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弁護士による個人再生

「個人再生の手続き」に関するお役立ち情報

個人再生の種類

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2022年11月1日

1 個人再生とその種類

多重債務に陥り、返済の継続が難しくなった場合、大きく分けて3つの選択肢があります。

個人再生は、そのうちの1つです。

簡単にいえば、総債務を圧縮して一部を計画通り弁済すれば、残りの債務は免除されるという手続きです。

個人再生は、さらに、小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類に分けられます。

以下では、その2つの手続きについてご説明いたします。

2 小規模個人再生

小規模個人再生は、簡単にまとめると、①法律に従って圧縮された金額以上(5分の1~10分の1)、②清算価値(財産の総額というイメージです)以上のいずれか高い方の額を、原則3年、場合によっては5年間分割弁済することで、残りの返済義務が免除されるという手続きです。

例えば、総債務額800万円でその他の資産が無いという場合は、5分の1である160万円を分割弁済すれば、残債務640万円の支払いを免れることができることになります。

3 給与所得者等再生

これは、給与所得者等収入が大きく変動しないと見込まれる債務者について、上記の①と②に加え、③可処分所得の2年分以上の金額も比較し、一番高くなる額を原則3年間で分割弁済する手続きです。

可処分所得の計算は少し複雑になりますが、簡単な説明としては、年収を基礎に、税金や社会保険料、最低限必要とされる生活費を控除して算出します。

最低生活費は、ご家族の構成や地域によって変わる点が特徴的といえます。

上記のとおり、弁済額のルールだけを見ると、給与所得者等再生の方が条件も多く、弁済額も増える可能性が高くなります。

4 両者の比較と違い

弁済額が低くなった方が申し立てる側にとっては有利ですので、通常、まずは小規模個人再生ができないかどうかを検討します。

ただ、小規模個人再生の申立てが認められるためには、債権者の半数または総債権額の過半数以上の消極的な同意を得なければなりません。

例えば、A社100万円、B社200万円、C社400万円の債務がある場合、A社とB社が異議を出せば半数の同意を得られないことになります。

他方、C社のみが異議を出した場合でも、総債権額の過半数を超える債権を有する者が同意をしていないため、やはり小規模個人再生は認められません。

債権者から異議が出される可能性がどの程度あるのかという点は、手続きの選択において重要となります。

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