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少額債権者がいる場合の個人再生
1 少額の債権者がいる場合の個人再生
個人再生を考えている債務者の方は、たいていの場合、何十万円、何百万円という借金を抱えています。
もっとも、複数の債権者がいる場合、すべての債権者の債権がそんなに高額だとは限りません。
例えば、アコム、アイフル、プロミス、レイクに200万円ずつ借金があるけれど、それとは別に、親や友人に対して3万円の債務が残っているというような場合もあります。
このような場合、友人や親には迷惑をかけたくないし、僅か3万円であれば、先に返済してしまって、債権者を大口の4社に絞ってしまった方がよいのではないかと考える人も少なくありません。
では、このような返済をしても問題ないのでしょうか。
2 偏頗弁済の禁止
個人再生をする場合には、すべての債権者を平等に取り扱わなければならないというルールがあります(これを、債権者平等の原則といいます。)。
個人再生を依頼すると、いったんすべての債権者への返済を止めることになるのですが、その状態で、少額であるからといって一部の債権者にだけは返済をして、他の債権者にはお金を返さないというような対応は、債権者間の平等性を害するものです。
このように一部の債権者の未優先して返済をすることは「偏頗弁済」と呼ばれ、認められないのが原則です(民事再生法229条1項参照)。
そして、それは債権者が銀行やカード会社、消費者金融などの金融機関であるか、親や友人などの個人であるかは関係ありませんので、たとえ個人に対する債務であっても、優先して返済することは問題があります。
したがって、個人再生の申立てをする段階では、少なくとも、少額の債務でも返済はせずに、債権者のリストの中に記載しておかなければなりません。
3 再生計画での少額債権者の扱いについて
もっとも、実際に、個人再生の再生計画に従って、債務を返済していく段階を考えると、形式的に債権者間の平等を貫くことが、かえって不都合な結果を引き起こすことがあります。
例えば、上の例の場合には、合計で803万円の借金があることになりますので、債権者の反対等がなく、めぼしい財産もないような事案では、個人再生によって803万÷5=160万6000円まで借金が減額されます。
通常、個人再生では3年の期間中、3か月に1回ずつ返済することが多いので、1回あたりの返済は、160万6000円÷12=13万3833円となります。
表面的には特に問題ないように思えますが、各債権者ごとの債権額をみると、もともと3万円しか債権がなかった債権者は、総債権額が3万円÷5=6000円となり、それを12回に分けて返済するので、1回あたり500円の返済となってしまいます。
これでは、「振込手数料の方がもったいないのでは?」という疑問が出てくるのが自然だと思われます。
そこで、このような1回当たりの返済額があまりにも少額になる債権者がいる場合には、例外的に、その債権者の債権だけは、初回の返済のときに一括で返済するような再生計画も認められることがあります。
具体的にどの程度の金額までであれば、一括返済が認められるかは、各裁判所ごとに運用や考え方もことなっており、また、事案ごとの総債務額との比率によっても判断がことなってきますが、これまで名古屋地方裁判所へ申立てを行ってきた経験上、減額後の債務額がおおむね3万円~5万円以内のものであれば、認められる例が多いように思います。
名古屋で個人再生をお考えの方は、まずは一度、弁護士法人心までご相談ください。
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