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弁護士による個人再生

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小規模個人再生と給与所得者等再生

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2023年3月15日

1 返済する債務額

個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生という2種類の手続きがあります。

個人再生の手続きを行うにあたっては、この2つの手続きのどちらかを選んで申立てを行うことになりますが、手続き後に返済する必要のある債務額を比較すると、小規模個人再生を選んだ方が少なくなることがほとんどであるため、まずは、小規模個人再生を検討するということが一般的です。

2 債権者の同意の問題

ただし、小規模個人再生を利用するには、過半数の債権者が同意し、かつ、その同意している債権者の債権額が債務者の総債務額の2分の1を超えていることが必要となります。

これに対して、給与所得者等再生では、債権者の同意は不要となっています。

したがって、何らかの事情により過半数の債権者の同意が期待できないような場合には、小規模個人再生ではなく給与所得者等再生手続を選んだ方が、個人再生手続の成功する見込みが高いということになります。

3 収入による制約

この他の違いとしては、収入による制約の違いがあります。

給与所得者等再生手続を利用する場合、定期的な収入を得る見込みがあり、かつ、その額の変動の幅が小さいと見込まれることが必要となります。

一方、返済計画を履行することができると見込まれることは必要になりますが、小規模個人再生の場合には特にそのような制約がありません。

4 返済する金額の計算

また、最初にご説明したとおり、個人再生手続をとった場合に債務者が返済することになる金額の計算に違いがあります。

⑴ 共通する基準

小規模個人再生と給与所得者等再生の両方の手続きに共通する基準は以下のとおりです。

  1. ①債務総額が100万円未満の場合 債務総額
  2. ②債務総額が100万円以上500万円未満の場合 100万円
  3. ③債務総額が500万円以上1,500万円未満の場合 債務総額の5分の1
  4. ④債務総額が1,500万円以上3,000万円未満の場合 300万円
  5. ⑤債務総額が3,000万円以上5,000万円未満の場合 債務総額の10分の1

ただし、1から5のいずれの場合においても、所有財産の評価額の総額以上は支払う必要があります。

⑵ 給与所得者等個人再生の場合

以上の基準に加え、給与所得者等個人再生の場合には、「収入から最低限度の最低限度の生活を維持するために必要な費用を差し引いた額(可処分所得)の2年分」という基準があります。

例えば、債務総額が500万円の場合、その5分の1である100万円が再生手続後の総返済額となります。

しかし、もし可処分所得の2年分が150万円となる場合、給与所得者等再生を選択すると総返済額が150万円となるのです。

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1 小規模個人再生手続

個人再生手続には、小規模個人再生と給与所得者等再生の2つの手続があります。

一般的に「個人再生」という場合、小規模個人再生を指す場合が多いようです。

小規模個人再生とは、申立人の総債務について、①100万円以上、②一定額以上(総債務額により異なりますが、総債務額の1/5から1/10の金額)、③清算価値(総資産額)以上のうち最も大きい金額まで圧縮し、原則3年以内に分割弁済をするという手続きです。

計画弁済が行われれば、その余の債務の返済は免除されます。

例えば、総額200万円に借金がある人の場合、①100万円と②40万円(200万円の1/5)を比較すると①100万円の方が高くなるため、めぼしい財産がなければ総額100万円を3年間で分割弁済することになります。

総額1000万円の借金がある場合だと、①100万円よりも②200万円(1000万円の1/5)の方が高くなるため,200万円の分割弁済となることが考えられます。

もっとも、例えば,300万円の価値がある高級を持っている、ということになれば、③総資産額300万円は返済しなければならなくなります。

2 給与所得者等再生手続

給与所得者等再生手続の場合、返済金額の計算は、可処分所得の2年分を計算することになります。

返済金額を計算する際には最低生活費(世帯によって変わるものです)も控除することになるので、単純に手取り年収2年分ということになるわけではありませんが、基本的には、小規模個人再生手続の場合の返済金額よりも返済額は高額になります。

3 小規模個人再生と給与所得者等再生の手続の違い

どちらも個人再生手続であり、基本的な手続に大きな違いがあるわけではありません。

もっとも、小規模個人再生手続の場合には、各債権者が異議を述べることができます。

債権者の半数以上か、再生債権額の過半数について異議が出された場合には、小規模個人再生は認可されません。

たとえば、総債務額が500万円、内訳が50万円の債権を有する債権者が3人,350万円の債権を有する債権者が1人という債務者を想定します。

50万円の債権者のうち2人が異議を出せば,2人/4人(債権者の半数以上)となりますので小規模個人再生手続は認可されません。

また,350万円の債権者が異議を出せば,1人でも350万円/500万円(債権額の過半数)となりますので、やはり小規模個人再生は認可されません。

給与所得者等再生の場合には、このような異議は出すことができませんので、この点は給与所得者等再生のメリットといえます。

4 個人再生手続きの選択の視点

少なくとも、現時点ではあまり異議を出されるケースは多くありません。

そのため、基本的には返済額が少なくなる小規模個人再生を選択するのが通常となっています。

もっとも、異議を出される可能性が高いケースもありますので、そのような場合には、それでも小規模個人再生にするか、はじめから給与所得者等再生の申立てをするか慎重に判断しなければなりません。