合には、債権者が自動車を引き上げるなどしないため、自動車を手放さなくてよいケースもあります。
ですので、個人再生手続きをしようとするにあたり、自動車ローンが残っている場合には、まずローン契約書等を確認し、所有権留保の有無を確認する必要があります。
3 ローンが残っている状態で自動車を手元に残すには
このような場合で、何とか自動車を手元に残したいと考える場合には、親族等の第三者から資金援助を受けて、自動車のローンを消してしまうなどの対応をとる必要があります。
ただし、たとえば残ローン100万円の車を手元に残したいからという理由で、親族から100万円の援助を受けて、その後、その親族に月々数万円ずつ手渡すというようなことをしてしまうと、実質的に、自動車ローンを債務者本人が支払い続けているのと同じになりますので、いわゆる「偏波弁済」とみなされる可能性が高くなります。
また、一定の場合には自動車ローンの会社と協議をし、裁判所の許可も得て、別除権協定を締結する方法により、自動車を残せることもあります。
個々の事案における対応はケースバイケースであるため、さらに詳細に打合せをご希望の方は弁護士法人心 津法律事務所までご相談ください。
小規模個人再生手続きと給与所得者等再生手続きについて
1 小規模個人再生手続きについて
個人再生とは、裁判所を利用して借金を減額したうえで、分割して、原則3年間で返済していく手続きです。
この個人再生の手続きには、二種類があります。
一つは、小規模個人再生手続きというものであり、もう一つは給与所得者等再生手続きというものです。
一般に、個人再生について紹介しているインターネットのホームページの記事などをみていると、説明の内容は、前者の小規模個人再生手続きに関するものが中心となっています。
これは、通常は、給与所得者等再生手続きよりも、小規模個人再生手続きを利用した方が、再生計画における月々の返済額が少なくすむことが多いことがその理由として考えられます。
小規模個人再生手続きを利用する場合には、最低弁済額と呼ばれる法律上定められた最低限の金額(最低で100万円で、500万円から1500万円の範囲内の借金であれば通常借金総額の1/5が目安となります。)と、清算価値と呼ばれる所有している財産価値の総額とのどちらか多い方を分割で返済していくことになります。
特に、不動産などの大きな資産を持っていない方にとっては、借金が5分の1程度に減額されることになりますので、返済額を大幅にカットできる点でメリットが大きい手続きです。
また、手放したくない財産がある方にとっては、財産価値を支払うことにより手放さなくて済むわけですので、メリットがあると言えます。
ただし、その財産価値がある場合には、返済ができるのかが問題となることがありますので注意が必要です。
2 債権者の反対が大きいと小規模個人再生手続きは行えない
もっとも、このことは反対側の債権者の側から見れば、小規模個人再生手続きは、5分の4という大幅な債権カットを余儀なくされる痛みの大きな手続きであるということができます。
そのため、民事再生法では、再生計画に反対する債権者が、議決権者の人数のなかで半数未満にとどまっており、なおかつ、反対する債権者の議決権の額が議決権の額全体の半分未満に収まっている場合でないと、小規模個人再生手続きを認めないとしています。
そのため、債権者の多くが反対する場合には、小規模個人再生手続きを行うことはできなくなります。
また、議決権の額の半分を変える債権を有している債権者1社でも反対する場合には、小規模個人再生手続きを行うことはできなくなります。
3 給与所得者等再生手続きのメリット・デメリット
給与所得者等再生手続きは、このような債権者の同意を経ずに再生計画の認可を得られる点でメリットがあります。
ただし、この場合には可処分所得の2年分という基準で計算された額を分割で返済しなければならないので、負担が大きくなります。
直近2年分の所得や扶養家族の有無等により、可処分所得を計算することとなりますので、必然的に、所得が高い人や独身の場合には、可処分所得が高額化する傾向にあります。
そのため、給与所得者等再生手続きを取ろうと思っても、可処分所得が高額すぎて、手続きを取ることが難しい方もいらっしゃるかもしれません。
ですので、給与所得者等再生をお考えの方は、まずは可処分所得がいくらになるにか計算することが大切です。
個人再生を進めていった場合に、どのような手続きになるのかを見通すには、法律知識と経験が必要になりますので、個人再生をお考えの方は、お気軽に弁護士法人心 津法律事務所までご相談ください。